長崎駅前で計画が進む「大黒町地区第一種市街地再開発事業」は、築60年以上が経過した長崎県営バスターミナル(長崎交通産業ビル)と周辺街区を一体的に建て替え、長崎駅前の新たな交通・都市機能の拠点を形成する大規模再開発計画です。
施行区域は約0.9ha、総事業費は約210億円を予定しており、A街区にはバスターミナルを核とした商業・業務・宿泊機能を備える複合ビル、B街区には商業施設と駐車場を備えた複合施設を建設。両街区は連絡通路で接続され、駅前の回遊性向上も図られます。また、国道202号の拡幅やバスベイの新設による交通結節機能の強化、防災性向上、景観形成などもあわせて進められ、西九州新幹線開業後の長崎駅周辺まちづくりをさらに加速させる重要プロジェクトとなります。
大黒町地区第一種市街地再開発事業の概要
1.長崎駅前の大型再開発計画
長崎駅前の県営バスターミナルや周辺街区を一体的に建て替える市街地再開発事業。
交通・商業・業務・宿泊機能を集約した新たな都市拠点の形成。
2.A街区・B街区の複合施設建設
施行区域約0.9haに、延床面積約2万900㎡の2棟の複合ビルを建設。
A街区にバスターミナル・ホテル、B街区に商業施設・駐車場を配置する計画。
3.交通結節機能の大幅強化
県営バスターミナルを最新施設へ更新し、利用者の利便性を大幅に向上。
国道202号の拡幅やバスベイ新設による交通円滑化と混雑緩和。
4.駅前のにぎわいと回遊性向上
商業施設やオフィス、宿泊施設を導入し、多様な都市機能を集積。
A街区とB街区を連絡通路で結び、歩行者ネットワークを強化する計画。
5.防災性・景観性を高める都市更新
老朽建築物を耐火性・耐震性に優れた建物へ更新し、防災機能を向上。
西坂公園への眺望や長崎駅前の景観に配慮した都市空間の創出。
6.長崎駅周辺再整備との連携
西九州新幹線開業や駅前整備と連動し、駅東側の再整備を推進。
長崎駅周辺の都市機能を補完する駅前再開発プロジェクトの位置付け。
7.総事業費約210億円の駅前刷新
総事業費約210億円を投じ、都市計画決定後に本格的な事業を推進。
完成まで約5~6年を見込み、長崎駅前の新たな玄関口となる大規模再開発事業。

再開発の中心となる長崎交通産業ビルは1963年に完成した地上6階・地下1階建ての複合施設で、長崎県営バスターミナルをはじめ、長崎県物産館や行政機関、民間テナントなどが入居する長崎県内有数の交通拠点として長年利用されてきました。しかし、築60年以上が経過したことで建物の老朽化や耐震性能の不足が課題となり、設備の更新や機能改善も必要な状況となっています。このため、市街地再開発事業により全面的な建て替えが実施されることとなりました。

長崎駅前では、西九州新幹線の開業や駅舎の移転、駅前広場の整備、出島メッセ長崎や長崎スタジアムシティの開業など、大規模な都市開発が相次いで進められています。一方で、駅前東側のバスターミナル周辺は更新が遅れていたことから、今回の再開発では駅前の「顔」となる交通拠点として、安全性・利便性・都市景観を兼ね備えた新たなランドマークへと生まれ変わることが期待されています。


施行区域は約0.9haで、A街区約3,800㎡、B街区約1,200㎡の2街区によって構成されます。総延床面積は約20,900㎡に達し、長崎駅前では大規模な再開発事業の一つとなります。
A街区には延床面積約16,700㎡の複合ビルを建設し、低層部分に県営バスターミナルや商業施設、中層部分にオフィスなどの業務施設、高層部分には宿泊施設を配置する計画です。断面図では、1階付近にバスターミナル、その上部に商業施設や業務施設、最上部にホテルを積層する構成となっており、交通・商業・業務・観光機能を一体化した複合施設となることが示されています。
一方、B街区には延床面積約4,200㎡の複合施設を建設し、低層部分に商業施設、上層部分には立体駐車場を配置する計画です。両街区は連絡通路で接続され、一体的に利用できるよう計画されているほか、駅前デッキや周辺歩行者空間との連携も図られ、快適な回遊動線の形成が期待されています。


今回の再開発では建物の更新だけでなく、駅前交通環境の抜本的な改善も大きな柱となっています。
A街区前面の国道202号(江戸町道ノ尾線)は車道を拡幅し、幅約3m、延長約85mのバスベイを新設。これまで朝夕を中心に発生していた路線バスの滞留や混雑を緩和するとともに、一般車両への影響も軽減し、円滑な交通処理を実現します。また、従来は降車専用バス停のみで、観光客が乗車場所を分かりにくいという課題もありましたが、新たなバスターミナル整備により案内性や利便性も大きく向上するものとされています。

さらに、新ターミナルではバリアフリーに配慮した待合空間や乗降環境を整備し、JR長崎駅や長崎電気軌道との乗り換え利便性も向上します。年間約191万人、1日あたり約5,200人が利用する長崎県最大級のバスターミナルとして、県内外を結ぶ交通ネットワークの中心機能をさらに強化する計画です。


再開発では交通機能だけでなく、多様な都市機能を集積することで駅前の魅力向上を目指しています。
A街区では高層部分に宿泊施設、中層部分に業務施設、低層部分に商業施設を配置し、観光客やビジネス利用者、地域住民など幅広い利用者を受け入れる複合拠点を形成します。B街区の商業施設や立体駐車場と一体的に機能することで、駅前全体の利便性向上や回遊性の向上、さらなるにぎわい創出につながることが期待されています。


また、防災面では耐火建築物への更新により災害時の安全性を高めるほか、日本二十六聖人殉教地(西坂公園)への眺望に配慮した建物配置や景観形成も計画されています。交通結節機能の強化と都市再生を両立させた駅前空間として、長崎の新たなシンボルとなることが期待されています。

長崎駅周辺では、西九州新幹線開業を契機に、JR長崎本線連続立体交差事業や土地区画整理事業、出島メッセ長崎、長崎スタジアムシティなど、大規模な都市再生プロジェクトが段階的に進められてきました。駅前広場やペデストリアンデッキの整備も進み、長崎の新たな玄関口として都市機能の充実が図られています。

その中で、大黒町地区第一種市街地再開発事業は、駅前東側に残る老朽化した交通拠点を刷新する「総仕上げ」ともいえるプロジェクトに位置付けられています。2025年度以降は測量や基本設計、権利調査、建物調査、地質調査など事業化に向けた準備が進められ、都市計画決定後は再開発組合の設立や権利変換を経て本格的な建設工事へ移行する予定とされています。完成までには約5~6年を要する見込みで、交通結節機能、防災性、都市景観、駅前のにぎわいを総合的に向上させる長崎市を代表する再開発事業として、大きな注目を集めています。
出典
・長崎市 令和7年9月市議会 建設水道委員会資料
・長崎市 市街地再開発事業 大黒町地区
最終更新日:2026年8月4日