国土交通省は、中部国際空港株式会社が申請していた代替滑走路事業の施設変更について正式に許可を発表しました。この許可により、長年にわたり計画されていた代替滑走路の建設工事が本格的に開始されることになります。現在の中部国際空港の滑走路は1本のみで運用されており、大規模な補修作業を行う際には航空機の離発着が制限されるため、空港の運用に大きな影響を及ぼす可能性がありました。新たに建設される代替滑走路は、こうしたリスクを軽減し、より安定した空港運営を可能にするための重要なインフラとなります。
新しい滑走路は、現在の滑走路の東側に整備される予定で、全長3,290メートルの規模を誇ります。この規模は国際線の大型機の運航にも対応可能な長さであり、将来的な航空需要の増加にも対応できる設計となっています。また、供用開始は2028年3月31日を目指しており、計画通りに工事が進めば、その時点で新滑走路の運用が開始されることになります。
代替滑走路の導入により、現行滑走路の補修作業を行う際でも空港の運用を継続することが可能となり、空港全体の利便性と柔軟性が向上します。さらに、24時間完全運用が実現することで、深夜や早朝の国際貨物便や格安航空会社(LCC)のフライトの利便性が向上し、空港の収益性向上にも寄与することが期待されています。
→国土交通省 中部国際空港の施設変更許可について~代替滑走路事業の現地着工が可能になります~
→中部国際空港 中部国際空港代替滑走路プロジェクト
中部国際空港 代替滑走路事業の概要
- 事業の承認と着工
国土交通省が施設変更を許可し、代替滑走路の建設が本格始動。
現在の滑走路の補修時にも空港運用を継続可能にする目的。 - 代替滑走路の仕様
現在の滑走路の東側に建設され、全長3,290メートル、幅45メートル。
国際線の大型機にも対応できる規模で、供用開始は2028年3月31日予定。 - 24時間運用の実現
現在の滑走路は深夜・早朝にメンテナンスで運用停止時間あり。
代替滑走路の導入で完全24時間運用が可能となり、LCCや貨物便の利便性向上。 - 最新の灯火施設の整備
LED技術を活用した高効率・長寿命の灯火システムを採用。
天候不良時の運航支援を強化し、安全性と運用効率を向上。 - 中部国際空港の役割強化
名古屋市中心部からのアクセスが良く、中部地方の国際拠点空港としての機能を担う。
リニア中央新幹線や西知多道路の整備で、さらなる利便性向上が期待される。 - 埋立事業との連携
名古屋港の浚渫土砂を活用し、中部国際空港沖の公有水面埋立事業を推進。
環境負荷低減と地域産業基盤整備を両立する重要プロジェクト。 - 将来の航空需要への対応
代替滑走路の整備により、増加する航空需要に対応可能に。
日本と世界をつなぐハブ空港としての機能をさらに強化。

今回整備される代替滑走路は、現在使用されている誘導路の一部を活用する形で建設され、全長3,290メートル、幅45メートルの本格的な滑走路として整備されます。この滑走路の建設によって、現在の滑走路を大規模補修する際でも航空機の離発着が可能となり、空港の運用に大きな支障をきたすことなくメンテナンスを実施できるようになります。これにより、航空会社は運航スケジュールの変更を最小限に抑えられ、空港を利用する乗客や貨物輸送業者にとっても利便性が大きく向上することになります。
また、新滑走路が供用開始されることにより、深夜や早朝の時間帯でも空港の運用が可能となります。現在の中部国際空港では、メンテナンスのために深夜から早朝にかけて滑走路を一時閉鎖する時間帯が設定されており、これが一部の航空会社にとって運航の制約となっています。しかし、代替滑走路の運用開始によって、深夜や早朝でも航空機の運航が可能となり、特に国際貨物便やLCC便の利便性が向上することが見込まれます。これにより、空港の利用者数の増加が期待され、地域経済への波及効果も大きくなると考えられます。

代替滑走路には最新の航空灯火システムが設置され、航空機の安全な離着陸を支援するとともに、運用の効率化が図られます。特に、視界不良時の運航をサポートするための高度な誘導灯や滑走路灯が整備される計画となっており、これにより天候の影響を受けにくく、年間を通じて安定した航空機の運航が可能になります。
従来の滑走路照明システムと比較すると、LED技術を活用した高効率かつ長寿命の灯火設備が採用されることで、メンテナンスコストの削減にも貢献します。また、最新の誘導システムを導入することで、パイロットが滑走路を視認しやすくなり、安全性の向上にも寄与します。加えて、新滑走路には国際基準を満たす進入灯システムが設置され、視界が悪い状況でも安定した着陸が可能となるよう設計されています。こうした最新の灯火施設の導入により、気象条件の悪い日でも安定した運航が可能となり、航空会社の運航計画がスムーズに遂行できるようになります。

中部国際空港(セントレア)は、2005年に開港した日本を代表する国際拠点空港の一つであり、名古屋市を中心とした中部地方の経済・産業の発展を支える重要な空港です。名古屋市中心部からのアクセスに優れており、鉄道や道路網の整備も進められていることから、国内外のビジネスや観光の拠点としての役割を果たしています。
また、中部国際空港は海上空港として建設されており、24時間運用が可能であることが大きな特徴となっています。しかし、現在は滑走路のメンテナンスのため、深夜や早朝の時間帯に一時的に運用を停止することがあり、一部の航空便にとっては制約となっています。今回の代替滑走路の整備により、24時間完全運用が実現することで、さらに利便性の高い空港へと進化することが期待されています。
加えて、今後のインフラ整備として、リニア中央新幹線の開通や西知多道路の整備が計画されており、これにより空港へのアクセスがさらに向上する見込みです。リニア中央新幹線が開通すれば、東京から名古屋までの移動時間が大幅に短縮され、中部国際空港の国際ハブ機能が一層強化されることになります。また、西知多道路の整備により、空港周辺地域からのアクセスも改善され、利用者の利便性が向上することが期待されています。

中部国際空港の代替滑走路整備と並行して、名古屋港で発生する浚渫土砂を処分するための「中部国際空港沖公有水面埋立事業」も進められています。この事業は国土交通省中部地方整備局が推進しており、2021年には埋立承認を取得し、2022年から本格的な工事が開始されました。
さらに、2023年には護岸形状の変更を含む計画変更が承認され、環境負荷を低減しながら埋立作業を進める方針が示されています。この埋立事業により、港湾の維持管理が容易になるだけでなく、新たな産業基盤の整備にも貢献することが期待されています。代替滑走路とこの埋立事業は密接に関連しており、環境保全と持続可能な開発の観点からも、地域全体の発展に寄与する重要なプロジェクトとなっています。
最終更新日:2025年2月17日