2026年9月30日、宇都宮市は「ライトライン」のJR宇都宮駅西側延伸に係る都市計画を決定・変更しました。今回の都市計画決定では、「宇都宮都市計画道路 3・2・101号 大通り」と「3・4・116号 駅西口広場北通り」の都市計画変更に加え、「10・7・102号 宇都宮西ライトレール線」を新たに都市計画決定しています。これにより、2023年8月に開業した芳賀・宇都宮LRTの駅西側延伸に向けた都市計画上の手続きが大きく前進することになります。
駅西側延伸は、JR宇都宮駅西口から東武宇都宮駅前を経由し、教育会館前付近まで約4.9kmを結ぶ計画で、12箇所の停留場を新設するものです。JR宇都宮駅では、新幹線高架と在来線高架の間をLRT軌道が高架で横断し、現在の宇都宮駅東口停留場から西側へライトラインが直通する計画となっています。LRTを軸として鉄道、バス、自転車、自動車などを組み合わせることで、宇都宮市が進める「ネットワーク型コンパクトシティ(NCC)」の形成や、中心市街地におけるウォーカブルな都市空間の実現を目指すものとされています。
ライトラインJR宇都宮駅西側延伸の概要
1.JR宇都宮駅西側へ約4.9km延伸するライトライン
JR宇都宮駅西口から東武宇都宮駅前を経由し、教育会館前付近までを結ぶ約4.9kmの延伸計画
上河原、宮島町十文字、馬場町、県庁前など12停留場を新設する路線計画
2.JR宇都宮駅で東西のライトラインを接続
JR宇都宮駅では新幹線高架と在来線の間にあたる2階レベルをLRTが高架で通過する計画
駅東口から西口へライトラインを連続させ、東西方向の基幹公共交通軸を形成する計画
3.大通りを再編しウォーカブルな都市空間を形成
LRTの導入に合わせて道路空間を再編し、自転車通行空間や右折レーン、バス停留所などを整備
歩行者・公共交通を中心とした駅西側のウォーカブルなまちづくりを進める都市空間形成
4.JR宇都宮駅西口・東武宇都宮駅周辺の交通結節機能を強化
JR宇都宮駅西口ではバス・タクシー乗降場の集約や歩行者ネットワークの強化、駅前広場の再編を実施
東武宇都宮駅周辺でも上屋や滞留空間、荷さばき空間などを整備する交通結節機能の強化
5.バス路線を再編し公共交通ネットワークを効率化
LRTと重複するバス路線を再編し、幹線・循環バスへの車両や運転士の再配置を進める公共交通網の再構築
東武宇都宮駅や桜通り十文字などに交通結節点を設け、地域交通や乗合タクシーとの連携も図るネットワーク形成
6.2025年から2026年にかけて都市計画手続きを実施
2025年の都市計画素案・案の縦覧や公聴会、2026年の都市計画案の縦覧を経て手続きを推進
2026年8月の宇都宮市都市計画審議会を経て、2026年9月30日に都市計画道路の決定・変更を告示
7.駅西側のまちづくりと一体となった延伸事業
LRT整備と駅前広場、バス路線再編、歩行者・自転車ネットワークなどを一体的に進める駅西側の都市機能再編
JR宇都宮駅西口から中心市街地、東武宇都宮駅を経て教育会館付近へ至る公共交通軸の形成

芳賀・宇都宮LRTの駅西側延伸は、JR宇都宮駅東口から教育会館前付近まで約4.9kmを整備区間とし、JR宇都宮駅西口、上河原、宮島町十文字、馬場町、県庁前、東武宇都宮駅前、裁判所前、新川、桜通り十文字、美術館前、護国神社前、教育会館前の12箇所の停留場を新設する計画です。
2023年8月に開業した既存の東側区間と接続することで、宇都宮駅を東西に貫く基幹公共交通軸を形成し、駅西側の中心市街地と東側の産業・住宅集積地を結ぶ広域的な公共交通ネットワークの構築が進められます。


駅西側延伸で大きな特徴となるのが、JR宇都宮駅を横断する立体構造です。ライトラインの軌道は宇都宮駅東口停留場から北側へ高架化し、駅ビル北側に位置する新幹線高架と在来線の間を通過して西口側へ進む計画です。
新幹線が駅舎3階部分、在来線が1階部分に位置するのに対し、LRTは2階部分を横断する構造とされており、鉄道施設との立体交差によって東西の軌道を接続します。鉄道との乗り継ぎ利便性を確保するとともに、駅西口における一体的な交通結節機能の形成につなげる計画です。


