千葉県袖ケ浦市のJR内房線「袖ケ浦駅」西側で、新たに大規模なまちづくりに向けた検討が進められています。対象となる「袖ケ浦駅西側地区」は、JR内房線、袖ケ浦駅海側特定土地区画整理事業区域、浮戸川などに囲まれた約50haの市街化調整区域で、現在は農地が広がるエリアです。地権者有志によるまちづくりの検討を経て、2024年には戸田建設・大和測量共同企業体が優先交渉権者に決定。2024年12月には袖ケ浦駅西側地区まちづくり準備会と協定を締結し、土地利用や事業手法、開発対象区域などについて本格的な検討が始まっています。
袖ケ浦駅西側地区では、周辺の住宅地や既存市街地との調和を図りながら、市民の利便性や地域活力の向上につながる産業などの立地を誘導する方向性が示されています。一方、現況の大半が農地であることから、農林調整や県との協議などに数年を要する見込みで、今後は地区計画の策定などを経て事業化を目指すことになります。駅の東側では、すでに大規模な土地区画整理によって新たな市街地が形成されており、今回の西側地区は、袖ケ浦駅周辺の都市機能をさらに広げるプロジェクトとして注目されます。
袖ケ浦駅西側地区の概要
1.袖ケ浦駅西側地区で新たなまちづくり
JR内房線「袖ケ浦駅」西側に広がる約50haの市街化調整区域を対象とした土地利用検討
駅周辺の利便性や地域活力の向上に資する新たな産業基盤の形成
2.戸田建設・大和測量が協力者に決定
2024年10月、プレゼンテーション審査を経て戸田建設・大和測量共同企業体を優先交渉権者に選定
同年12月にはまちづくり準備会と協定を締結し、事業化に向けた検討の本格化
3.約50haの広大な市街化調整区域
JR内房線、袖ケ浦駅海側特定土地区画整理事業区域、浮戸川などに囲まれた約50haの区域
現在は農地が大半を占め、地区計画制度を活用した計画的な土地利用の検討
4.産業基盤の形成を検討
周辺の住宅地や既存市街地との調和を前提とした産業・業務系施設などの立地誘導
駅に近接する市街化調整区域としての立地ポテンシャルを生かした地域振興
5.農地や自然環境との調和が課題
地区計画の策定にあたって農林調整や千葉県との協議などに数か年を要する見込み
農地や樹林地などの自然環境を保全しながら進める秩序ある土地利用
6.隣接する袖ケ浦駅海側地区で市街地形成
約48.9haを対象に2011年度から土地区画整理事業を実施し、道路・公園・住宅・商業などを整備
2019年7月の換地処分、2020年7月の組合解散を経て事業完了した駅前市街地
7.袖ケ浦駅を中心とした都市拠点の拡大
海側地区で形成された住宅・商業市街地に続き、西側地区でも新たな土地利用を検討
産業・業務機能などの導入による袖ケ浦駅周辺の都市機能・地域活力のさらなる向上

袖ケ浦駅西側地区は、JR内房線、袖ケ浦駅海側特定土地区画整理事業区域、浮戸川などに囲まれた、大字坂戸市場709-1ほかを中心とする約50haの区域です。道路用地などを含む広大なエリアですが、現在の土地利用は農地が大半を占めています。
同地区では、地権者有志が2016年2月に土地利用について袖ケ浦市へ相談した経緯があります。当時は都市計画マスタープラン上で生産系緑地として位置付けられていたため、新たなまちづくりの検討は難しい状況でしたが、その後の周辺環境の変化などを踏まえ、地区計画制度を活用した土地利用の検討が進められてきました。
袖ケ浦市の都市計画においても、袖ケ浦駅西側地区は、隣接する袖ケ浦駅海側地区との一体的なまちづくりを視野に、市民の利便性や地域活力の向上に資する産業などの立地を規制・誘導する地区として位置付けられています。特に駅に近接する市街化調整区域としてのポテンシャルを生かし、地域振興につながる土地利用が期待されています。

