台湾積体電路製造(TSMC)の日本子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)は、熊本県菊池郡菊陽町で第2工場の建設を進めています。第1工場に続く大型投資で、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社、株式会社デンソー、トヨタ自動車株式会社も出資する国家的プロジェクトです。
第2工場では6~7ナノメートル級の先端ロジック半導体を生産する計画で、自動車、産業機器、民生機器、HPC(高性能計算)向けの重要な供給拠点となります。投資額は約139億ドル(約2.1兆円)、日本政府の助成額は最大7,320億円にのぼります。第1工場と合わせた総投資額は200億ドルを超え、熊本は再び世界有数の半導体集積地として大きな注目を集めています。
JASM第2工場の概要
1.JASM第2工場の概要
TSMCの日本子会社JASMが、熊本県菊陽町で建設を進める第2の半導体製造拠点。
日本の半導体供給力強化と経済安全保障を支える国家的プロジェクト。
2.建設地と施設規模
建設地は第1工場東側の隣接地で、敷地面積は約32.1万㎡の広大な用地。
建物面積約8.8万㎡を誇る、第1工場を上回る大規模工場。
3.投資額と政府支援
投資額は約139億ドル、日本円で約2兆1,000億円に達する巨額投資。
日本政府による最大7,320億円の補助を受ける国家戦略案件。
4.製造技術と生産能力
6~7ナノメートル級を含む先端ロジック半導体の製造拠点。
月産6万3,000枚、第1工場と合わせ月産10万枚超の生産体制。
5.建設スケジュール
2025年6月に本体工事へ着手し、施工は鹿島建設が担当。
2028年3月竣工、2029年前半量産開始を目指す計画。
6.雇用創出と地域波及効果
第2工場単独で約1,700人、第1工場と合わせ約3,400人の雇用創出。
地価上昇、住宅建設、関連企業進出を促す地域経済活性化の原動力。
7.日本半導体産業への意義
自動車、AI、産業機器向け半導体の国内安定供給を実現する拠点。
「シリコンアイランド九州」復活を象徴する日本産業再興の中核。

JASM第2工場の建設地は、熊本県菊池郡菊陽町原水にある第1工場の東側隣接地です。敷地面積は約32.1万㎡で、第1工場の約21.3万㎡を大きく上回る広さとなります。建物面積は約8.8万㎡に達し、第1工場よりもさらに大規模な施設となる見込みです。
主な製造品目はロジック半導体で、6ナノメートル、12ナノメートル、40ナノメートルなどのプロセス技術に対応します。中でも6~7ナノメートル級の先端製造技術は、自動車の高度化やAI需要の拡大を支える重要な技術です。月産能力は12インチウェーハ換算で6万3,000枚を予定しており、第1工場と合わせると月産10万枚を超える巨大生産拠点となります。


第2工場の投資額は約139億ドル、日本円で約2兆1,000億円規模とされ、日本国内でも最大級の産業投資の一つです。日本政府は経済安全保障の観点から最大7,320億円の補助を行い、国家プロジェクトとして強力に支援しています。
JASMの出資比率は、TSMCが86.5%、ソニーセミコンダクタソリューションズが6.0%、デンソーが5.5%、トヨタ自動車が2.0%となっています。自動車、電子機器、画像センサーといった日本の基幹産業を支える企業が連携し、国内で安定的に先端半導体を確保する体制を整えています。


JASMは2025年6月9日に第2工場の本体工事に着手しました。施工を担当するのは第1工場と同じKajima Corporationで、2028年3月31日の竣工を予定しています。
当初は2027年末の稼働開始を目指していましたが、その後の計画見直しにより、量産開始時期は2029年前半へと延期される見通しです。需要動向や周辺インフラ整備、人材確保などを踏まえた判断とみられます。完成後には約1,700人が働く予定で、第1工場と合わせると約3,400人の雇用が創出されます。

JASMの進出に合わせ、熊本県では周辺道路や交通インフラの整備が急速に進んでいます。工場前を通る県道大津植木線では約4.2kmにわたって4車線化(将来的に6車線化も可能な幅員として整備)が進められ、通勤や物流の円滑化が図られています。
TSMC進出発表以降、菊陽町や大津町では地価が急上昇し、全国トップクラスの上昇率を記録しました。住宅建設や商業施設、企業の社宅整備も相次ぎ、人口増加が続いています。JASM第2工場の建設によって、台湾企業を含む関連企業の進出もさらに増加し、熊本経済への波及効果は一層拡大すると期待されています。


かつて九州は「シリコンアイランド」と呼ばれ、日本の半導体産業の中心地でした。JASM第2工場の建設は、その復活を象徴するプロジェクトとして大きな意味を持ちます。
第2工場では、自動車の電動化・自動運転、AIサーバー、産業用ロボットなどに不可欠な高性能半導体が生産されます。日本国内で先端半導体を安定供給できる体制を整えることで、経済安全保障の強化や製造業の国際競争力向上につながります。熊本から始まるこの挑戦は、日本の産業政策の新たな転換点として、今後も国内外から注目を集め続けるでしょう。


JASM第2工場の周辺では、Sony Semiconductor Solutionsによる熊本県合志市の新イメージセンサー工場建設や、Mitsui Fudosanが推進する「くまもとサイエンスパーク」など、大規模な関連プロジェクトが相次いで進んでいます。ソニーとTaiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)は、次世代イメージセンサーの開発・製造に向けた戦略提携でも基本合意しており、熊本はロジック半導体とイメージセンサーの両分野で世界最先端の技術が集積する地域へと進化しつつあります。
合志市で建設が進むソニーの新工場は、総敷地面積約37万㎡、投資額約1,800億円、政府支援最大600億円という国家的重要プロジェクトです。2029年の供給開始を目指し、AI、自動運転、ロボティクスなど「フィジカルAI」時代を支える高性能イメージセンサーの生産拠点となります。また、近隣では産官学連携による研究開発拠点「くまもとサイエンスパーク」が整備され、研究開発から量産、人材育成までを一体化したエコシステムの構築が進められています。JASM第2工場はこうした周辺開発と相乗効果を生み、熊本を東アジア有数の半導体クラスターへ押し上げる中核的存在となるでしょう。
最終更新日:2026年5月10日