東急電鉄大井町線の戸越公園駅付近では、約0.9kmの区間を高架化し、6カ所の踏切を除却する連続立体交差事業が進められています。事業区間は品川区豊町二丁目から戸越六丁目にかけて設定され、戸越公園駅も高架化される計画です。鉄道の高架化とあわせて鉄道付属街路を整備することで、踏切による交通渋滞や歩行者の踏切待ちを解消するとともに、道路と鉄道によって分断されていた地域の一体化を図るものとされています。
さらに、補助第29号線の整備や戸越公園駅交通広場、市街地再開発など周辺のまちづくりと連携し、交通結節機能の強化、歩行者空間の充実、防災性の向上、商店街のにぎわい創出を目指す大規模な都市基盤整備となります。2026年2月6日に事業認可を取得し、事業期間は2036年3月31日までが予定されています。
東急電鉄大井町線(戸越公園駅付近)連続立体交差事業の概要
1.約0.9kmを高架化する連続立体交差事業
東急大井町線の戸越公園駅付近約0.9kmを高架化する鉄道立体交差事業
鉄道と道路の立体化による地域分断の解消と交通環境の改善
2.6カ所の踏切を除却し交通環境を改善
事業区間内にある6カ所の踏切を除却し、踏切による交通混雑や待ち時間を解消
歩行者・自転車の安全性向上と道路交通の円滑化
3.戸越公園駅も高架化へ
地上駅となっている戸越公園駅を高架駅へと移設し、鉄道と周辺道路の立体化を実現
駅利用者の安全性向上とバリアフリー化を見据えた駅周辺環境の改善
4.鉄道付属街路を整備し周辺道路も再編
連続立体交差事業とあわせて鉄道付属街路を整備し、駅周辺の道路ネットワークを再構築
歩行者空間の確保と地域内の回遊性・防災性向上を図る道路基盤整備
5.約1,700㎡の戸越公園駅交通広場を整備
戸越公園駅前に約1,700㎡の交通広場を整備し、駅・商店街・戸越公園を結ぶ地域の玄関口を形成
タクシー・バスなどの交通機能に加え、休憩・交流・イベントにも対応する駅前空間
6.再開発や商店街整備と一体的にまちづくり
駅前再開発や補助第29号線の整備と連携し、駅周辺の商業・住宅・公共空間を一体的に更新
商店街のにぎわい創出と歩行者ネットワーク、防災性、緑豊かな住環境の向上
7.2036年3月の事業完了を目指す計画
2023年10月に都市計画決定、2026年2月に都市計画事業認可を受け、事業を本格化
2036年3月31日までを事業期間とし、戸越公園駅周辺の交通・防災・まちづくり機能を強化する計画

東急大井町線の戸越公園駅付近では、戸越公園駅を中心とする約0.9km区間を対象に、鉄道を高架化する連続立体交差事業が進められています。事業区間は品川区豊町二丁目から品川区戸越六丁目までとなっており、現在の地上を走る大井町線を高架構造へと切り替える計画です。構造形式は高架方式で、鉄道施設だけでなく、周辺の道路整備と一体となった都市基盤整備として進められます。
本事業では、鉄道の高架化によって道路と鉄道を連続的に立体交差化し、これまで線路によって分断されていた地域の交通環境が改善されます。東京都が事業主体となり、道路整備の一環として都市計画事業が実施される計画で、東急電鉄大井町線の高架化と鉄道付属街路の整備を組み合わせることで、安全で快適な市街地形成を目指すものとされています。

事業の大きな目的の一つが、6カ所の踏切の除却です。対象となるのは、下神明1号踏切、下神明2号踏切、戸越公園1号踏切、戸越公園2号踏切、戸越公園3号踏切、戸越公園4号踏切の6カ所です。これらの踏切は、鉄道と道路が同一平面上で交差することから、列車通過時の交通遮断や歩行者の踏切待ちなど、周辺交通に影響を与えています。
高架化によってこれらの踏切がなくなることで、踏切による交通渋滞や歩行者の待ち時間が解消されるほか、道路交通の円滑化が期待されます。また、踏切事故のリスクがなくなり、道路と鉄道それぞれの安全性も向上します。さらに、緊急車両の円滑な通行や救援活動が可能となることで、地域の防災性向上にもつながります。

