愛知県豊川市の八幡駅周辺では、名鉄豊川線「八幡」駅と豊川市民病院を中心に、商業、住宅、医療、福祉、公共施設などの都市機能が集積するまちづくりが進められています。かつてスズキ豊川工場などの大規模工場が立地していたエリアでは、工場跡地などを活用した土地利用転換が進み、2023年には「イオンモール豊川」が開業しました。さらに、「セキュレアガーデン豊川八幡駅南」では約2万㎡の開発区域を活用した大規模な戸建住宅地が整備されるなど、駅周辺の都市機能が大きく変化しています。
八幡駅周辺地区は、国道1号や東三河環状線、姫街道線などの主要幹線道路に近接するとともに、名鉄豊川線の八幡駅に隣接する交通利便性の高いエリアです。既存の豊川市民病院を核としながら、医療・福祉・公共・商業・住宅などを組み合わせた「戦略的にぎわい交流エリア」の形成を目指しており、道路や公共交通、白川沿いの歩行者空間なども含めた一体的な地域整備が進められています。
八幡駅周辺地区のまちづくりの概要
1.八幡駅周辺地区のまちづくり
名鉄豊川線八幡駅や主要幹線道路に近接する交通利便性の高い地域拠点
工場跡地などの土地利用転換による医療・商業・住宅・福祉機能の集積
2.豊川市民病院による医療拠点
2013年に八幡町へ移転した豊川市民病院を中心とする地域医療の拠点
救急医療機能や周辺道路の整備と一体となった医療環境の形成
3.イオンモール豊川の開業
2023年4月に開業した約128,000㎡の大規模商業施設による新たなにぎわい拠点
約190店舗の専門店や屋外広場などを備えた商業・交流機能の充実
4.セキュレアガーデン豊川八幡駅南の整備
約2万㎡の開発区域に97戸・97区画を整備した大規模戸建住宅地
防災・防犯や環境性能にも配慮した、駅徒歩圏の新たな住宅地形成
5.道路・公共交通ネットワークの強化
イオンモール豊川の開業に合わせた道路改良や交差点整備、バス・タクシー環境の充実
名鉄豊川線の増便などによる駅・商業施設・周辺地域を結ぶ交通機能の強化
6.白川周辺の水辺・交流空間整備
白川散策路やさくら広場、さくら歩道橋などによる歩行者ネットワークと憩いの空間
商業施設と周辺住宅地をつなぎ、地域の回遊性や交流を高める公共空間の形成
7.豊川市総合保健センターの開業
2026年7月に開業した保健・子育て・地域医療を集約する複合型の健康づくり拠点
保健センター、こども家庭センター、児童発達支援、休日夜間急病診療所などの機能集約

八幡駅周辺地区は、国道1号、東三河環状線、姫街道線などの主要幹線道路に近接し、名古屋鉄道豊川線「八幡」駅に隣接する交通利便性の高いエリアです。地区内には豊川市民病院が立地しており、豊川市の医療拠点として重要な役割を担っています。また、駅を中心として周辺地域からのアクセス性にも恵まれています。

一方、これまで工業地として利用されてきた大規模工場の撤退により、約22haに及ぶ大規模な未利用地が発生することが懸念されたことから、その土地を活用した新たな地域拠点の形成が進められました。地区計画では、医療拠点の環境を保全・整備しながら、福祉、防災などの公的機能を増進するとともに、住宅、商業、工業などの土地利用を調和させ、多様な都市機能を集約する方針が示されています。


八幡駅周辺の都市機能形成において、中心的な役割を担っているのが豊川市民病院です。豊川市民病院は1946年に開院した市立病院で、施設の老朽化や病床不足などを背景として移転計画が進められ、2013年5月に豊川市八幡町へ新築移転しました。新病院は免震構造の鉄骨造、地上9階・塔屋2階建て、延床面積約4万4,670㎡の規模で建設されています。

豊川市民病院は八幡駅から近い場所に立地しており、駅周辺地区における医療拠点として機能しています。さらに、イオンモール豊川の開業に伴う交通量増加を見据え、病院への緊急車両のアクセスを確保するための道路整備も実施されました。道路混雑時の進入路を確保するため、緊急車両用の入口が増設され、周辺の大規模開発と医療機能を両立させるための交通対策が講じられています。

八幡駅周辺の大きな変化を生み出した施設が、2023年4月4日に開業した「イオンモール豊川」です。旧スズキ豊川工場の跡地に整備された大型商業施設で、敷地面積約12万8,000㎡、延床面積約11万3,000㎡、総賃貸面積約6万3,000㎡、鉄骨造地上3階建て、約3,000台の駐車場を備えています。東三河地方では初出店となるイオンモールで、八幡駅に近接する立地を活かした広域的な集客拠点となっています。

