千葉県大網白里市は、JR大網駅南側約18haを対象とした「大網駅南地区まちづくり方針(素案)」を公表しました。2026年時点での大網駅南地区は、駅前に位置しながら市街化調整区域が大部分を占め、駐車場や住宅、農地が混在する低密度な土地利用となっています。そこで市は、地権者らで構成される「大網駅南地区まちづくり協議会」が令和7年6月に提言した「大網駅南地区まちづくり構想」を基礎に、民間事業者とのサウンディング調査の結果も踏まえながら、将来のまちづくりの方向性を取りまとめました。
方針では、「都市機能が整い、にぎわいと魅力のあるまち」「自然と調和し、心地よく暮らせるまち」「誰もが安全で安心して暮らせるまち」の3つを目標に掲げています。駅前広場やアクセス道路の整備、商業施設や住宅地の計画的な配置、小中川を活用した水辺空間の形成、防災・減災対策の強化などを進め、大網白里市全体の中心拠点となるコンパクトで魅力的なまちづくりを目指すものとされています。
大網駅南地区まちづくりの概要
1.大網駅南地区まちづくり方針(素案)の公表
大網白里市が大網駅南地区の将来像を示す「大網駅南地区まちづくり方針(素案)」を公表。
市民意見を募集しながら具体化を進めるまちづくりの指針。
2.市の中心拠点を目指す大規模開発
大網駅南側約18haを対象に、市全体の中心となる都市拠点の形成を推進。
コンパクトで賑わいのある市の玄関口づくりを目指す計画。
3.駅前機能の強化と交通結節点の整備
駅前広場やアクセス道路を整備し、公共交通と自動車交通の利便性を向上。
慢性的な渋滞の解消と安全な交通環境の実現。
4.商業と住宅が調和した土地利用
駅前には商業・生活利便施設を集約し、その周辺に良好な住宅地を形成。
利便性と快適な居住環境を両立するまちづくりの推進。
5.小中川を活かした水辺空間の創出
地区内を流れる小中川を地域資源として活用し、交流や憩いの場を整備。
自然と都市機能が共存する魅力的な景観形成。
6.防災・減災を重視した安全なまち
浸水被害の軽減に向け、河川改修や排水施設整備、宅地嵩上げなどを検討。
災害に強く安心して暮らせる生活環境の構築。
7.土地区画整理事業を軸とした段階的整備
土地区画整理事業を基本手法として、公共施設整備と宅地開発を一体的に推進。
官民連携による持続的なまちづくりと地域価値の向上。

大網駅南地区は、JR外房線と東金線が接続する「大網」駅に隣接する立地でありながら、市街化調整区域が大部分を占めるため、計画的な都市整備が進んでいませんでした。駅周辺には貸駐車場や住宅が点在し、2026年現在でも広大な農地も残されています。
一方で、大網白里市第6次総合計画や都市計画マスタープランでは、大網駅周辺を市の中心拠点として位置付けており、商業・業務機能を誘導しながら、都市機能が集積したコンパクトな市街地形成を目指しています。今回の方針は、その実現に向けた第一歩となるものです。

対象地区はJR大網駅南側に広がる約18haのエリアです。北側をJR外房線、東側を主要地方道山田台大網白里線、南側を主要地方道千葉大網線、西側を市道01-005号線に囲まれています。
地区内には小中川が流れ、豊かな水辺環境を形成しています。また、圏央道大網白里スマートインターチェンジにも近く、鉄道と自動車交通の双方を活用できる交通利便性の高さが特徴です。
大網駅から千葉駅までは約25分程度、東京駅までは直通の快速で1時間程度、蘇我駅乗り換えでも1時間15分程度となっています。東京方面への通勤圏にありながら比較的ゆとりある住環境を確保できることから、住宅地としてのポテンシャルも高く評価されています。


大網駅は1896年に開業した歴史ある駅で、外房線と東金線の乗換駅として機能しています。2024年度の一日平均乗降客数は17,304人で、利用者の9割以上を15歳から64歳の生産年齢人口が占めています。
利用目的は通勤・通学が約8割を占めており、大網白里市だけでなく周辺地域からも多くの利用者が集まっています。そのため駅周辺の利便性向上は、市全体の都市機能向上にも直結する重要な課題となっています。


現在の大網駅南側では、市街化区域が広がる小中川右岸側と比較して、左岸側の市街化調整区域では土地利用が限定されています。その結果、駅前でありながら商業施設の立地が少なく、市の玄関口としては賑わいに欠ける状況です。
市は今後、商業・業務機能や生活利便施設を誘導し、駅前に都市機能を集約することで、人が集まり交流が生まれる拠点形成を目指します。民間事業者からも、商業施設は駅前に集約した方が魅力を高めやすいとの意見が示されています。


現在の駅前広場は駅東側にありますが、バスやタクシー、一般車両の乗降スペースが不足しており、交通結節機能が十分とは言えません。また、朝夕の通勤通学時間帯には送迎車両が集中し、慢性的な渋滞が発生しています。
新たなまちづくりでは、駅南側にも駅前広場を整備し、既存広場と役割を分担することで交通機能が強化されます。さらに駅へのアクセス道路を整備し、歩行者や自転車も安全に移動できる環境を構築する計画です。
方針図では駅前広場を中心に複数のアクセス道路が整備される構想が示されており、地区全体の回遊性向上が期待されています。


サウンディング型市場調査では、多くの事業者が住宅を中心としたまちづくりが適しているとの見解を示しました。
大網駅南地区は、都心へのアクセス性と自然環境の豊かさを兼ね備えており、「ほどよい田舎」としての魅力を持っています。特に戸建住宅の需要が期待されており、商業施設を駅前に集約しながら、その周辺に良好な住宅地を形成する方向性が示されています。
また、公園や緑地の整備、生活利便施設の誘導などにより、子育て世代から高齢者まで快適に暮らせる住宅地づくりが進められます。


地区中央を流れる小中川は、大網駅南地区を特徴づける重要な地域資源です。方針図では、小中川沿いに「水辺空間活用ゾーン」が配置され、交流や憩いの場として活用する構想が示されています。
全国各地で進む「かわまちづくり」の考え方を取り入れ、水辺と都市空間が一体となった魅力的な景観形成を目指すものとしています。さらに、公園整備や緑地整備も進められ、人々が集い交流できる公共空間の創出が図られます。


大網駅南地区は地盤が低く、豪雨時には小中川の影響による浸水被害が発生しやすい地域です。
そのため、まちづくりと並行して防災・減災対策を強化することが重要課題となっています。小中川の河川改修や排水施設の整備に加え、宅地や道路の嵩上げ、雨水貯留機能の導入などを進める方針です。
また、防災体制の強化やハザードマップの周知、防犯対策の推進など、安全・安心な生活環境づくりも重要な柱となっています。

市は今後の整備手法として、駅前広場や道路、公園などの公共施設整備と宅地開発を一体的に進められる「土地区画整理事業」を基本に検討するとしています。
これは近隣で進められている「大網駅東土地区画整理事業」と同様の手法であり、公共施設整備と土地利用転換を効率的に進められることが特徴です。
今後は、事業化検討パートナーとなる民間事業者を募集し、事業スキームや採算性を検証したうえで基本計画・実施計画を策定。その後、都市計画手続きや工事へと進む予定です。長期的には、協議会・民間事業者・市が連携しながら、駅前広場や公園の維持管理、イベント開催などを通じて「育てるまちづくり」を進めていく考えです。
出典:大網白里市 「大網駅南地区まちづくり方針(素案)」に関するパブリックコメントの実施について
最終更新日:2026年6月18日