内閣府は2025年6月27日、金沢市中心部の再開発を支援するため、「金沢駅東地域」を都市再生緊急整備地域に新たに指定する政令を閣議決定しました。これにより、同地域では建物の高さ制限を除外できるようになり、税制優遇などの支援策も適用されます。指定面積は59ヘクタールで、北陸新幹線の延伸や都市間競争を見据えた都市機能の強化と、災害に強いまちづくりの両立が図られます。市の骨格となる都心軸エリアの再生を民間主導で後押しする重要な一歩となります。
金沢駅東地域 都市再生緊急整備地域の概要
1.都市再生緊急整備地域への新規指定
政府は2025年6月、「金沢駅東地域」を都市再生緊急整備地域に指定。再開発の促進や税制優遇などが可能となる。
2.指定の背景と起点となる都ホテル跡地
金沢都ホテル跡地(約4500㎡)の再開発が契機。高さ制限の撤廃により、大規模複合施設の建設が視野に入る。
3.対象地域の範囲と再開発予定地
金沢駅から片町までの都心軸約59ヘクタールが対象。金沢エムザ、日銀跡地、プレーゴなども含まれる。
4.優遇措置の具体内容
固定資産税・不動産取得税の減免、所得税・法人税の優遇といった経済的支援策が適用される。
5.市の整備方針と都市の将来像
「保全と開発の調和」を理念に、観光・商業・居住機能を統合した持続可能な都市構築を目指す。
6.防災・減災対策の重視
能登半島地震を踏まえ、インフラ耐震化、帰宅困難者対策など、安全性強化も重点課題に。
7.都心軸各地区での整備構想
片町、香林坊、南町、武蔵などのエリア特性を活かし、景観配慮・回遊性向上・多世代対応の都市空間を形成。

今回の指定の大きな契機となったのが、金沢駅前の「金沢都ホテル」跡地の再開発計画です。この跡地は現在、近鉄不動産が所有しており、約4500平方メートルの敷地が更地の状態にあります。従来、同地では都市計画法によって高さ60メートルの制限がありましたが、「都市再生特別地区」の決定を経て制限が外れれば、より自由度の高い開発が可能になります。


周辺では金沢エムザの建て替え計画や、日本銀行金沢支店跡地の再開発、2025年3月末で閉鎖予定の商業施設「プレーゴ」の再整備も予定されており、広域的な都市再生が進むことになります。

金沢市は、「保全と開発の調和」を基本理念に掲げ、歴史的な街並みと現代的な都市機能の融合を目指す整備方針を明確にしています。駅周辺の「金沢駅周辺区域」では、文化都市・学都としての個性を活かし、宿泊・業務・商業・居住といった多様な機能を高次に集積させる構想です。

さらに、国内外からの来街者に向けた観光拠点化や、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の導入による環境配慮も重視されています。加えて、能登半島地震の経験を踏まえた防災・減災機能の強化、上下水道の耐震化、災害時の帰宅困難者対策など、都市の安全性向上にも取り組みます。こうした多面的な機能強化により、金沢市は持続可能な都市像の実現を図ろうとしています。

都心軸区域には、伝統環境との調和を重視した整備方針が打ち出されています。近江町市場を抱える武蔵地区、オフィスやホテルが集積する南町、商業文化が根付く香林坊、北陸随一の繁華街である片町、それぞれの地区の特性を活かしながら、回遊性の向上や景観への配慮が進められます。

また、緊急輸送道路沿道の老朽建築物の耐震化、空き店舗の活用支援、若年層や子育て世代が楽しめる都市空間づくりなど、多世代に開かれたまちづくりが進められます。さらに、地下空間の整備やモビリティハブの導入によって、公共交通との接続性が向上し、歩行者にやさしい都市環境も形成されます。金沢市は、民間主導で再開発が具体化するこの機会を都市全体の発展に波及させることで、観光と産業の両立した「格調高いにぎわい都市」の実現を目指しています。
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最終更新日:2025年6月27日