スイスの建築家ヴァレリオ・オルジアティが設計した複合施設「ルガ・アデム・ジャシャリ」は、アルバニアの首都ティラナに新たな都市のランドマークとして誕生します。このプロジェクトは、都市の中心部と自然との調和を目指し、都市のグリッドと隣接する公園の境界に位置しています。開発には、アパートメント、ホテル、小売スペースを含む3つの赤いコンクリートの超高層ビルが含まれ、それぞれ150メートル、192メートル、266メートルの高さを誇ります。
これらのタワーは、共有の基盤から立ち上がり、記念碑的な存在感を放つデザインが特徴です。さらに、中央には白い階段状のピラミッド「ジッグラト」が配置され、都市の機能性と彫刻的な美しさを兼ね備えています。この施設全体は、建築と自然、都市と人々をつなぐ新たな空間を提供することを目的としています。

「ルガ・アデム・ジャシャリ」プロジェクトの中心となるのは、赤みがかった顔料入りのコンクリートで構築された3つのタワーです。これらのタワーは、それぞれ異なる高さを持ち、都市のグリッドに調和しながらも彫刻的な存在感を発揮します。
タワーの外装にはむき出しの柱が配置されており、これらの柱は構造的な力を視覚的に表現すると同時に、建築全体に緊張感と安定感を与えています。このようにして、タワーは都市の一部でありながらも、象徴的な「トーテム像」のような役割を果たす存在として設計されています。一方で、タワーの基盤部分は公共広場として機能し、都市と隣接する公園を結びつける役割を果たします。この広場には松の木が植えられ、自然との一体感を生み出しています。

プロジェクト全体のデザインには、松の木の植栽が重要な要素として取り入れられています。これにより、開発区域全体があたかも庭園であるかのような印象を与えています。
3つのタワーは赤いコンクリートで作られており、その土っぽい色調は周囲の地形と調和しつつも、建物が地中から自然に成長しているかのような印象を生み出しています。この設計は、都市の中に自然を取り入れるという目標を象徴するものであり、広場全体のデザインと連動しています。タワーの高さや配置は都市の景観を新たに定義し、視覚的にも物理的にも公園とのつながりを強調しています。

3つのタワーの間には、階段状の白いジッグラトが象徴的に設置されています。このジッグラトは、塔の赤いコンクリートの色調とは対照的な白いコンクリートで作られ、その純粋で抽象的な形状が建築的な彫刻のような存在感を放っています。
階段部分には松の木が植えられ、それぞれの段が緑で彩られることで、建築と自然のギャップを埋める役割を果たしています。さらに、このジッグラトは地上部分だけでなく、地下にまで広がる小売スペースを備えており、機能的にも美的にもプロジェクト全体の中心的な存在となっています。

タワー内部の空間設計は、住居やホテルなど多様な用途に柔軟に対応できるように設計されています。構造要素の配置によって、自由度の高いフロアプランが実現されており、各階が多様なニーズに合わせてカスタマイズ可能です。また、内部仕上げにはむき出しのコンクリートや大理石が使用され、高級感とシンプルさを兼ね備えた空間が広がっています。この設計は、機能性だけでなく、居住者や訪問者に洗練された居心地の良い環境を提供することを目指しています。


このプロジェクトの立地は、都市のグリッドと隣接する公園の境界にあります。そのため、プロジェクト全体が都市と自然の接続点としての役割を果たすことを意図しています。タワーの基盤部分に広がる公共広場は、松の木や開放的な空間によって街と公園をつなぐ緩衝地帯となっています。これにより、都市生活の利便性を享受しながら、自然を感じられる空間が生み出されています。

「ルガ・アデム・ジャシャリ」は、ティラナの大規模な都市変革プロジェクトの一環として開発されています。この都市変革は、持続可能な成長や都市生活の質の向上を目指しており、今回のプロジェクトはその重要なピースとして位置付けられています。
ステファノ・ボエリが提案したティラナ2030マスタープランの下で、都市は大きな進化を遂げていますが、「ルガ・アデム・ジャシャリ」は、ティラナに新しい都市的魅力とアイデンティティをもたらす象徴的な建築物としてその中核を担っています。
最終更新日:2025年1月27日