SOMとGADが設計した「杭州科创中心商务区(Hangzhou Science and Technology Innovation CBD)」は、中国・杭州のイノベーションを支える新しい都市ビジネス地区で、江南地方の伝統的な景観と先進的な交通インフラを融合した、約3.7平方キロメートルの広大なマスタープランです。この計画では、杭州の西部科学技術イノベーション回廊の中心に位置することで、都市全体および全国との交通アクセスが強化され、杭州がグローバルな技術拠点として発展するのを支援するものとされています。
計画の概要
- 交通・アクセス強化:新たに開業した杭州-温州鉄道や地下鉄網の整備により、杭州西駅を中心とするアクセスネットワークが強化され、中国全土の主要都市との接続性が向上します。
- 道路網の整備:幹線道路網と支線道路の整備で、コアエリアの都市基盤が完成します。
- 都市スカイライン:高さ100メートル超の高層ビルが22棟建設され、「雲城」のランドマークとなるツインタワーや複合施設も建設されます。
- エコロジカルなグリーンエリア:雲門公園や中央緑地など、30ヘクタールの緑地が整備され、住民が憩える都市の「緑の心臓」となります。
- 生活機能の向上:教育機関や再定住住宅、商業施設の開発で、住民の生活が豊かになります。
- スーパーTODクラスター:新たな交通システムと経済圏を形成し、雲城の都市機能が充実します。
- 産業集積と学術連携:浙江大学などの研究機関や企業が進出し、産学連携によるイノベーション拠点を構築します。
- イノベーション産業の発展:「インターネット+」「AI+X」などのハイテク産業クラスターが形成され、科学技術イノベーションの中心地となります。
デザインの特徴として、緑の軸と呼ばれる中心の公園を基軸に、ビジネス成長を支援する8つのU字型クラスターが配置されています。さらに、産業クラスターや柔軟な建築構成を取り入れることで、革新的な企業の多様なニーズに対応できる構造です。CBD全体は、持続可能性とエコロジーにも重点を置き、都市の自然生態系と健康的なライフスタイルの促進を図っています。
このデザインは、ジョギングコース、屋外スポーツ施設、文化施設を備えた約1.2平方キロメートルの緑地を含み、住民の生活の質向上にも寄与します。また、5つのテーマグループに分けられたエリアを設け、産学連携やイノベーションの推進も目指しています。この杭州CBDは杭州の「世界クラスの都市軸」の一部として位置づけられ、杭州の都市戦略の重要な要素として、将来的なイノベーションセンターへの成長が期待されています。
最終更新日:2024年11月1日