千葉市は2025年5月22日、竣工から35年を迎え老朽化が進む「千葉マリンスタジアム」について、その再整備に向けた基本的な方針を取りまとめた「再整備基本構想案(骨子)」を公表しました。本構想案では、現スタジアムの更新を超え、幕張新都心のまちづくりと連動した新たなエンターテインメント拠点の創出を目指すものとなっています。
新スタジアムの建設地には、JR幕張豊砂駅に近接し、大規模商業施設や幕張メッセとも連携可能な「幕張メッセ駐車場」が想定されており、アクセス性やまちの回遊性の向上が期待されています。再整備は、現スタジアムの利用を継続しながら進めることで、千葉ロッテマリーンズのホームゲームの開催に空白を生じさせないよう配慮されています。
新スタジアムは、365日楽しめる「まちの社交場」として、防災やイベント対応の公共性と、民間事業者による商業・アクティビティ機能を備えるエンターテインメント性を融合した施設として計画されております。千葉市は、2026年の事業実施判断を経て、2034年頃の開業を目指して、今後も官民連携による協議を進めていくものとされています。
→千葉市 千葉マリンスタジアム再整備基本構想案(骨子)を公表します~幕張の「海・風・空」を感じ まちとつながる エンターテインメントスタジアムの実現へ~
→千葉市 総合政策局未来都市戦略部マリンスタジアム再整備推進課
千葉マリンスタジアム再整備基本構想案(骨子)の概要
- 老朽化スタジアムの再整備方針の策定
築35年を迎える千葉マリンスタジアムの老朽化対応と機能更新を目的とした基本構想案の公表。幕張新都心のまちづくりと連動した整備方針。 - 新スタジアム建設地の選定と移行計画
JR幕張豊砂駅近接の幕張メッセ駐車場を建設候補地とした整備案。現在の施設を活用しつつ、段階的に新施設へ移行する計画。 - 地域環境を活かした屋外型スタジアム
海・風・空を感じられる開放的な空間の創出。ドーム型を採用せず、地域性とコストバランスに配慮した屋外型の選択。 - 365日楽しめる多機能型交流拠点
スポーツ観戦に加え、飲食、体験型施設、防災拠点としても活用可能な複合施設。地域に開かれた社交場としての位置づけ。 - 官民連携による約650億円の整備費
スタジアム約600億円、インフラ整備約50億円の試算。公的資金と民間投資を組み合わせた官民連携スキームの導入。 - 2034年頃の開業を見据えた段階的スケジュール
2025年の構想策定から、2026年の事業判断と協力者募集、設計・建設を経て、約10年後の開業を目指す段階的な実施計画。 - 幕張新都心における「第2のまちびらき」
JR幕張豊砂駅との連携による新拠点の形成。回遊性の向上や都市機能の強化を通じた広域的なまちづくりの推進。

千葉マリンスタジアムは1990年に開設されて以来、プロ野球・千葉ロッテマリーンズの本拠地として親しまれ、年間200万人を超える観客を集める一大エンターテインメント施設として、幕張新都心のにぎわいを牽引してきました。しかし、35年を経て建物の老朽化が進行し、設備や機能の更新が喫緊の課題となっております。
加えて、幕張新都心全体では、「職・住・学・遊」の機能が集積する未来型都市として発展してきた一方で、近年では来訪者の回遊性や滞在性の向上、公共空間の活用、スポーツ・文化イベントの多様化といった次なる課題が浮き彫りとなってきました。
そこで本構想案では、幕張新都心の「第2のまちびらき」となるJR幕張豊砂駅の開業を機に、同駅に近接する幕張メッセ駐車場を新スタジアムの建設地とし、交通利便性や周辺施設との相乗効果を最大限に引き出す新たな都市拠点の形成を目指しています。こうした整備により、豊砂地区全体の魅力向上と多様な世代の誘引が期待されています。

再整備によって誕生する新たなスタジアムは、「海・風・空」を感じる屋外型として整備される予定です。これは、幕張新都心の地域資源を最大限に活かし、既存のマリンスタジアムが培ってきた開放的な観戦体験を継承するためともされています。加えて、初期投資や運用コストの抑制、近隣施設とのイベント機能の住み分けといった観点からも、ドーム型ではなく屋外型が選定されました。
建設予定地となる幕張メッセ駐車場は、約11ヘクタールのまとまった敷地面積が確保できるほか、幕張豊砂駅から徒歩圏内でアクセスも良好です。さらに、隣接する大型商業施設や豊砂公園との連携により、都市拠点としての滞在価値を高め、広域からの来訪者に対しても快適な回遊性を提供できると期待されています。
また、建設に伴って消失する駐車機能については、千葉県および関係機関と連携し、同等の機能と利便性を持つ代替駐車場を確保する方針が示されています。

新スタジアムは、市民に開かれた公共施設としての基本機能と、民間の創意工夫による拡張機能を兼ね備える複合的な構成が想定されています。基本機能としては、野球場としての主用途のほか、防災対応機能や各種イベントへの対応などが盛り込まれており、災害時には地域の避難場所や物資集積地としても機能する予定です。
また、365日楽しめるスタジアムを実現するため、飲食、アクティビティ、エンタメ空間などを民間事業者の投資によって導入し、野球ファン以外の幅広い世代にも支持される施設を目指します。まちの「社交場」として、スポーツ観戦だけでなく日常的に立ち寄れる空間となるよう設計されます。
事業費は、スタジアムのベース機能整備に約600億円、周辺インフラ整備に約50億円、合計約650億円と試算されています。資金調達については、公的資金と民間資金の組み合わせによる官民連携スキームが想定されており、市の財政負担を抑えつつ、民間のノウハウを活かす方針が示されています。
千葉市では、今回の「再整備基本構想案(骨子)」をもとに、2025年7月には市民からの意見募集(パブリックコメント)を実施し、8月には正式な「基本構想」を策定する予定です。これに続き、2026年頃には事業協力者の募集を開始し、実施計画の検討・決定を行う段階へと移行します。
事業スケジュールとしては、2027年から2033年にかけて事業者の選定、基本設計・実施設計、建設工事などを段階的に進め、2034年頃の開業を目指すとしています。また、民間事業者の参加を促進するため、2025年6月には「サウンディング型市場調査」を実施し、事業スキームや条件に関する意向を事前に把握することで、公募の透明性と実現性を高める狙いもあります。
今後は、官民の連携を深化させつつ、幕張新都心の持続的な発展を牽引する新たなランドマークとしてのスタジアムの実現に向けて、段階的かつ着実にプロジェクトが進行していくことが期待されます。
最終更新日:2025年5月22日