東京都中央区で整備が計画されている歩行者空間「Tokyo Sky Corridor」の起点である「汐留JCTエリア」と終点である「京橋JCTエリア」を結ぶ新たな広場空間「築地川アメニティ整備構想」が進められています。
1964年の東京オリンピックを契機に、東京都心部の都市基盤整備が急速に進められました。その一環として築地川は埋め立てられ、その上に首都高速道路都心環状線の一部である「築地川区間」が整備されました。しかし、それから約60年が経過し、インフラの老朽化が進んだことで、安全性や利便性の観点から抜本的な見直しが求められています。
こうした背景を踏まえ、中央区は新たな都市アメニティ空間の創出を目指し、「築地川アメニティ整備構想」を策定しました。本構想では、築地川区間の上部空間を有効活用し、緑豊かで安全な都市空間を整備することを基本方針としています。2023年10月31日には、中央区、首都高速道路株式会社、日本高速道路保有・債務返済機構の3者による基本協定が締結され、本格的なプロジェクトの始動が決定しました。
整備対象となるのは、築地川区間の三吉橋から万年橋にかけてのエリアです。この区間では、首都高速道路の更新事業と並行して、擁壁の補強や覆蓋化(上部空間の活用を目的とした構造物の整備)が進められる予定です。これにより、交通インフラの安全性を確保しつつ、新たな都市の憩いの場としての機能を備えることが期待されています。緑地の整備や歩行者ネットワークの強化を通じて、住民や訪問者にとって魅力的な空間を創出することが、「築地川アメニティ整備構想」の大きな目標です。
→中央区 築地川アメニティ整備構想
→首都高速道路株式会社 都心環状線(築地川区間)の更新事業にあわせて、上部空間を活用した魅力的な都市空間の創出に貢献していきます
築地川アメニティ整備構想の概要
- 構想の背景
1964年東京オリンピックを契機に築地川が埋め立てられ、都市基盤として首都高速都心環状線が整備された。東京2020大会を迎えるにあたり、自然豊かで快適な都市アメニティ空間の創出を目指し、2019年9月に「築地川アメニティ整備構想」が策定された。 - 首都高の老朽化と更新事業の必要性
建設から60年が経過し、コンクリートの劣化や鉄筋の腐食が進行。古い基準で設計されており、耐震性にも課題があるため、現行基準に適合する新たな擁壁への更新が求められている。 - 基本協定の締結
2024年10月31日、中央区・首都高速道路株式会社・日本高速道路保有・債務返済機構の3者が基本協定を締結。三吉橋から万年橋区間において、首都高の更新事業と連携しながら、掘割部の覆蓋化と都市空間の整備を一体的に進めることを決定。 - 都市空間の創出とまちづくり
上部空間を活用し、憩いとにぎわいの場となる「緑豊かなアメニティ空間」を形成。銀座・築地の回遊動線を強化し、歩行者の利便性向上を図るとともに、にぎわいを創出するまちづくりを推進。 - 緑化空間の拡充
新たな緑化空間を創出し、浜離宮恩賜庭園や築地周辺の緑とつながる「水と緑のネットワーク」を形成。ヒートアイランド現象の緩和や生物多様性の確保にも寄与。 - 安全・安心な都市環境の整備
快適な都市生活を支えるアメニティ環境を整備するとともに、大規模災害時の一時避難場所としての機能を持たせる。文化イベントなどを開催できるパブリックスペースの創出も計画。 - 今後の課題と進め方
交通渋滞を極力発生させずに工事を進める必要があり、関係機関との協議調整が不可欠。首都高の更新事業や周辺のまちづくりと連携し、事業スキームや維持管理方法を検討しながら計画を推進していく。

築地川アメニティ整備構想では、現在の高速道路が覆う築地川区間の上部空間を活用し、都市緑化を進める計画が推進されています。この構想の核となるのは、かつて水辺空間としての役割を果たしていた築地川の特性を活かしながら、現代の都市環境に適した新しい緑地空間を形成することです。
このエリアでは、植栽を増やすことで都市のヒートアイランド現象を軽減し、地域の環境負荷を低減する取り組みが行われます。また、動植物が生息できる空間を確保することにより、都市の生態系を保全し、環境の持続可能性を向上させることも目指しています。加えて、公園や遊歩道の整備によって、地域住民や訪問者が憩い、散策できる快適な空間を提供することが計画されています。
さらに、既存の都市基盤と調和しながら、新たな文化・交流の場として活用できるようなデザインが検討されています。イベントやマーケットの開催が可能な広場を設けることで、周辺地域のにぎわいを創出し、地域経済の活性化にも貢献することが期待されています。


本整備計画の対象となるのは、東京都中央区に位置する築地川区間の三吉橋から万年橋にかけてのエリアです。この区間は、首都高速道路の一部として長年にわたり利用されてきましたが、老朽化が進行しており、安全性や都市景観の観点から改善が求められています。
今回の整備計画では、首都高速道路の更新工事と併せて、築地川区間の上部空間を活用し、都市の利便性と快適性を向上させることが目標とされています。このエリアは銀座や築地といった商業・観光エリアに隣接しているため、歩行者の回遊性を向上させることも重要な要素となります。
また、地域住民や観光客が安全に移動できる歩行空間の整備も計画されており、自転車道やベンチの設置、バリアフリー設計の導入など、多様なニーズに対応した都市空間の創出が進められる予定です。

本整備構想では、都市部に新たな緑地空間を創出することを重視しており、樹木や芝生を配置することで、都市環境における自然との共生を促進します。これにより、都市のヒートアイランド現象を緩和し、空気の質を改善するとともに、快適な景観を提供することが期待されます。また、地域住民が日常的に利用できる公園空間としての役割も果たし、リラックスやレクリエーションの場として活用されることを想定しています。

築地川アメニティ整備構想では、築地・銀座エリアを一体的に結びつける歩行者ネットワークの強化が図られます。特に、築地市場跡地や銀座エリアと連携することで、地域全体の回遊性を向上させることが重要視されています。歩道の幅を拡張し、バリアフリー設計を導入することで、高齢者や障害を持つ方々も安心して利用できる環境を整備します。さらに、街路灯や案内板の整備により、利便性を向上させる取り組みも進められます。

都市のにぎわいを生み出すための多様な空間を整備することも計画されています。広場やベンチを配置し、地域住民や訪問者が自由にくつろげるスペースを提供するほか、定期的にイベントを開催できるような広場を設けることで、地域の文化・経済の発展にも貢献します。さらに、非常時には避難スペースとしての機能を持たせることで、防災の観点からも有用な空間となることが期待されています。

現在の築地川区間の航空写真を見ると、首都高速道路の掘割が都市空間を分断し、景観的にも道路のアスファルトで覆われた印象を与えています。しかし、築地川アメニティ整備構想が実現すれば、都市機能を維持しながら、緑豊かなオープンスペースが生まれ、都市に開かれた空間へと変貌することが期待されます。今後も関係機関との協議を進めながら、持続可能な都市環境の実現に向けた取り組みが続けられる予定です。
最終更新日:2025年2月16日