千葉県船橋市の中央部に位置する海老川上流地区では、「ふなばしメディカルタウン構想」に基づき、医療体制の強化と住環境の質の向上を目指したまちづくりが本格的に進められています。この取り組みの中核には、市立医療センターの移転・建て替え、東葉高速線の新駅建設、そしてこれらを支える土地区画整理事業が据えられており、今後の市の将来像を形づくる重要な地域再生プロジェクトです。計画的かつ持続可能なまちづくりを通じて、市民の健康と福祉の向上、ならびに魅力的な都市空間の創出が期待されています。
→船橋市 海老川上流地区のまちづくりの概要
→船橋市 海老川上流地区土地区画整理事業の概要
→船橋市立医療センター 船橋市立医療センターの建て替え
海老川上流地区土地区画整理事業の概要
1 医療・健康を核とした都市再生プロジェクト
海老川上流地区では、老朽化した医療センターの移転・建て替え、新駅整備、土地区画整理などを通じて、「ふなばしメディカルタウン構想」に基づいた医療・健康を中心とした新しいまちづくりが進められている。
2 土地利用の高度化と環境調和
住宅、医療、商業、福祉施設がバランスよく配置されるよう土地利用を整理・再編。自然との共生や災害対策にも配慮し、持続可能な都市空間を目指す。
3 新駅と交通拠点整備による利便性向上
東葉高速線に新駅を整備(令和10年度末開業予定)。交通の利便性を高めるとともに、駅を核とした都市機能の集約を図り、地域全体の回遊性とアクセス性を向上させる。
4 高度医療施設の整備で地域医療の強化
新たに移転建設される市立医療センターでは、高度急性期医療、救命救急、がん医療の機能を充実させ、災害医療対応も強化。地域の医療水準向上に大きく貢献する。
5 治水・防災対策を重視したインフラ整備
6つの調整池や雨水幹線の整備によって洪水対策を強化。地域全体の水害リスク軽減と安全・安心な暮らしの基盤を構築する。
6 着実な法的・計画的整備手続き
都市計画法に基づく手続きや説明会を重ね、住民の理解と協力を得ながら整備を進行。法令順守と市民参加の両立を図ることで、透明性のあるまちづくりを推進している。
7 多世代が安心して暮らせる都市環境の創出
医療・健康を中心としたまちづくりにより、高齢者や子育て世代、若年層も含めた多様な世代が安心して暮らせる生活環境を実現。地域の定住促進と持続的な活力の創出を目指す。

海老川上流地区は、中心市街地に近接し、東葉高速線が東西に走る交通の便に恵まれた場所にありますが、これまで宅地、資材置き場、墓地、作業場などが混在し、土地利用の整備が進んでいない状況でした。また、地域医療の要である市立医療センターは、施設の老朽化と狭隘化が進み、将来にわたる医療提供体制の見直しが求められていました。
このような背景を受け、船橋市は平成30年度に、医療・健康を中核とした「ふなばしメディカルタウン構想」を提示し、地域の将来を見据えた都市整備に着手。令和4年度には新たな都市計画マスタープランを策定し、当地区を医療・健康都市の形成拠点と位置づけました。構想は「進化し続けるまち」を目標に掲げ、医療機関、福祉施設、健康増進施設、そして交通拠点が有機的に連携する新たな市街地を構築する方針です。


土地区画整理事業
施行主体は船橋市海老川上流地区土地区画整理組合で、整備面積は約42.3ヘクタール。令和3年度から令和14年度までの期間で、約193億円をかけて実施されます。このうち約56億円は市の一般会計から支出されます。計画では、自然環境との調和、災害への配慮を重視しつつ、利便性と快適性を兼ね備えた都市空間の整備が進められます。


東葉高速線の新駅「海老川新駅(仮称)」建設
東海神駅と飯山満駅の中間に位置する新駅は、令和10年度末の開業を目指して東葉高速鉄道株式会社が整備を進めています。総事業費は約71億円です。新駅は、周辺の医療・商業機能と連携し、地域の玄関口として重要な役割を果たすことになります。


医療センターの建て替え移転
現行の施設に代わり、海老川上流地区に移転新築される船橋市立医療センターは、高度急性期医療の中核として、救急医療・がん医療等に重点を置いた最新設備を備える予定です。約723億円の事業費は公営企業会計を通じて市が負担します。開院時期は未定ですが、完成すれば地域医療の水準が大幅に向上する見込みです。

船橋市立医療センターの建設予定地は、区画整理地内北西側に位置しています。


海老川上流地区土地区画整理事業では、地区内の雨水処理を強化するため、6カ所に調整池を設けるほか、雨水管の整備により下流域への流出量を抑制。洪水リスクを低減し、安全性を高めた都市基盤を構築します。
また、千葉県が実施したシミュレーションによると、将来的に河川掘削や海老川調整池の拡張等が計画通りに実施されれば、流域全体の治水機能が大幅に向上するとの見通しが示されています。持続可能な開発と防災機能の両立を目指した設計となっています。


令和2年度から令和6年度にかけて、市および県は組合設立や総会、仮換地指定などを実施しています。都市計画区域の整備や用途地域、防火地域の設定などが行われ、法的な整備が着実に進行中です。さらに、都市施設としての道路計画や新駅の都市高速鉄道計画も決定され、これらが整備の土台を支える仕組みとなっています。市民説明会や公告・縦覧などのプロセスも丁寧に実施されており、合意形成に配慮したまちづくりが推進されています。


事業地は10のブロックに分けられ、医療センターや新駅の予定地から順に工事が進行中です。工事内容は、整地・盛土、インフラ(雨水・汚水・水道・ガス)整備、道路舗装、公園整備など多岐にわたります。雨水を一時貯留し、計画的に河川に放流する調整池や、地域の憩いの場となる公園7カ所の整備も進められます。これらのインフラ整備が完成すれば、快適かつ機能的な都市環境が実現します。

本構想は、単なる施設整備にとどまらず、医療・福祉・健康・商業・交通が調和し、「誰もが安心して暮らせるまち」「未来に進化し続けるまち」の実現を目指します。市民の健康づくりや予防医療の考え方を取り入れた都市空間の形成により、居住者や来訪者双方にとって魅力的な環境が提供されることになります。医療とまちづくりが融合することで、持続可能で競争力のある新たな都市モデルの創出が期待されています。
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最終更新日:2025年6月12日