事業区間の中心となる戸越公園駅も高架駅へと姿を変える計画です。現在の戸越公園駅は地上駅で、相対式ホーム2面2線を備えていますが、連続立体交差事業では鉄道そのものを高架化することにより、駅を含めた鉄道施設全体の立体化が進められます。
戸越公園駅についてホーム延長約110m、ホーム幅員約6~8mとされており、完成時の高架構造は標準的な区間で約11m、戸越公園駅部では約16mの高さとなる計画が示されています。工事は、現在の線路を維持しながら仮線への切り替えや高架橋の構築などを段階的に進め、最終的に上下線を高架化する施工ステップが想定されています。


連続立体交差事業では、鉄道の高架化だけでなく、鉄道付属街路(側道)の整備も計画されています。付属街路は第1号線から第3号線までの3路線で構成され、延長はそれぞれ約40m、約60m、約220m、幅員はいずれも6mとなっています。高架化によって生まれる空間や周辺の道路ネットワークを活用し、鉄道と道路を一体的に整備することで、地域の交通環境も再編されます。
また、事業区間では都市計画道路「補助第29号線」とも交差します。補助第29号線は計画幅員20mで整備が進められており、鉄道立体化と道路整備を組み合わせることで、南北方向だけでなく東西方向を含めた道路・歩行者ネットワークの形成が期待されています。これにより、駅周辺の回遊性を高めるとともに、商店街や戸越公園など周辺施設を結ぶ新たな動線の形成が進められます。


鉄道立体化と連携して、戸越公園駅周辺では交通広場の整備も計画されています。品川区は品川区画街路第8号線について2023年10月10日に都市計画決定し、2026年2月6日に都市計画事業認可を取得しました。計画されている区画街路は延長約60m、2車線、幅員15~42mで、約1,700㎡の交通広場が設けられる計画です。
交通広場は単なる駅前の車両スペースではなく、地域の玄関口としての役割を担う空間として計画されています。タクシーや自家用車が乗り入れられる交通結節機能に加え、将来的なバスの乗り入れにも対応できる空間が確保されます。また、イベントなどにも活用できる広場空間、戸越公園を連想させる緑豊かな景観、案内・誘導機能、防災機能などを備え、駅と商店街、戸越公園をつなぐ地域生活拠点の形成が目指されています。


戸越公園駅周辺では、連続立体交差事業だけでなく、市街地再開発や補助第29号線整備、駅前広場整備などが並行して進められています。戸越五丁目19番地区では第一種市街地再開発事業が進められ、住宅・店舗・駐車場などからなる「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」が建設されました。一方、戸越公園駅北地区でも第一種市街地再開発事業の都市計画が2025年5月30日に決定され、事業実施に向けた手続きが進められています。
こうした複数の事業を連携させることで、駅前の歩行者空間や商業機能を強化し、既存商店街のにぎわいを維持・向上させるまちづくりが進められます。特に鉄道立体化を契機として、商店街から駅、戸越公園へとつながる歩行者ネットワークを形成し、駅の南北だけでなく東西方向にも人の流れを生み出すことが目指されています。

戸越公園駅付近の鉄道立体化は、長年にわたって検討されてきた事業です。2021年4月には戸越公園駅付近が鉄道立体化の新規着工準備箇所として採択され、2023年2月に都市計画素案の説明会、同年10月に都市計画決定、同年12月に用地測量等説明会が行われました。その後、2026年2月6日に都市計画事業認可を取得し、同年8月には用地補償説明会が開催されています。
事業期間は、都市高速鉄道事業・道路事業(鉄道付属街路)ともに2026年2月6日から2036年3月31日までとされています。今後は用地補償や工事説明などを進めながら、現在の線路を段階的に高架へ切り替えていくことになります。約0.9kmの高架化による6カ所の踏切除却を軸に、駅前交通広場、補助第29号線、再開発、商店街整備などを一体的に進めることで、戸越公園駅周辺は交通利便性だけでなく、防災性や回遊性、にぎわいを備えた新たな地域生活拠点へと変貌していくことが期待されます。
出典∶東京都/品川区/東急電鉄株式会社 東急大井町線(戸越公園駅付近)連続立体交差事業
最終更新日:2026年9月16日