愛知県春日井市は、高蔵寺ニュータウンの玄関口であり、JR中央本線と愛知環状鉄道の乗換駅となっている高蔵寺駅の「高蔵寺駅北口駅前広場」について、再整備に向けた実施設計に着手しました。対象面積は約1.1ヘクタールで、地下道と地上空間を一体的に配置し、バス・タクシーの乗降スペースの利便性向上や、西側に設ける滞留空間との連携が図られる予定です。
市民アンケートを踏まえ、送迎車のスペース拡大や活気ある地下道、立ち寄れる空間の創出など、交通結節点としての機能強化とにぎわいの共存を目指します。整備工事は2027年度から2029年度までを予定しており、高蔵寺リ・ニュータウン計画とも連動したまちづくりが本格化します。
→春日井市 高蔵寺駅周辺の再整備
→建設通信新聞 春日井市/高蔵寺駅北口駅前広場の再整備/1.1ha、地下道を一体配置
高蔵寺駅北口駅前広場再整備の概要
1. 再整備の目的
高蔵寺ニュータウンの玄関口として魅力ある駅前空間の創出を目指す。
交通利便性とにぎわいの両立を図る整備が計画されている。
2. 課題と背景
送迎車とバスの混在や施設の老朽化、にぎわい不足が課題。
市民アンケートでも再整備を求める声が多数寄せられた。
3. 空間の再構成
交通広場・にぎわい空間・活性化施設の3ゾーンに分けて再編。
地下道との一体整備で回遊性と滞留性の向上を図る。
4. 利便性の向上
バス・タクシー乗り換えのしやすさや送迎スペースの拡大に対応。
歩行者動線の整備により東西の移動性も強化される。
5. にぎわい創出
広場には気軽に立ち寄れる滞留空間や交流スペースを設置。
昼夜問わず人が集う魅力的な駅前を目指す。
6. 今後のスケジュール
実施設計は2026年12月までに完了予定。
工事は2027~2029年度の実施を想定している。
7. 駅まち空間の潮流
全国的にも駅と街を一体で再設計する動きが強まっている。
安全・快適・魅力を備えた“駅まち空間”の形成が求められる。

高蔵寺駅北口は、高蔵寺ニュータウンの玄関口であるにもかかわらず、駅前空間が古く、他の駅と比べて魅力に欠けるという声が多く寄せられてきました。特に、公共交通と一般送迎車の動線が交錯することで、バスの運行に支障が出ていたほか、駅周辺のにぎわい不足や南北の一体感の欠如など、様々な課題が顕在化していました。こうした課題の解決に向けて、市は高蔵寺駅北口駅前広場の再整備を重要なプロジェクトと位置づけ、実施設計を進めています。

再整備にあたっては、市が実施した複数のアンケート調査の結果が反映されています。市民からは「送迎スペースの拡大」「乗り換えのしやすさ」「活気ある地下道の整備」といった意見が多く寄せられました。また、約8割の市民が交通の利便性を優先すべきと回答する一方で、滞留スペースや立ち寄れる店舗などにぎわい空間の必要性も高く支持されました。これらの声を踏まえ、利便性とにぎわいが共存する空間づくりが整備方針に掲げられました。


新たな駅前広場は、「交通広場」「活性化拠点施設」「にぎわい空間」の3つにゾーニングされ、それぞれの機能が明確に配置されます。交通広場は駅北側に配置され、送迎車やバス・タクシーの円滑な運行が可能となるよう整備されます。一方、駅との一体感を高めるため、にぎわい空間と活性化拠点施設は駅に近い南側にまとめられ、昼夜を問わず利用可能な空間を目指します。これにより、駅を「通過する場所」から「滞在する場所」へと変えていきます。

高蔵寺駅北口の再整備は、国が提唱する「駅まち空間」の考え方とも合致しています。これは、駅と駅前広場、そして周辺の市街地が一体となり、交通利便性、安全性、快適性、地域性を兼ね備えた空間を目指すもので、今後の都市整備の中核を担うものです。また、自動運転技術の進展にも備えた柔軟なデザインが求められ、高蔵寺駅前も将来的な技術革新に対応できる都市空間としての可能性が期待されています。

実施設計は、指名競争入札により国際開発コンサルタンツが受託し、契約金額は約1億2800万円です。設計期間は2026年12月11日までを予定しており、駅前広場や地下道の整備に加え、近接するふれあい公園や駐輪場の再整備も含まれています。今後は、駅前広場を利用する交通事業者との調整を図りながら、詳細設計が進められます。

整備工事は2027年度に着工し、2029年度までの3か年で完成を目指しています。施工にあたっては、交通事業者との協議を重ね、安全性や利便性を確保しながら段階的に進められる予定です。再整備により、駅前の景観や機能が大きく向上し、高蔵寺ニュータウンの玄関口としての役割を強化するとともに、より多くの人々が集まり、交流する場となることが期待されています。
最終更新日:2025年6月4日