袖ケ浦駅西側地区では、地権者による地区計画制度の活用を支援するため、土地利用の検討や地区計画案の作成などに協力する事業者の募集が行われました。
2024年5月27日から8月30日まで協力者が募集され、2グループが応募。その後、9月30日にプレゼンテーション審査会が開催され、審査の結果、同年10月4日に「戸田建設・大和測量共同企業体」が優先交渉権者に決定しました。審査では10名の選定員による評価が行われ、戸田建設・大和測量共同企業体は722点を獲得し、次点の提案者を上回っています。


その後、袖ケ浦駅西側地区まちづくり準備会と戸田建設・大和測量共同企業体との協議が進められ、2024年12月17日に「袖ケ浦駅西側地区の土地利用に関する事業化の検討に係る協定」を締結しました。協定の有効期間は締結日から2年間で、土地利用の検討を進めながら、事業手法や開発対象地域を定め、事業化に向けた準備を進めることとされています。
2025年7月には地権者説明会も開催されており、今後は事業化に向けた具体的な検討がさらに進展することが期待されます。


袖ケ浦駅西側地区の土地利用について、地権者からは、JR内房線沿線や袖ケ浦駅海側特定土地区画整理事業区域内で住宅地が形成されていることを踏まえ、周辺環境に馴染むことを前提とした「産業基盤の形成」を希望する声が上がっています。
一方、区域の大半は現在も農地であり、市街化調整区域でもあるため、すぐに大規模な開発が行われるわけではありません。今後、地区計画を策定する場合には、農林調整や千葉県との協議などに数か年を要する見込みで、さらに法定手続きにも1年程度を想定しています。
袖ケ浦市の都市計画マスタープランでは、袖ケ浦駅周辺の市街化調整区域について、鉄道駅に近接した利便性の高さを生かし、市や地域の活力創出につながる土地利用を検討するとともに、施設の立地を誘導するルールを設ける方向性が示されています。また、農地や樹林地など周辺の自然との調和を図り、秩序ある土地利用を進めることも重要な方針となっています。

袖ケ浦駅西側地区の動きを見るうえで重要なのが、隣接する「袖ケ浦駅海側特定土地区画整理事業」です。同事業は、袖ケ浦駅北口・海側で行われた約48.9haの土地区画整理事業で、2011年度に開始され、道路や公園などの都市基盤を整備しながら新たな市街地を形成しました。総事業費は約77億9,600万円、計画人口は3,700人とされています。

区域内では、袖ケ浦駅北口に近接する立地を生かして、スーパーマーケットなどの商業施設、住宅、医療・複合機能などが集積する新たな市街地が形成されました。また、土地区画整理事業に合わせて袖ケ浦駅の橋上駅舎や南北自由通路、駅前広場などの整備も進められ、駅を中心とした都市拠点の形成が進展しています。


土地区画整理事業は2017年度に区域全体で使用収益が開始され、2019年7月12日に換地処分を実施。町名・地番は「袖ケ浦駅前一丁目・二丁目」に変更され、2020年7月31日には土地区画整理組合が解散して事業が完了しました。施行面積は48.9ha、事業期間は2011~2020年度となっています。区域内には、「ウィザースレジデンス袖ケ浦」や「ウィザースレジデンス袖ケ浦Ⅱ」などのマンションや、大型商業施設「ゆりまち袖ケ浦駅前モール」、ビジネスホテル「ゆりまち袖ケ浦駅前モール」などが建設されました。
こうして駅東側・海側で住宅や商業などを中心とした新しい市街地が形成された一方、駅西側には広大な市街化調整区域が残されています。今後、袖ケ浦駅西側地区で産業などの新たな土地利用が実現すれば、海側地区と西側地区がそれぞれ異なる機能を担いながら、袖ケ浦駅を中心とした都市拠点がさらに広がっていく可能性があります。
出典∶袖ケ浦市 袖ケ浦駅西側地区のまちづくり
最終更新日:2026年8月10日