千葉県印西市で構想が進められている「印旛中央地区」は、約100haを対象とする大規模な新市街地開発計画です。1997年に土地区画整理事業区域として都市計画決定されながら約30年間事業化されていませんでしたが、成田空港の機能強化や北千葉道路の整備、成田スカイアクセス線による交通利便性の向上を背景に、近年再び開発機運が高まっています。
印西市は2025~2026年に民間事業者27社を対象としたサウンディング調査を実施し、住宅やデータセンター、先端産業などの立地可能性や事業手法について意見を集約しました。2026年夏時点では区域の大部分が山林や農地、湿地、耕作放棄地など未利用地となっており、北千葉道路と成田スカイアクセス線が地区中央を横断しています。今後は、印旛日本医大駅周辺の成熟した「いには野地区」と一体となった新たな都市形成が期待されています。
印旛中央地区の概要
1.約100haの大規模開発計画
印旛中央地区は約100haを対象とした土地区画整理事業区域として1997年に都市計画決定。
約30年間事業化されていないものの、開発機運が再び高まる大規模プロジェクトの始動。
2.成田空港機能強化による開発ポテンシャル向上
成田空港の滑走路新設・延伸やワンターミナル化など「第2の開港」により注目度が上昇。
空港関連需要の拡大を見据えた新たな産業・都市機能集積への期待。
3.優れた交通アクセス環境
北総線・成田スカイアクセス線、北千葉道路により東京都心・成田空港への高い利便性を確保。
広域交通ネットワークを活かした首都圏有数の開発適地としての立地条件。
4.住宅やデータセンターなど多様な土地利用
民間事業者へのサウンディング調査では住宅やデータセンターの市場性を高く評価。
物流や商業は慎重な見方がある一方、先端産業や医療関連施設にも期待感。
5.段階的な土地区画整理による整備方針
100haを一括整備せず、駅近接部から段階的に開発を進める手法が有力。
民間企業の意向を取り入れた柔軟な土地利用と早期事業化を目指す計画。
6.印旛日本医大駅と成熟した周辺市街地
印旛日本医大駅は北総線終点・成田スカイアクセス線停車駅として交通結節点を形成。
日本医科大学千葉北総病院や公共施設、商業施設が集積する生活拠点の形成。
7.いには野地区との一体的なまちづくり
隣接する「いには野地区」は健康・医療拠点都市を掲げ整備された千葉ニュータウン東端の住宅地。
印旛中央地区との連携による新たな都市形成と印西市東部の発展への期待。

印旛中央地区は印西市東部、印旛日本医大駅東側に位置する約100haの大規模開発予定地です。1997年に市街化区域編入と土地区画整理事業の都市計画決定を受けましたが、約30年間事業化されないまま現在に至っています。

2026年夏現在も現地は山林や農地、湿地帯、耕作放棄地などが広がる未利用地となっており、その中央部を北千葉道路と成田スカイアクセス線が東西に横断しています。一方で、この広大な土地は首都圏でも希少なまとまった開発用地として注目され、印西市は本格的な事業化へ向けた検討を加速させています。


印旛中央地区最大の魅力は交通利便性です。東京都心から約40km、成田国際空港から約15kmに位置し、車では北千葉道路や国道464号を利用して空港まで約30分、東京都心へもアクセスできます。


鉄道では印旛日本医大駅から成田空港まで約20分、日本橋方面まで約50分と高い利便性を誇ります。現在進められている成田空港の滑走路新設や延伸、ワンターミナル化など「第2の開港」と呼ばれる大規模整備により、空港関連需要の取り込みが期待され、開発ポテンシャルはこれまで以上に高まっています。


印西市が実施したサウンディング調査には、デベロッパーやゼネコンなど27社が参加しました。調査では、住宅用地やデータセンター用地として高い評価を受けた一方、物流施設については建築費高騰や供給過多を理由に慎重な意見が目立ちました。


また、医療関連企業や先端産業、航空貨物の流通加工施設なども立地候補として挙げられています。一方で、電力供給能力の確保や事業採算性、埋蔵文化財調査、地権者合意などが今後の重要課題として指摘されており、市場性の高さと課題が共存する開発計画となっています。


事業手法については、多くの事業者が土地区画整理事業を基本とする整備を提案しています。ただし100haを一括開発することは事業リスクが大きく、20~50ha程度に区域を分割し、駅に近いエリアや既存住宅地に隣接するエリアから段階的に整備する案が有力視されています。


また、早い段階から民間企業の意向を取り入れ、エンドユーザーの需要に合わせた柔軟な土地利用を進めることや、造成コストを抑えるため現況地形を生かした開発が望ましいとの意見も多く示されました。事業期間についても、企業誘致を見据えると建築着工まで5~6年以内が望ましいとの見方が大勢を占めています。


開発予定地に隣接する印旛日本医大駅は、北総線の終点であり、成田スカイアクセス線のアクセス特急が停車する交通拠点です。駅は「関東の駅百選」にも選ばれた特徴的なデザインを持ち、印西市東部の玄関口として機能しています。駅周辺には日本医科大学千葉北総病院や印西市役所印旛支所、商業施設、ホテルなどが集積しています。

駅西側に広がる「いには野地区」は、千葉ニュータウン事業の一環として整備された約104ha・計画人口約8,000人の住宅都市です。「健康・医療拠点都市」をコンセプトに、徒歩圏で生活が完結する街づくりやバリアフリー設計、豊かな緑地環境などを特徴として発展してきました。現在は住宅地に加え、業務施設地区や医療関連施設の集積も進んでおり、印旛中央地区が開発されれば、印旛日本医大駅を中心とする新たな都市圏の形成や、印西市東部のさらなる発展につながることが期待されています。
出典
・印西市 印旛中央地区の概要
・印西市 印旛中央地区に関するサウンディング型市場調査の結果について
最終更新日:2026年7月30日