ドイツの高級自動車ブランドであるメルセデス・ベンツは、北米市場において新たな展開を迎えようとしています。その象徴的なプロジェクトとして、マイアミのブリッケル地区に、同ブランド初のブランド超高級タワーマンション「メルセデスベンツ プレイシズ」を建設中です。この大規模プロジェクトは、ニューヨークを拠点とする著名な不動産開発会社JDS Development Groupが開発を手掛けており、建築設計は革新的なデザインで知られるSHoP Architectsと、メルセデス・ベンツのデザインチームが共同で担当しています。
地上67階建てに及ぶこの超高層ビルは、延床面積約23万2,257平方メートルという圧倒的なスケールを誇り、居住空間に加え、ホテル、オフィス、小売店舗、フィットネス施設など、多機能な都市空間として設計されています。このタワーは、ブリッケル地区の都市景観を大きく変え、未来志向のラグジュアリーなライフスタイルを提案することを目的としています。
メルセデスベンツ プレイシズの概要
- プロジェクト概要
メルセデス・ベンツがマイアミのブリッケル地区に67階建てのブランド住宅タワー「メルセデス・ベンツ・プレイス」を建設中。開発はJDS Development Groupが担当。 - 建築デザイン
SHoP Architectsとメルセデス・ベンツのデザインチームが設計し、官能的な純粋さを体現する流線型のバルコニーと交互に積み重ねられた長方形のボリュームが特徴的。 - 住宅・施設構成
791戸の高級レジデンス(スタジオ~3ベッドルーム)、200,000平方フィートのオフィス、約200室のホテル、高級小売店、フィットネス施設などを完備。 - 周辺環境の整備
サウスサイドパークの改修も進行中。地元の植物を活用した緑豊かな空間を創出し、都市のオアシスとしての機能を強化。 - 持続可能性への配慮
EV充電ステーションや自転車シェアリングの導入、フロリダグリーンビルディング基準の順守など、環境負荷を低減する取り組みを実施。 - マイアミのブランドタワーブーム
ポルシェ、アストンマーティン、ベントレーに続く高級自動車ブランドの不動産進出の一環で、ブランド価値の向上と収益拡大を図る。 - 完成予定と展望
2027年完成予定。未来の都市生活を象徴するプロジェクトとして、ラグジュアリーと持続可能性を両立した新しいコミュニティを創出。

メルセデス・ベンツのデザイン哲学である「官能的な純粋さ(Sensual Purity)」を体現するこのタワーは、革新的な建築デザインを採用しています。その特徴の一つとして、建物全体が交互に積み重ねられた長方形のボリュームによって構成され、これがリズミカルな立体感を生み出しています。また、流れるような曲線を描くバルコニーが各階に設けられており、視覚的な美しさと機能性を兼ね備えたデザインが実現されています。
建築コンセプトは、ドイツのバウハウスの技術的影響を受けつつも、自然界の流麗なフォルムを取り入れることで、都市空間における調和の取れた美しさを創出しています。さらに、メルセデス・ベンツのクラフトマンシップと建築技術を融合させ、建物の細部に至るまで洗練された仕上がりとなるよう細心の注意が払われています。


メルセデスベンツ プレイシズには、スタジオタイプから最大4ベッドルームまでの791戸のブランドレジデンスが設けられています。これらの住宅は、最新のインテリアデザインが施され、洗練された生活空間を提供することを目的としています。各ユニットの大きなガラス窓からは、ビスケーン湾や大西洋の壮大な景色を一望することができ、都市の喧騒を忘れさせる穏やかな空間が広がります。
さらに、約300,000平方フィート(約27,870平方メートル)のオフィススペースを備え、最先端のビジネス環境を提供するだけでなく、約300室のホテルも併設される予定です。加えて、高級ブランドの小売店が軒を連ねるショッピングエリアや、最先端の設備を備えたヘルス&フィットネス施設が設けられ、居住者や訪問者が最高級のライフスタイルを体験できるよう設計されています。


このプロジェクトの一環として、メルセデスベンツ プレイシズ周辺の環境整備にも力が注がれています。特に、近隣のサウスサイドパークの改修が進められており、これにより都市の中心部に新たな緑地空間が生まれることになります。この再開発を担当するのは、アメリカを代表するランドスケープデザインスタジオ「Field Operations」であり、彼らの専門知識を活かして、都市のオアシスとしての機能を持たせた空間が計画されています。
公園内には、フロリダの気候に適応したマンゴーの木やショートリーフイチジクなどの在来植物が豊富に植えられ、訪れる人々に自然の美しさと心地よい憩いの場を提供します。また、歩行者や自転車のための専用レーンが設けられ、都市生活における利便性と環境保全の両立を実現することを目指しています。


メルセデスベンツ プレイシズスは、持続可能な都市づくりを推進するための様々な施策を導入しています。その一例として、敷地内にはEV(電気自動車)用の充電ステーションが多数設置され、電動モビリティの普及を支援する役割を果たします。また、住民や訪問者が環境に優しい交通手段を選択できるよう、自転車シェアリングの導入も計画されています。

さらに、フロリダグリーンビルディング基準に準拠した設計が施されており、省エネルギー性能の高い建築素材の使用や、高効率な空調システムの導入など、環境負荷の低減に向けた取り組みが進められています。これにより、ブリッケル地区におけるエコフレンドリーな都市開発の模範となることを目指しています。


メルセデス・ベンツの参入により、マイアミのスカイラインには、ポルシェデザインタワー、アストンマーティンレジデンス、ベントレーレジデンスなどに続く、もう一つのラグジュアリーブランドが加わります。近年、高級車ブランドと不動産開発のコラボレーションが活発化しており、ブランドの認知度向上と収益拡大の新たな手法として注目されています。

2027年の完成を目指し、現在建設が進められているメルセデスベンツ プレイシズは、単なる高級住宅ではなく、未来の都市生活の新たな象徴となることを目指しています。JDS Development GroupのCEOであるマイケル・スターン氏は、「これは単なる建物の建設ではなく、未来のライフスタイルを形作るプロジェクトである」と語り、メルセデス・ベンツとともに、より良い都市空間の創造に取り組んでいます。
このタワーが完成すれば、マイアミのブリッケル地区はさらなる発展を遂げ、持続可能性とラグジュアリーが融合した未来都市の新たなモデルが生まれることでしょう。
最終更新日:2025年2月10日