JR東日本は、日本の玄関口として首都・東京を象徴するターミナルである東京駅を、「日本のセントラルステーション」にふさわしい存在として再構築するため、「TOKYO STATION CITY」をコンセプトとした大規模施設整備プロジェクトを継続的に推進しています。2002年に構想が始まって以来、丸の内駅舎の保存・復原(2012年完成)や八重洲口開発、丸の内駅前広場の再整備、北通路の改良など、多方面から駅とまちの一体的な再生が進められてきました。
そして現在、2022年に着手した「南部東西自由通路」の整備に加え、2024年5月からは「東京駅南通路周辺整備」が新たにスタートしています。これら二つの事業は、東京駅の東西をより快適に結び、駅構内の利便性と快適性を一段と高めることを目的としています。全体の整備面積は約18,100㎡におよび、2031年度冬の完成を目指して工事が進められています。完成後には、東京駅の風景がさらに洗練され、国内外の来訪者にとってより魅力的で快適な駅空間が誕生する予定です。
→東日本旅客鉄道株式会社 東京駅南部東西自由通路の本体工事着手について
→東日本旅客鉄道株式会社 東京駅南通路周辺整備に着手します
東京駅南部東西自由通路/南通路周辺整備の概要
1. プロジェクトの目的
日本の玄関口・東京駅を「日本のセントラルステーション」にふさわしい姿へ再構築する大規模整備。
駅とまちを一体化し、利便性・快適性・国際性を兼ね備えた拠点づくり。
2. TOKYO STATION CITYの展開
2002年に始動した長期都市再生プロジェクトによる駅全体の再整備。
丸の内・八重洲両エリアを結び、都市と鉄道の融合を図る計画。
3. 南通路周辺整備の概要
東京駅中央通路南側を対象とした駅改良事業。
約9,500㎡の空間を再構築し、明るく開放的なコンコースを形成。
4. 南部東西自由通路の整備
丸の内と八重洲を地下で直結する長さ約290メートルの新自由通路。
東西の回遊性を高め、歩行者ネットワークを強化する新動線。
5. 利用者利便性の向上
通路の拡幅と天井高の拡張による快適な移動空間の実現。
案内表示の明確化と視認性向上によるストレスの少ない導線。
6. バリアフリーとサービス機能の充実
大型エレベーターや多機能トイレ、待合広場などの新設。
誰もが使いやすいユニバーサルデザインの駅環境の構築。
7. 完成後の東京駅の姿
丸の内・八重洲両エリアの一体化による都市機能の高度化。
滞在を楽しむ空間として進化する新たな東京駅の創出。

「TOKYO STATION CITY」は、東京駅を単なる交通結節点ではなく、都市の中心としての魅力と機能を備えた空間に進化させることを目的とした長期的な大規模施設整備プロジェクトです。2002年以降、JR東日本は丸の内・八重洲の両エリアで、鉄道ネットワークの拡充、駅構内通路の再編、グランスタ東京やグランルーフといったエキナカ施設の整備を積み重ねてきました。


これらの施策により、駅の利便性や快適性が向上しただけでなく、東西の回遊性も格段に改善され、駅を中心とした都市空間の活性化が進みました。今回の南通路周辺整備および南部東西自由通路の新設は、こうした一連の取り組みの総仕上げとして位置づけられており、「TOKYO STATION CITY」の新たな節目を迎えるプロジェクトとなっています。

今回の南通路周辺整備は、東京駅の中央通路南側エリア、すなわち地下1階および地上1階部分を対象とした駅改良事業です。約9,500㎡の新たな空間を創出し、南通路の拡幅や天井のかさ上げによって、より広く明るいコンコースを形成します。

また、バリアフリー設備の充実、待合広場や多機能トイレの設置、手荷物預かり所の新設など、旅行者や通勤者、訪日観光客を問わず、すべての利用者が快適に過ごせる環境を目指しています。加えて、駅構内外に新たな商業エリアを整備し、日常利用と非日常体験が共存する空間を創出します。これにより、駅を単なる移動拠点から「滞在したくなる場」へと進化させる計画です。


