中部国際空港(セントレア)は、2005年の開港以来、拠点的な国際空港として中部圏の経済・物流の要となっています。しかし、現在の滑走路1本では将来の課題に十分対応できません。この問題を解決するための 「代替滑走路事業」 が、令和6年度(2024年度)から本格的に始動します。
「中部国際空港代替滑走路事業」では、現滑走路東側にある誘導路を改修し、新たに長さ3,290mの滑走路を整備します。この滑走路は、メンテナンスや大規模補修の際に空港運用を止めることなく、完全な24時間運用を実現するための重要な基盤となります。
→国土交通省 中部国際空港の施設変更等に関する公聴会の開催について
→中部国際空港株式会社 中部国際空港代替滑走路プロジェクト
滑走路新設の必要性:5つの課題への対応
1.完全24時間運用の実現
現滑走路のメンテナンス時間を確保しつつ、貨物便やLCC便の深夜・早朝運航を可能にします。
2.現滑走路の大規模補修対応
アスファルト舗装の劣化が進む中、大規模補修中も滑走路を閉鎖せず運用可能になります。
3.不測の事態へのリスク回避
トラブルによる滑走路閉鎖時にも運用を継続できます。
4.災害時のバックアップ機能強化
関西や首都圏で災害が発生した場合、中部国際空港が代替機能を果たせる体制を整備します。
5.リニア中央新幹線との相乗効果
リニア開通後のアクセス性向上に合わせ、空港の運用能力を強化します。
中部国際空港代替滑走路事業は、事業期間は2024年度から2027年度とされており、2027年度末の供用開始を目指して整備が進められ、地域住民や利害関係者の意見を反映した公聴会が2024年12月17日に開催される予定です。この滑走路は中部圏の産業・物流基盤を強化するとともに、訪日観光客の増加や災害時のバックアップ機能向上を図り、全国的な航空インフラの信頼性向上にも貢献します。
中部国際空港の「位置図」です。
リニア中央新幹線や西知多道路の開通を見据えた利便性の向上により、セントレアは日本と世界を結ぶ重要なハブとして進化し、地域経済の成長を支える国際拠点空港としてその役割を一層強化していきます。
「中部国際空港沖公有水面埋立事業」の工区図です。
中部国際空港沖公有水面埋立事業は、名古屋港で発生する浚渫土砂を処分するため、国土交通省中部地方整備局が進めている事業です。2020年3月に環境影響評価書が公告され、2021年5月に埋立承認が得られました。評価書では空港西側(西工区)の埋立完了に約15年を要するとされています。
2022年2月に工事が開始され、2023年11月には西Ⅴ工区の追加や護岸形状変更などを含む事業計画の変更が承認されました。この事業は地域の産業基盤整備に貢献するものとされています。
最終更新日:2024年11月16日