埼玉県東部地域の6市1町(春日部市・草加市・越谷市・八潮市・三郷市・吉川市・松伏町)で構成する「埼玉県東部地域道路交通研究会」は、2026年4月に「東埼玉道路沿線地域におけるBRTなど新たな交通システムの導入構想」を取りまとめました。構想では、外環八潮スマートIC周辺から春日部市庄和ICまで延長約17.6kmの東埼玉道路を活用し、自動運転専用道路とBRT(バス高速輸送システム)を整備することで、渋滞緩和や公共交通の利便性向上、災害時のレジリエンス強化を目指しています。
特に越谷レイクタウンから吉川市、松伏町にかけては鉄道のない公共交通空白地域が広がっており、バスは道路渋滞の影響を受けやすいことが長年の課題でした。この地域では東京メトロ有楽町線(東京8号線)を押上から八潮・越谷レイクタウン・松伏町・野田市方面へ延伸する「東京直結鉄道」も構想されており、将来的には鉄道とBRTが相互補完する広域交通ネットワークの形成が期待されています。
東埼玉道路沿線地域BRT構想の概要
1.東埼玉道路BRT構想の公表
埼玉県東部6市1町が東埼玉道路を活用した新たな交通システム導入構想を策定。 自動運転BRTを軸とした広域公共交通ネットワークの形成構想。
2.公共交通空白地域の解消
越谷レイクタウンから吉川市・松伏町にかけて鉄道のない公共交通空白地域が広がる現状。 運転士不足や路線縮小を踏まえた持続可能な移動サービスの必要性。
3.自動運転専用道路とBRT導入
外環八潮スマートIC周辺から庄和ICまで約17.6kmに自動運転専用道路を整備。 パーク&ライドと組み合わせた定時性・速達性の高いBRT導入計画。
4.レイクタウンと産業拠点を結節
イオンレイクタウンや工業団地、観光施設など沿線の主要拠点を効率的に連絡。 通勤・通学・買い物需要を公共交通へ転換する広域交通軸の構築。
5.東京直結鉄道との相互補完
押上から八潮・越谷レイクタウン・松伏町・野田市方面への東京直結鉄道構想も進展。 都心直結鉄道と地域内BRTが連携する二層型交通ネットワークの実現期待。
6.防災・スマートシティへの波及
BRT停留所を交通結節点やモビリティ・ハブとして整備する方針。 災害時の緊急輸送や自動運転技術を活かしたレジリエントなまちづくり。
7.今後の事業化に向けた展望
国や埼玉県、沿線自治体が連携しBRT導入と東埼玉道路整備を要望・推進。 公共交通・都市開発・地域活性化を一体で進める次世代交通プロジェクト。

埼玉県東部地域では、大型商業施設の集積や住宅開発が進む一方で、地域中央部には南北方向の公共交通が少なく、特に越谷レイクタウン〜吉川市〜松伏町では鉄道駅から離れた公共交通空白地域が広がっています。さらに近年は運転士不足や利用者減少によりバス路線の縮小・撤退も進み、高齢者をはじめとする交通弱者の移動手段の確保が重要な課題となっています。
こうした課題を受け、6市1町は2023年に埼玉県東部地域道路交通研究会を設立し、道路交通や新たなモビリティの調査を開始しました。2026年に公表された導入構想では、東埼玉道路を公共交通の新たな南北軸として位置付け、自動運転BRTを中心とした広域交通ネットワークの形成を目指しています。


構想の中核となるのが、外環八潮スマートIC周辺から春日部市庄和ICまでの東埼玉道路約17.6kmを活用した自動運転BRTです。東埼玉道路は幅員50mの広幅員道路で、自動車専用部と一般部を併設する構造となっており、地域中央部を縦断することから広域交通の骨格となる道路です。
BRTは鉄道より低コストで導入できる一方、専用レーンや公共車両優先信号(PTPS)の活用によって速達性・定時性を高められることが特徴です。また道路上を走行するため、一般道路への乗り入れや路線変更も柔軟に行え、沿線各地へのアクセス性に優れています。研究会では、東埼玉道路の交通特性や地域課題を踏まえ、鉄道・LRT・モノレールなどと比較した結果、BRTが有力な選択肢の一つであると整理しています。

東埼玉道路沿線には、イオンレイクタウンをはじめとする大型商業施設、越谷いちごタウン、そうか公園、道の駅庄和などの観光・交流拠点に加え、草加工業団地、草加・八潮工業団地、東埼玉テクノポリス、松伏田島産業団地、豊野工業団地など約400社が立地する産業集積地が広がっています。

構想では、自動運転BRTによってこれらの拠点を効率的に結び、通勤・通学や買い物、観光需要を公共交通へ転換することを目指しています。イオンレイクタウンは年間約5,000万人が訪れる国内最大級の商業施設であり、休日には周辺道路で慢性的な渋滞が発生しています。BRTとパーク&ライドを組み合わせることで、自家用車利用を抑制し、道路混雑の緩和やCO₂排出削減にもつなげる考えです。

越谷レイクタウンから松伏町周辺では、東京メトロ有楽町線(東京8号線)を押上から八潮・越谷レイクタウン・吉川市・松伏町・野田市へ延伸する「東京直結鉄道」も並行して検討されています。2025年に公表された整備検討調査では、八潮〜野田市間約17.5km、事業費約3,200億円、費用便益比(B/C)1.03と試算され、一定条件下で事業成立の可能性が示されました。
BRT構想と東京直結鉄道は競合する計画ではなく、役割が異なります。東京直結鉄道は東京都心へ直結する広域高速交通を担い、BRTは鉄道駅や大型商業施設、工業団地、住宅地を面的につなぐ地域内交通を担う構想です。将来的に越谷レイクタウンや松伏町で両者が接続すれば、公共交通空白地域の解消と都心アクセス向上を同時に実現する新たな交通体系が期待されています。

導入構想では、単なる交通整備にとどまらず、「コンパクト・スマート・レジリエント」を柱とする埼玉版スーパー・シティプロジェクトとの連携も掲げています。BRT停留所にはモビリティ・ハブや交通結節点を整備し、デマンド交通やシェアモビリティ、自転車など多様な移動手段を接続することで、誰もが利用しやすい公共交通環境を構築する方針です。
また、自動運転専用道路は平常時の公共交通だけでなく、災害時には消防・救急など緊急車両の輸送路としても活用することが想定されています。人口減少や高齢化が進む埼玉県東部地域において、BRTは持続可能な公共交通と広域まちづくりを支える新たな基幹インフラとして位置付けられており、今後は国や埼玉県と連携した事業化や自動運転実証の具体化が焦点となります。
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出典:八潮市 東埼玉道路沿線地域におけるBRTなど新たな交通システムの導入構想
最終更新日:2026年10月1日