西武鉄道株式会社は、西武新宿駅と東京メトロ丸ノ内線新宿駅を直接結ぶ新たな地下通路の整備に向け、具体的な検討と関係機関との協議を進めています。この地下通路は、長年課題とされてきた両駅間の乗換の不便さを解消し、地域全体の回遊性を高める重要なインフラ整備となります。
2021年度に新宿区が「新宿駅北東部地下通路線」として都市計画決定したことを受け、西武鉄道は事業予定者としてこの整備計画を主導的に進める立場を担うこととなりました。本通路の開通によって、現在約11分を要している西武新宿駅と東京メトロ丸ノ内線との地下移動が約5分に短縮され、利用者の利便性が大幅に向上します。
また、この取り組みは、東京都と新宿区が掲げる「新宿グランドターミナル構想」の一環として位置づけられ、新宿全体の都市機能の再編・強化にも大きく寄与します。交通利便性のみならず、安全で快適な歩行者空間の確保、持続可能な都市の形成といった広い観点からも、非常に意義深いプロジェクトとなっています。昨年度の2024年度鉄道事業設備投資計画において、2025年度以降に事業を推進していく方針を掲げており、今後の動向が注目されています。
→西武鉄道株式会社 「西武新宿駅と東京メトロ丸ノ内線新宿駅をつなぐ地下通路」の整備に向けた検討・協議を進めます。
→新宿区 都市計画変更案について東京都市計画道路 特殊街路 新宿歩行者専用道第4号線 東京都市計画通路 新宿駅北東部地下通路線
新宿駅北東部地下通路線の概要
1. 整備の目的
西武新宿駅と東京メトロ丸ノ内線新宿駅の地下接続により、乗換利便性を向上させ、西武新宿線沿線の価値向上を図る。
2. 都市計画の進展
2021年、新宿区が「新宿駅北東部地下通路線」の都市計画手続きを開始。西武鉄道が事業予定者として本通路の整備を主導。
3. 「新宿グランドターミナル」構想との連携
本通路は、東京都と新宿区が推進する「グランドターミナル一体再編」の一環として、駅・まちの一体化と回遊性向上に寄与。
4. 通路の規模・位置
延長約140m、幅員6~18m。新宿三丁目と歌舞伎町一丁目を結び、新宿サブナードとメトロプロムナードを直結。
5. 期待される効果
地下での移動時間が約11分から約5分に短縮。乗換の効率化と歩行者流動の分散が実現。
6. 歩行者ネットワークの強化
地上での移動困難を解消し、地下歩行者ネットワークを連続的につなぐことで、地域間の回遊性を向上。
7. バリアフリー・多言語対応
段差のない設計や多言語対応を取り入れたユニバーサルデザインにより、誰にとっても使いやすい通路を実現。


西武新宿駅の地下通路の整備構想は、単なる駅間接続の改善にとどまらず、新宿という巨大都市拠点の再構築という大きな都市戦略の中で誕生しました。2018年3月、東京都と新宿区は「新宿の拠点再整備方針〜新宿グランドターミナルの一体的な再編〜」を策定し、新宿駅周辺を人に優しく機能的な都市空間へと再編することを目指しました。

この方針では、築50年以上が経過した駅ビルの老朽化を再整備の契機とし、駅、駅前広場、周辺施設を有機的に結び付けた次世代の都市ターミナルを形成することが掲げられました。その一環として、西武新宿駅と他路線の接続性改善も取り組むべき重要な課題と認識されました。
その後、2019年12月には新宿駅直近地区の都市計画決定が行われ、まちづくりの骨格が定められました。そして2021年度には、本地下通路を含む「新宿駅北東部地下通路線」の都市計画決定が行われ、具体的な整備に向けた第一歩が踏み出されました。これは都市施設や地区計画、用途地域の見直しを伴う大規模な変更であり、新宿の都市基盤整備が本格的な実行段階へと移行したことを示しています。


この地下通路整備は、新宿駅周辺の再編構想「新宿グランドターミナル」の理念を具体化する鍵の一つです。グランドターミナルとは、交通結節点としての機能にとどまらず、人と人、まちとまちをつなぐ交流の場としての駅のあり方を再定義するものです。
構想の中では10の整備方針が掲げられており、本通路はそのうちの「グランドターミナルを一体化して整える」に直結しています。とりわけ「ターミナル軸の構築」や「まちとつなぐ歩行者空間の形成」は、本通路が果たすべき役割そのものです。さらに、段差のないバリアフリー構造や多言語対応による案内整備など、すべての人にとって利用しやすい空間を整備することも重視されています。
このように、本地下通路は「誰にとっても優しい新宿」の実現に向けた具体的なアクションであり、単なる通行手段を超えて、新宿の公共空間の質を根本的に向上させるインフラと位置づけられます。

新宿駅周辺は多くの鉄道や商業施設が集中する一大ターミナルでありながら、地下歩行者ネットワークには接続の隙間があり、とくに西武新宿駅と丸ノ内線新宿駅の間は乗換に時間と手間がかかっていました。これを解消する新たな地下通路は、両駅間を約140mで直結し、所要時間を従来の約11分から5分に短縮、移動の効率化と快適性を大きく向上させます。
この通路は、新宿サブナードとメトロプロムナードを接続し、周辺施設との連携も強化。バリアフリー設計により誰もが利用しやすく、防災時の避難路としての役割も期待されています。都市計画では旧来の歩行者専用道に代わり「新宿駅北東部地下通路線」が新設され、今後は早期の実現に向けて詳細設計や調整が進められます。新宿の回遊性や都市機能を根本から高める基盤整備として、地域全体の魅力や価値の向上が見込まれています。
最終更新日:2025年5月6日