地下1階に整備される「南部東西自由通路」は、丸の内エリアと八重洲エリアを直接結ぶ長さ約290メートル・幅約8メートルの歩行者通路です。北側の自由通路に次ぐ新たなルートとして、駅東西の回遊性を大きく向上させます。
この通路は、東京都およびJR東海との共同事業として2022年3月に本体工事へ着手し、2029年頃の使用開始を予定しています。ゆとりある空間設計が採用され、視認性と導線の明確さを重視した構造となっています。

2025年11月現在、現地では既存高架の解体や地下の掘削工事が進み、山手線の線路を支える鉄筋コンクリート柱や盛土を支える山留めや火打ちが姿を見せています。現場では、丸の内側・八重洲側双方の地下通路エリアの端部が仮囲いで覆われ、東西方向に一直線の通路構造が着実に形成されつつあります。東京駅の地下に新たな動脈が生まれようとしている段階です。

南通路は、丸の内南口と八重洲南口を改札内で結ぶ主要な動線として、毎日多くの利用者が行き交います。現状では大きな荷物を持つ旅行客なども多く、時間帯によっては混雑が発生していました。整備後は通路幅員を約15メートルから約20メートルへと広げ、天井高も約2.4メートルから最大約3メートルへ拡張します。これにより、明るく開放的な空間が実現されます。
また、通路の線形を直線化して見通しを改善し、案内表示の明確化によって移動しやすい構造とすることで、快適性を大幅に向上させます。これらの整備により、東京駅はよりストレスの少ない、分かりやすく利用しやすい駅へと進化していきます。

新たな南通路エリアでは、エレベーターを新設・大型化するなど、バリアフリー機能の充実が進められます。山手線・京浜東北線ホームを含む各番線には、地上1階から地下1階、ホーム階を結ぶ24人乗りの大型エレベーターが設置され、加えて段差対応スロープも整備されます。これにより、車いす利用者やベビーカー利用者、海外からの旅行客にとっても安心して利用できる駅環境となります。
また、地下1階と地上1階には約300㎡の待合広場が整備され、吹抜け空間を活かした開放的なデザインが採用されます。この広場では休憩や待ち合わせができるほか、地域の魅力を伝える展示やイベントも実施予定です。さらに、多機能トイレや手荷物預かり所を併設し、駅サービス全体の質を一層高めます。

南通路周辺では、地上1階・地下1階を中心に商業エリアが再構成され、飲食・物販・雑貨など約4,400㎡におよぶ店舗空間が生まれます。既存の「エキュート東京」は2024年8月19日に全店舗の営業を終えており、リニューアルオープンへと向かいます。

新エリアでは、乗り換えや移動の合間に立ち寄れる利便性を重視しつつ、日本各地の魅力を発信する店舗や、くつろぎを感じられる飲食空間を整備します。特に地下1階では、吹抜けの待合広場に隣接する形で飲食店舗を配置し、駅利用者がゆったりと過ごせる非日常的な空間を演出します。さらに、2029年頃に暫定供用が予定される南部東西自由通路の周辺にも店舗を設け、駅全体の回遊性と賑わいを高める計画です。

南部東西自由通路は2029年頃の暫定開業を経て、2031年度冬に南通路周辺整備を含む全体事業が完成する見込みです。現在は、山手線や京浜東北線の高架下で柱や基礎構造の構築が進められ、地下では通路空間の形成が着実に進行しています。
整備完了後は、丸の内・八重洲両エリアの一体性が飛躍的に高まり、東京駅は交通の要所であると同時に、文化・交流・ビジネスの中心として新たな価値を生み出す場となります。長年にわたり進められてきた「TOKYO STATION CITY」のプロジェクトは、この南側整備によって一つの大きな節目を迎え、東京の顔としての東京駅がさらに進化していくことになります。この整備により、東京駅は「通過する場所」から「滞在を楽しむ空間」へと生まれ変わり、世界中から訪れる人々に誇れる都市の玄関口となることが期待されています。
最終更新日:2025年11月1日