駅西側では、ライトラインの導入に合わせて大通りの道路空間も再編されます。JR宇都宮駅から裁判所前、桜通り十文字、教育会館前に至る区間では、LRT、歩行者、自転車、自動車、バスなどが共存できる道路空間の形成を目指すものとしています。
JR宇都宮駅から裁判所前付近ではLRTを高架で整備し、裁判所前付近ではバスの乗降や荷さばきに対応する停車帯を本線とは別に設けるほか、自転車走行空間も整備する計画です。桜通り十文字から教育会館前にかけては、路外での車両留置施設やパーク&ライド駐車場なども検討されており、沿線の交通機能が再編されます。


JR宇都宮駅西口では、ライトラインの導入に合わせて駅前広場の交通空間や歩行者動線を再編し、タクシー乗降場やバス空間の集約、一般車の送迎動線、交流広場などの整備が検討されています。駅改札から周辺市街地へとつながる歩行者ネットワークの強化も進められます。
東武宇都宮駅周辺では、ライトラインと東武宇都宮線、バス、自動車などの乗り継ぎを考慮した交通結節機能の整備が検討されています。雨に濡れずに移動できるシェルターや滞在空間、荷さばき空間なども整備対象として検討されており、中心市街地の回遊性や利便性向上につながる駅周辺空間を目指す計画です。


ライトラインの延伸は、単にLRTの路線を新設するだけではなく、既存のバスネットワークを含めた公共交通全体の再編と一体的に進められます。ライトラインと運行区間が重複する大通りのバス路線については、一部を桜通り十文字周辺などを起終点とする形に再編し、約3割程度を削減する計画です。
これによって生じるバス車両や運転手を、郊外部と都心部を結ぶ幹線バスや都心部の循環バスへ振り分けることで、階層性のある公共交通ネットワークが構築されます。また、東武宇都宮駅付近や桜通り十文字付近などには、LRT、バス、自動車などをスムーズに乗り継ぐためのトランジットセンターの整備も検討されています。


駅西側延伸の都市計画決定に向けては、2025年11月に都市計画素案の縦覧と説明・公聴手続が実施されました。素案の縦覧者は23名、意見申出書は2件、公述申出者は1名となり、2025年12月21日に公聴会が開催され、公述者1名、傍聴人8名が参加しました。主な意見として、道路拡幅に伴う移転への懸念や、東武宇都宮線への直結、バスターミナル整備など広域的な公共交通網の発展を求める意見が示されています。
その後、2026年4月17日から5月1日まで都市計画案の縦覧が行われ、縦覧者は1名、意見書の提出はありませんでした。さらに宇都宮市都市計画審議会での審議を経て、2026年9月30日付で都市計画決定・変更が告示されました。今回の決定・変更の対象は、大通り、駅西口広場北通りの都市計画変更と、宇都宮西ライトレール線の都市計画決定です。


今後は、都市計画決定を踏まえて、ライトラインの軌道や停留場、駅前広場、道路空間などの詳細設計が進められるとともに、国への認可申請に必要となる「軌道運送高度化実施計画」の策定などが進められます。宇都宮市は2026年度も駅西側延伸に向けた軌道詳細設計やバス路線再編の検討を進めています。
また、JR宇都宮駅西口周辺では、ライトラインの延伸と連携して再開発や駅前広場、景観形成などのまちづくりも進められており、駅西側を人と公共交通を中心としたウォーカブルな都市空間へ転換することが目指されています。
ライトラインの駅西側延伸は、LRTそのものの整備に加えて、バス路線の再編、交通結節点の整備、道路空間の再編、駅前広場整備、中心市街地のまちづくりを一体的に進める大規模な都市交通プロジェクトです。今回の都市計画決定を契機として、JR宇都宮駅東口から西口、東武宇都宮駅前を経由して教育会館前へ至る東西の公共交通軸が具体化し、宇都宮市のネットワーク型コンパクトシティ形成を支える基盤整備がさらに進展することになります。
出典:宇都宮市 ライトラインの駅西側延伸に係る都市計画決定・変更手続
最終更新日:2026年9月30日