岩波駅周辺地区は、裾野市北部に位置する工業中心の地域で、昭和30年代に立地した大手自動車製造工場の閉鎖を契機に、新たなまちづくりが検討されてきました。現在、この地区は未来の実証実験が可能なプラットフォーム「ウーブン・シティ」と連携したまちづくりの対象となっています。
本整備事業は、岩波駅周辺を短期構想として位置付け、安全で快適な交通環境の整備や自然環境の活用、都市生活施設の充実、地域活性化などを通じて、「岩波らしい自然と未来技術でつながるまち」の実現を目指すものです。これにより、北部地域や裾野市全域への波及効果を生み出し、持続可能な田園未来都市のモデルとなることが期待されています。
岩波駅周辺整備事業の概要
1. 岩波駅周辺地区の現状
裾野市北部の工業地帯としての発展と駅前交通環境の混雑。
黄瀬川や樹林地などの自然環境と生活利便施設の不足。
2. 地域課題と市民の期待
歩行者安全や景観保全、職住近接・交流拠点整備の課題。
子育て支援や商業・医療施設の充実、地域資源活用の期待。
3. 基本方針
交通結節点機能の強化と安全・快適な移動環境の整備。
自然景観や先端技術の活用による職住近接・賑わい創出。
4. 短期・中長期の整備目標
駅前広場や道路、モビリティハブの整備による利便性向上。
地域資源と未来技術融合による田園未来都市モデルの実現。
5. まちづくりデザイン
自然景観や地域資源を活かした景観調和型公共空間の整備。
次世代型モビリティ導入や市民参加による交流・賑わい創出。
6. 推進体制
PDCAサイクルに基づく段階的整備と進行管理の実施。
市民協働・公民連携による柔軟かつ効果的な施策運営。
7. 期待される効果
安全・快適な交通環境と都市生活施設の充実による住みやすさ。
ウーブン・シティ連携による地域活性化と裾野市北部への波及効果。

岩波駅周辺地区は、駅前広場にロータリーや駐車場が整備されておらず、人と車が混在する状況となっています。特に市道や国道246号沿いは通勤・通学時間帯に混雑し、歩行者が安全に通行できない課題があります。駅から周辺企業へ向かう横断歩道橋は利用者が多く、安全確保が求められています。

一方で、黄瀬川や樹林地など豊かな自然環境が残されており、「いわなみキッチン」をはじめ地域のコミュニティ拠点も存在します。さらに、国道246号沿道の東側には広大な緑地空間が広がり、民間企業の社宅や樹林地、川沿いの景観といった地域資源が点在しています。しかし、子育て支援施設や商業、金融、医療など都市生活に欠かせないサービス施設が不足しており、住民にとって暮らしやすい環境の整備が課題となっています。

岩波駅周辺地区の課題は、安全で安心な交通環境の確保と交通結節点機能の改善、自然環境や地域資源の活用による魅力発信、都市生活施設の充実による定住促進、そしてウーブン・シティや関連事業との連携によるまちづくりの推進に集約されます。市民ワークショップでは、黄瀬川や富士山の眺望、いわなみキッチン、田園風景など地域の魅力が高く評価されました。
一方で、歩道の狭さや駅前の混雑、空き店舗といった課題も指摘され、将来のまちづくりでは、歩行者空間の安全確保や景観の向上、地域資源を活かした遊歩道の整備、集える場所や交流施設の設置が求められています。また、オフィスやワーケーション施設の導入により職住近接を図ることや、地域住民や企業が主体的に関わる仕組みづくりも重要視されています。


岩波駅周辺地区のまちづくりは、交通結節点機能の強化と安全で快適な移動環境の整備を中心に進められます。また、富士山や黄瀬川など豊かな自然景観や地域資源を最大限活用し、地域ならではの魅力を発信していきます。ウーブン・シティや最先端技術を活用することで、職住近接のまちを実現し、交流や賑わいの創出にも取り組むものとされています。さらに、新たな住宅地や生活利便施設の整備により定住人口の増加を促進し、北部地域や裾野市全体に波及する地域活性化を目指す計画です。この基本方針のもと、岩波駅周辺を中心とした未来志向のまちづくりが展開されることになります。

岩波駅周辺地区の整備は、短期的には暮らしやすさの実感とまちの魅力創出を目標とし、中長期的には「田園未来都市 すその」のモデルとしての実現を目指します。安全で安心なまちづくりや交通結節点の強化、公共交通の充実を図るとともに、憩いや交流、賑わいの空間を創出し、観光拠点の整備や情報発信による地域活性化が推進されます。

市民協働や公民連携を通じて持続可能なまちづくりを進め、ウーブン・シティの波及効果を最大限に活かすことで、岩波駅周辺地区の魅力向上と定住人口増加を実現します。整備施策としては、駅前交通広場や市道整備、横断歩道橋整備、黄瀬川緑地公園や賑わい拠点施設、モビリティハブの導入などが計画されています。


岩波駅周辺まちづくりのデザインでは、地域資源や景観を未来に受け継ぎつつ、次世代型モビリティや環境負荷低減技術の導入を検討しています。具体的には、地域の素材や技術、産業の特性を活かした土や緑の地形処理や、再生材を活用した舗装、環境に配慮した照明などの導入を通じて、自然景観と調和した公共空間を創出します。また、市民が主体的に参加できる仕組みを整備し、地域活動やイベントの実施を通じて人々の交流を促進します。これにより、地域資源と未来技術をつなぎ、住む人も訪れる人も快適で魅力を感じられるまちを実現することを目指しています。

整備は段階的に進められ、2026年度を目途に駅前広場やモビリティハブ、賑わい拠点施設などの整備を優先します。短期整備計画の概算事業費は130〜170億円を見込んでおり、市民協働や民間活力の導入を通じて、賑わい創出、交通結節点整備、自然環境活用、情報発信をバランスよく実施します。計画の進行管理はPDCAサイクルに基づき行われ、社会状況や技術進化を踏まえて施策や目標を見直すことで、柔軟かつ効果的なまちづくりが推進されます。将来的には、岩波駅周辺のまちを中心に地域資源と未来技術をつなぎ、北部地域や裾野市全体への波及効果を生み出すことを目指しているとのことです。
最終更新日:2025年10月23日

