2025年5月、高田馬場駅東口地区市街地再開発準備組合が開催した総会において、中央日本土地建物株式会社および日鉄興和不動産株式会社の2社が、本格的な再開発に向けた事業協力者として正式に選定されました。6月には準備組合と両社との間で「事業協力に関する基本協定書」が締結され、今後は地権者や関係機関との協議を進めながら、計画の具体化が進められていきます。
この再開発は、JR山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線の3路線が交差する高田馬場駅東口周辺(約1.7ヘクタール)を対象とするもので、安全で快適な都市空間の創出、魅力的な公共施設の整備、災害への強さを備えた都市基盤の更新など、さまざまな地域課題への対応を通じて、「新しい高田馬場」を形づくる壮大な都市再生プロジェクトです。
→中央日本土地建物株式会社/日鉄興和不動産株式会社 高田馬場駅東口地区市街地再開発準備組合の事業協力者に選定
→新宿区 高田馬場駅周辺のまちづくり
高田馬場駅東口地区市街地再開発と周辺のまちづくりの概要
1. 事業協力者の選定と再開発の始動
2025年5月、中央日本土地建物と日鉄興和不動産が事業協力者に正式決定され、6月に基本協定を締結。再開発準備組合とともに計画の具体化が本格化。
2. 再開発対象エリアと目的
対象は高田馬場駅東口周辺の約1.7ヘクタール。老朽建物の更新、防災性の強化、公共空間の整備を通じて、より安全・快適で魅力的な都市空間を目指す。
3. 交通結節点としての機能強化
3路線が交差する駅の利便性を最大化するため、交通広場やバスターミナルを整備し、乗換・地域交通機能を再編強化。
4. 地域全体を見据えた都市構想
新宿区が推進する「まちづくり方針」に基づき、東口から西口・北側へ段階的に再整備。行政と民間、住民が連携して広域的な都市再編を進める。
5. 駅前広場と回遊性の向上
東口には歩行者中心のシンボル広場を新設し、早稲田通り・駅前通りとの回遊性を向上。景観・快適性・にぎわいを調和させる空間設計を導入。
6. 地域資源を活かしたまちづくり
周辺商店街や文化資源と連携し、経済活性化と多様な都市機能の融合を実現。エリアごとの特性を反映した再開発が進行中。
7. 持続可能な都市と将来像の実現
多世代・多文化共生のまちを目指し、段階的な整備と地域連携を通じて持続可能な都市構造を育成。エリアマネジメントも視野に。

本再開発事業では、駅前の老朽化した建物の更新をはじめとする都市機能の再構築を行い、広場や交通広場などの公共空間の整備も併せて実施される予定です。さらに、エリア全体の防災性能を高め、災害時にも安全に機能するまちを実現します。
高田馬場駅は一日平均の乗降客の約半数が乗換利用とされ、交通結節点として非常に重要な位置にあります。これに対応するため、交通インフラの強化も視野に入れた計画が求められています。再開発により、単なる建物更新にとどまらず、街全体のイメージを刷新するようなまちづくりが進められます。今後は新宿区や東京都をはじめとする関係機関との協力体制のもと、住民や地権者の意見を取り入れながら、持続可能で多様性に富んだ都市空間の創出を目指すものとされています。

今回の再開発が行われる高田馬場駅周辺では、2020年以降、新宿区が主体となって広域的な都市計画を進めてきました。2018年には地元主体の協議会がまとめた「高田馬場駅周辺地区まちづくり構想案」が発表され、それをベースに策定されたのが現在の「まちづくり方針」です。
この方針では、高田馬場駅周辺を「活力とにぎわいの拠点地区」と位置づけ、行政と住民、地元企業など多様な主体が連携してまちづくりを推進することが求められています。東口だけでなく、西口・北口を含めた3つのゾーンにわたって、段階的に再整備が行われる予定です。
駅を起点とする歩行者ネットワークの強化や、交通と生活サービスが調和した街並み形成、地域資源を活かした空間づくりが重視され、単なる開発でなく、「都市と生活の融合」を目指す取り組みとなっています。

高田馬場駅周辺の再整備においては、駅周辺の老朽建築が密集し、防災面での課題を抱えている現状を改善するため、建物の共同化・高度利用を通じた安全で利便性の高い都市基盤の形成が目指されています。
特に東口ゾーンでは、歩行者中心の「シンボル広場」を設け、駅の顔となるような開放的で快適な空間づくりが計画されています。また、新たな交通広場やバスターミナルを整備することで、駅と地域交通の結節機能も大幅に向上する見通しです。さらに、駅前通りや早稲田通りの商店街とも連携し、地域経済の活性化や商業の多様化を促進。駅まち空間の形成に向け、回遊性・快適性・景観性の全てを両立させるデザインアプローチが導入される予定です。
高田馬場の将来像として描かれているのは、多世代・多文化が共存できるインクルーシブなまちです。この実現に向けては、「まちづくり方針」の理念に基づき、駅東側から段階的に再整備を推進し、西側・北側へとエリア拡大を図っていく構想が描かれています。
各ゾーンでは、地域の特性を活かしたまちづくりが重視され、たとえば西側では商店街との共生や個別建替えによる細街路の改善、北側では「さかえ通り」のにぎわいを活かした景観づくりなどが想定されています。再開発は行政主導の一方通行ではなく、地元住民・事業者・開発事業者など多様なプレイヤーが連携しながら「育てていくまち」として展開されます。エリアマネジメントの仕組みや、地域資源を活用した独自の価値創造も期待されています。
最終更新日:2025年6月25日