日本最大の国際空港である成田国際空港では、C滑走路の新設やB滑走路の延伸による「更なる機能強化」が進められており、年間発着容量は現在の34万回から50万回へと拡大する計画です。これに伴い、将来的な旅客数は年間7,500万人規模に達すると見込まれており、旅客ターミナルや貨物施設、鉄道アクセスの抜本的な機能強化が必要となっています。
こうした状況を受けて、国土交通省は2026年7月6日、「今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会 最終とりまとめ」を公表しました。最終とりまとめでは、集約型ワンターミナル方式による新ターミナルの整備、京成高架新駅の新設、JR・京成線の駅改良や複線化、都心・羽田空港方面へのアクセス強化など、2030年代を見据えた大規模な再整備の方向性が示されています。
成田空港施設の機能強化の概要
1.年間発着容量50万回に向けた空港機能強化
C滑走路新設やB滑走路延伸により、年間発着容量50万回体制への移行。
旅客・貨物・鉄道アクセスを一体的に強化する大規模再整備計画。
2.集約ワンターミナル方式による新ターミナル整備
既存施設を活用しながら段階的に新ターミナルを整備し、最終的なワンターミナル化。
商業・交通結節・都市機能を備えた日本の新たな空の玄関口。
3.京成高架新駅の新設と東成田駅の再編
東成田駅付近に京成高架新駅を整備し、新ターミナルへ直結する駅機能を構築。
東成田駅との一体運用や新たなアクセスネットワークの形成。
4.JR・京成線の駅改良と複線化による輸送力向上
空港駅・空港第2ビル駅のホーム増強や単線区間の複線化を推進。
将来的な利用者増加に対応する鉄道輸送力と利便性の大幅向上。
5.都心・羽田空港方面への直通アクセス強化
新型有料特急の押上・品川・羽田空港方面への直通運転を段階的に実現。
首都圏空港ネットワークの強化と移動時間短縮の実現。
6.貨物施設・DX・脱炭素化を含む空港機能の高度化
新貨物地区の整備や自動搬送システム、顔認証技術など先端技術を導入。
物流効率化と環境負荷低減を両立する次世代国際ハブ空港の実現。
7.2030年代を見据えた世界トップクラスの国際空港への進化
新ターミナルや新駅、貨物地区の供用開始を順次進める長期整備計画。
日本の国際競争力を支える世界水準の航空・物流拠点の形成。

成田空港では、年間発着容量50万回の実現により、将来的な旅客数が現在を大きく上回る年間7,500万人規模になると予測されています。この需要に対応するため、現在の第1・第2・第3ターミナルを発展的に再編し、集約ワンターミナル方式による新たな旅客ターミナルを整備する方針が示されました。


新ターミナルは一度に完成させるのではなく、需要の増加に応じて段階的に整備されます。まず2030年代に「ステップ1」として新ターミナルの供用を開始し、第1ターミナルと一体運用を行います。その後、旅客需要の拡大に合わせて施設を順次拡張し、最終的には全機能を集約したワンターミナル化を目指します。既存施設を活用しながら段階的に整備することで、空港機能を維持したまま再開発を進める計画です。
さらに、新ターミナルは単なる空港施設ではなく、鉄道やバス、タクシーなどと直結する交通結節点として整備されるほか、商業施設やオフィスなど都市機能も備えた新たな空港拠点となります。日本の玄関口にふさわしい快適性や魅力を備え、地域との連携拠点としての役割も担うことが期待されています。

今回の最終とりまとめで大きな注目を集めたのが、成田スカイアクセス線、京成本線の高架化と新駅整備です。
現在の東成田駅付近に3面5線の京成高架新駅を整備し、新ターミナルへ直接接続する新たな玄関口とします。高架新駅には新ターミナルへ直結する改札口と、第2ターミナルへ接続する改札口を設け、利用者が分かりやすく移動できる構造とする計画です。また、現在の東成田駅については高架新駅との一体運用が検討されており、京成本線とスカイアクセス線を連絡線で接続する構想も盛り込まれました。

東成田駅は1978年の開港時には「成田空港駅」として開業し、その後1991年に現在の成田空港駅が開業したことで役割を変更しました。現在は空港従業員などの利用が中心となっていますが、今回の整備により再び空港アクセスの重要拠点として新たな役割を担うことになります。
さらにJR側でも、成田空港駅と空港第2ビル駅のホーム増強や複線化、新ターミナルへ接続する新改札口の整備が計画されており、京成・JR双方で抜本的な駅機能強化が進められます。


鉄道アクセスについては、空港利用者の急増を見据えた輸送力強化が盛り込まれました。
成田スカイアクセス線、京成本線では、高架新駅から東関東自動車道付近まで新線を整備して高架・複線化するとともに、成田湯川駅方面の単線区間も複線化します。また、印旛日本医大駅から新鎌ヶ谷駅間では、有料特急専用線を整備し複々線化を図る方針です。


一方、JR線では空港第2ビル駅から東関東自動車道付近まで既存スカイアクセス線跡地を活用して複線化し、さらに成田駅方面の単線区間についても複線化を進めます。これにより、京成線とJR線の運行能力を大幅に高め、将来的な混雑を抜本的に緩和することを目指します。
整備完了後には、スカイライナーや新型有料特急、アクセス特急、成田エクスプレス(NEX)の運行本数を大幅に増やすことが可能となり、鉄道全体で現在の約1.8倍の輸送力確保を目指しています。スカイライナーや新型有料特急の所要時間短縮も見込まれ、都心と成田空港を結ぶアクセスの利便性は大きく向上する見込みです。

最終とりまとめでは、空港アクセスをさらに強化するため、京成電鉄の新型有料特急による都心・羽田空港方面への直通運転も示されました。
まず2028年度には押上駅までの乗り入れを開始し、その後2030年代には都営浅草線・京急線を経由して品川駅まで直通運転を実現する計画です。さらに、羽田空港第1・第2ターミナル駅の引上線整備後には、羽田空港までの直通運転も目指すものとしています。


これにより、成田空港と東京都心、さらには羽田空港とのアクセスが飛躍的に向上し、首都圏空港ネットワーク全体の利便性が高まることが期待されています。一方で、ホームドアや運行管理システムへの対応、車両規格の調整、乗務員確保など技術面・運用面の課題も多く、今後も鉄道事業者間で協議を進めることとしています。


今回の最終とりまとめは、新ターミナルや鉄道整備だけにとどまらず、貨物施設の集約・高度化、DXの推進、脱炭素化なども含めた成田空港全体の将来像を示しています。
新貨物地区では物流機能を集約し、自動搬送システムや空港隣接地との一体運用によって東アジア有数の貨物ハブ空港を目指します。また、新ターミナルでは顔認証や自動搬送設備など最新技術を導入し、世界最高水準の利便性・効率性を備えた空港づくりを進めます。

今後は2026年度から各事業のマスタープラン策定や事業着手に向けた検討が本格化し、2030年代には新ターミナル、高架新駅、新貨物地区など主要施設の供用開始が予定されています。成田空港は滑走路の増強だけでなく、空港施設・鉄道・物流・都市機能を一体的に再構築することで、日本の国際競争力を支える世界トップクラスのハブ空港へと進化していくことになります。
出典:国土交通省 今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会
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最終更新日:2026年7月7日