市川塩浜第1期土地区画整理事業は、東京湾の最奥部に位置する塩浜地区において、市民が海と自然に親しめるまちづくりを目的に実施された事業です。平成17年に策定された「塩浜地区まちづくり基本計画」に基づき、官民協働で進められたこのプロジェクトは、令和2年3月に正式に完了し、道路や公園、宅地などの基盤整備が整いました。
現在、この地域では新しい土地利用の展開が進んでおり、海辺の特性を活かした賑わいある街づくりが目指されています。さらに、塩浜2丁目市有地では、既存の市民プールの機能を引き継ぎつつ、年間を通じて多くの人々が集える「(仮称)塩浜マリンパーク」の整備が計画されており、海辺の魅力と公共交通の利便性を活かした都市空間の創出が期待されています。
→市川市 塩浜2丁⽬市有地整備⽅針(素案)
→市川市 市川塩浜第1期土地区画整理事業
市川塩浜第1期土地区画整理事業/(仮称)塩浜マリンパークの概要
1. 土地区画整理事業の概要
市川塩浜地区における基盤整備事業。土地利用の再編と都市空間の創出。
2. 位置と交通条件
東京湾最奥部に位置する臨海地域。首都圏へのアクセスに優れた交通利便性。
3. 事業の経緯
平成22年から令和2年まで段階的に進められた計画。施行認可と換地処分公告の完了。
4. 歴史的背景
江戸時代からの塩田・漁業文化。宿場町・港町としての歴史と伝統文化。
5. 市川塩浜駅周辺整備
駅周辺の再整備と官民協働のまちづくり。交通機能と公共空間の整備。
6. 塩浜2丁目市有地整備
海辺の特性を活かした市有地の活用。多世代が楽しめるレジャーと散策空間。
7. (仮称)塩浜マリンパーク整備計画
海辺の魅力を活かしたレジャー施設の整備。年間を通じた賑わい創出と都市空間の形成。

市川塩浜第1期土地区画整理事業は、平成22年に市川市と関係権利者によって準備会が設立されたことから始まりました。その後、平成28年に「市川塩浜第1期土地区画整理事業地権者会」と名称を変更し、事業計画の検討や関係機関との協議を進めてきました。施行認可は平成29年3月に千葉県から取得され、道路や公園などの基盤整備工事は平成31年度に完了しました。
令和2年1月に換地処分公告が行われ、同年3月には事業が正式に終了しています。整備された宅地は今後、新しい街として土地利用が進められ、海辺の特性を活かした魅力ある地域づくりが展開されます。塩浜地区は歴史的には戦国時代から幕府直轄の塩田地帯として知られ、江戸時代には漁業と港町として栄え、神社や仏閣の文化も発展してきました。こうした歴史と文化を背景に、現代では第一次産業から第二次・第三次産業へと多様な産業構造を有する地域へと発展しています。

施行地区は東京湾の最奥部に位置し、南側には稚魚やアサリなど海の生物を育む浅海域「三番瀬」が広がっています。北側には千葉県の鳥獣保護区域や宮内庁新浜鴨場を含む「行徳近郊緑地特別保全地区」があり、貴重な自然環境に恵まれています。交通面では首都高速湾岸線や東関東自動車道、国道357号を介して都心や成田空港、千葉方面に接続しており、ベイエリアを結ぶJR京葉線の市川塩浜駅からは東京駅まで約20分でアクセス可能です。このため、地域内外からの来訪が容易であり、海辺のレジャーやスポーツ施設の集客にも大きな利便性を発揮します。

事業の経緯は、平成22年度から28年度にかけて認可手続きや調査設計業務を実施し、平成29年3月に施行認可を受けました。翌月には仮換地指定が行われ、6月に起工式が実施されました。平成29年から31年度にかけて道路や公園などの基盤整備工事が進められ、令和2年1月に換地処分公告、同年3月に事業終了認可を受けています。
事業期間中、個人施行により、駅前広場や市有地、宅地などの整備が進められ、環状交差点(ラウンドアバウト)などの交通施設も整備されました。このような段階的かつ計画的な整備により、土地利用の基盤が整い、今後の街の発展に向けた準備が整いました。


塩浜地区は、戦国時代から徳川幕府の直轄塩田として知られ、江戸時代には漁業や海苔の養殖が盛んでした。また、成田街道の入口として宿場町や港町としても栄え、地元の人々は神社仏閣の建造や神輿づくりに尽力しました。これにより、全国の神輿の約4割が行徳の神輿といわれるほどの伝統文化を形成しました。近年では、豊かな漁場や港湾施設に加え、京浜工業地域の一部として産業の拠点となり、首都圏のベッドタウンとして住宅や商業施設も整備されるなど、歴史的な文化と現代的な都市機能が融合した地域へと変貌しています。今後は、ICTやIoTなど新たな技術を活用した複合型産業(第五次・第六次産業)の展開も期待されています。


昭和58年に京葉線が旅客化されて以降、駅周辺の再整備が検討されてきました。当初の市川二期地区再整備計画は、平成13年に埋立計画中止に伴い見直されました。その後、三番瀬の再生と連携したまちづくりが基本方針とされ、平成14年には地元企業が「市川市塩浜協議会まちづくり委員会」を発足させ、官民協働で計画づくりが進められました。平成17年には「塩浜地区まちづくり基本計画」が策定され、平成19年には先行地区の地権者と市川市が協働して推進協議会を設立しました。こうした歴史を経て、平成29年に土地区画整理事業の施行認可を取得し、令和2年には事業が完了しています。

塩浜2丁目市有地の活用は、昭和40年代の埋立事業によって形成された臨海工業地帯の一部を、海辺の特性と自然環境を活かした都市空間へ転換する取り組みです。三番瀬や行徳近郊緑地といった希少な自然環境を背景に、年間を通じて市民が集い賑わう空間を創出することを目的としています。
既存の市民プールのレジャー機能を引き継ぎつつ、より多様な世代が楽しめるレジャープールや散策空間、飲食・憩いの場などを整備する計画です。また、隣接する海岸には、幅約100メートル、奥行き約50メートルの人工干潟を造成する計画もあります。施設の整備に際してはカーボンニュートラルの観点も取り入れ、環境負荷を抑えつつ魅力ある都市空間の形成を目指しています。


整備計画では、塩浜2丁目市有地を「(仮称)塩浜マリンパーク」として、海辺の立地特性を活かした土地利用、レジャープール機能、年間を通じた賑わい創出、公共交通の利便性を活かした集客の4つの視点から検討しています。レジャープールには造波プールや流流水プール、スライダー、子ども用プール、プールアスレチックなど、多世代が楽しめる機能が整備される予定です。

また、開放的な空間を活かした散策路や憩いの場、飲食・イベント機能を設けることで、地域住民や来訪者が気軽に立ち寄り、海辺の魅力を感じられる都市空間が形成されます。JR市川塩浜駅から徒歩数分の立地を活かし、公共交通機関の利用促進や電車から見える景観の工夫も盛り込み、周辺のスポーツ施設と連動した「(仮称)塩浜アーバンスポーツエリア」の形成を視野に整備が進められます。
過去の記事→2019年2月25日投稿 市川塩浜第1期土地区画整理事業
最終更新日:2025年10月18日

