国士舘大学は、創立110周年を機に、小田急線・梅ヶ丘駅と東急世田谷線・松陰神社前駅の間に位置する「世田谷キャンパス」において、老朽化した主要校舎の建て替えを中心とした大規模なキャンパス環境整備事業に着手します。本事業は「国士舘の教育理念」と「先駆的なキャンパス環境整備」の掛け合わせを意味する“KX=国士舘トランスフォーメーション”をコンセプトに掲げ、地域社会に貢献できる心身ともに健やかな人材“国士”の育成に資する次世代リーディングキャンパスを目指します。2025年から約10年かけて段階的に進められ、教育・研究環境の充実や持続可能な社会への対応、地域連携、防災機能の強化など多角的な観点から総合的に整備されます。
国士舘キャンパス環境整備事業の概要
- 事業目的
老朽化した世田谷キャンパスの校舎を建て替え、次世代の「国士」を育成するために先進的かつ持続可能な学びの場を整備する。 - 社会環境の変化への対応
少子化やデジタル化、自然災害などの社会変化に対応し、地域社会や企業と連携しながら教育・防災・環境問題に取り組む。 - 伝統と未来の融合
歴史的建造物の保全を図りつつ、新しい教育ニーズに応える先端的な知の拠点を創り、伝統と革新を両立させる。 - キャンパスの現状と課題
50年以上経過した建物の老朽化、学生数の変動、教育手法の多様化に対応するための大規模な環境整備が必要。 - 7つの整備方針
学生ファースト、スマートキャンパス、サステナブル、ヘルシー、地域連携、インクルーシブデザイン、防災機能強化の7つの方針で整備を推進。 - 整備内容と規模
主要校舎5棟を建て替え、梅ヶ丘エリアに新棟を設置。延床面積約3.9万㎡のゆとりあるキャンパス環境を構築する。 - 事業期間と運営計画
2025年から2034年の約10年間で段階的に整備を進め、在学期間を仮設校舎だけで過ごすことがないよう運営しながら完成を目指す。

国士舘大学は令和4年10月に「国士舘キャンパス環境整備計画推進プロジェクト会議」と「推進室」を設置し、50年以上経過した世田谷キャンパスの主要校舎を中心に再整備を本格的に検討してきました。令和6年2月には基本構想を策定し、翌年1月には新キャンパスの具体的な機能配置や移転計画をまとめています。これは創立110周年記念の一環として位置づけられており、社会環境の急激な変化に対応した教育環境の整備を通じて、時代の要請に応える人材輩出を目指すものです。

少子化やデジタル技術の急速な進展、さらに頻発する自然災害への対応など、大学を取り巻く社会環境は大きく変わっています。国士舘はこれらの社会的課題に的確に対応し、地域社会や企業と連携しながら持続可能な社会の実現に貢献することを使命としています。また、歴史的に価値あるキャンパスの景観や防災拠点としての役割も重視し、自治体とも連携しつつ地域の一体的な発展に寄与する計画となっています。

国士舘大学の歴史的象徴である「国士舘大講堂」などの有形文化財を保全しつつ、新しいキャンパス施設を歴史の流れに沿って整備します。これにより「過去・現在・未来」にわたる一貫した教育理念を継承しながら、次世代の教育ニーズに応える総合的な知の拠点を創造します。伝統を尊重しつつ、最先端の研究・教育環境を整えることで、次世代のリーディングキャンパスを目指します。

現在の世田谷キャンパスは竣工から50年を超える建物が多く、老朽化が進んでいます。加えて、少子化による学生数の減少や教育のグローバル化、ICTやAIを活用した新しい教育手法の普及など、大学を取り巻く環境は大きく変化しています。これらの変化を踏まえ、教育・防災・デジタル対応を強化し、多様な学生ニーズに応えられるキャンパス整備が求められています。

本事業は、7つの整備方針に基づいてキャンパスの整備を進めます。まず「学生ファーストキャンパス」として、創立者の教育理念を踏まえ、学生を中心とした環境整備を推進します。学生の意見を積極的に反映し、支援体制を充実させることで、満足度の高い教育環境の実現を目指します。次に「スマートキャンパス」では、DX推進やICTの活用を通じて学修の質を向上させ、利便性と快適性を兼ね備えた先端的なキャンパスづくりを行います。
また、「サステナブルキャンパス」の方針では環境負荷の低減に努め、持続可能な社会の形成に貢献するとともに、学生が環境問題を学ぶための教材としての役割も果たすことを目指します。「ヘルシーキャンパス」では、教職員や学生、来訪者が健康的に過ごせる環境を整備し、健康意識の向上や生活習慣の改善を促進します。

さらに、「地域連携・社会協創キャンパス」として、世田谷地域の歴史や社会状況を踏まえ、地域社会と協働し産官学連携を推進します。これにより幅広い世代が集う「居場所」の創出を目指します。加えて「インクルーシブデザインキャンパス」では、年齢や性別、障がいの有無にかかわらず誰もが使いやすいデザインを採用し、多様性に配慮したバリアフリー化を推進します。最後に「防災キャンパス」では、多発する自然災害に対応できる防災機能を強化し、学生の安全確保と防災教育によるリーダー育成を目指すとともに、地域の防災拠点としての機能向上も図ります。

整備対象は世田谷キャンパス内の老朽化した5棟の校舎を建て替え、約39,000㎡の延床面積を確保します。新たに梅ヶ丘エリアに「梅棟」を設置し、ゆとりある広々としたキャンパス環境を実現。キャンパス全体の延床面積は約113,000㎡に拡大し、既存の歴史的建造物と調和しつつ、統一感のある空間デザインを採用します。学部は政経、理工、法、文、経営の学生約8,800人が在籍し、工事中も仮設校舎に頼らず学びの環境を維持。カフェや学生食堂、コモンズなど交流を促進するスペースも充実させ、多様で主体的な学びを支援します。事業完了は2034年を予定しています。
最終更新日:2025年6月16日