約190店舗の専門店に加えて、核店舗のイオンスタイル新豊川、ユニクロ・ジーユー、スポーツオーソリティ+アウトドアステージ、豊川堂×nido cafe、ヤマダデンキ テックランド/MIRAINOなどが出店しています。1階の「GRAND PARK」や2階の「CENTRAL PARK」など、緑豊かな屋外空間や芝生エリアも設けられ、買い物だけではなく、家族で過ごしたり、スポーツやアウトドアなどを体験したりできる交流の場として計画されています。


商業施設だけでなく、八幡駅周辺では住宅地の整備も進められています。地区東側で開発が進められた「セキュレアガーデン豊川八幡駅南」は大和ハウス工業による97区画の住宅地で、名鉄豊川線「八幡」駅から徒歩5~8分程度の立地です。約2万810㎡の開発区域を活用し、戸建住宅を中心とした新たな街区が形成され、商業施設や医療施設と近接した住宅エリアとなっています。
街区内では、南北を貫くメインストリートを緩やかなカーブ状にするほか、イメージハンプを設置して車両の速度抑制を図るなど、安全性に配慮した道路計画を採用しています。また、車道の接続箇所を限定することで通過交通を抑制し、歩行者専用路も設けられています。さらに、豊川市初の無電柱の街並みとし、太陽光発電システム、リチウムイオン蓄電池、HEMS、電気自動車充電コンセントなどを取り入れ、環境性能や防災性にも配慮した住宅地となっています。

大規模商業施設の開業による交通量の増加に対応するため、八幡駅周辺では道路や交差点の整備も実施されました。国道1号の穴田交差点では右折滞留長を延長し、市道蔵子線では有効幅員を12mから16mへ拡幅するとともに、中央部にゼブラ帯を設置しています。篠束野口線では新設交差点や交差点改良、白鳥野畔原溝線では道路拡幅などが行われ、イオンモールへのアクセス改善と交通混雑への対応が図られました。


公共交通についても、イオンモール豊川の北側には、名鉄豊川線「八幡」駅が立地していることから、鉄道と徒歩によるアクセスも優れています。また、イオンモール敷地内には新設バス停やタクシー乗り場・待機場が設けられ、複数の路線バスが乗り入れる計画となっています。鉄道、バス、タクシーといった公共交通と大型商業施設を連携させることで、自動車だけに依存しない来訪手段の確保と八幡駅の交通拠点としての利便性向上が図られています。

地区中央部には、豊川市総合保健センターも建設されており、2026年7月27日にオープンしました。「すべての市民の健康づくりを総合的に支援する拠点施設」をコンセプトとする複合施設で、保健センター、こども家庭センター、休日夜間急病診療所に加え、歯科医療センターや児童発達支援センターなどを集約しています。保健・医療・子育て支援の機能を一体的に配置し、各機能の連携強化を図っています。

建物は鉄筋コンクリート造、地上2階建て、延床面積5,262.33㎡で、1階に保健センター、こども健診エリア、休日夜間急病診療所、歯科医療センター、児童発達支援センターなどを配置。2階には三師会事務局や最大200人程度を収容できる研修室、多目的室などを設けています。南側に独立配置された児童発達支援センターや、発熱者と非発熱者を分けて診療できる休日夜間急病診療所など、利用者の安全性にも配慮。2024年6月に着工し、2026年1月に竣工した新たな保健・医療・子育て支援の拠点です。


八幡駅周辺では、商業・住宅・医療施設だけでなく、白川沿いの水辺空間を活用した環境整備も進められました。白川沿いには「白川散策路」「さくら広場」「さくら歩道橋」が整備され、商業施設と周辺地域をつなぐ回遊・交流空間が形成されています。さくら広場とさくら歩道橋はイオンモールが整備した後に豊川市へ寄附採納される計画となっており、民間開発と公共空間整備を連携させた取り組みとなっています。
このように八幡駅周辺は、「豊川市民病院」を核とした医療拠点に、「イオンモール豊川」による商業・交流機能、「セキュレアガーデン豊川八幡駅南」による住宅機能、さらに道路・公共交通・白川沿いの水辺空間の整備が加わることで、工場跡地を中心とした土地利用転換を経て、多機能型の地域拠点へと変貌したエリアとなっています。今後も医療、商業、住宅、交通、交流などの各機能が相互に連携することで、豊川市の中心拠点を補完する地域拠点としての役割が期待されるエリアです。
出典
・豊川市 八幡駅周辺地区のまちづくり
・セキュレアガーデン豊川八幡駅南 公式サイト
・イオン株式会社/イオンモール株式会社/イオンリテール株式会社 「イオンモール豊川」4月4日(火) AM9:00 グランドオープン!
最終更新日:2026年9月18日