三菱地所株式会社は、ロンドン市内で2つの大規模オフィス事業「72 Upper Ground」と「1 Victoria Street」の本格的な開発に着手しました。総事業費は約2,480億円で、いずれも三菱地所ロンドン社が100%出資し推進します。「72 Upper Ground」は旧ITV本社・スタジオビルを再開発し、テムズ川沿いの景観保全地区内に公開空地を設け、環境に配慮した設計を採用しています。一方、「1 Victoria Street」は既存建物の躯体を再活用する大規模改修事業で、環境負荷の軽減と周辺地域の賑わいづくりを目指しています。両プロジェクトは、オフィス・商業用途に加え、公共空間やアメニティの整備を通じてロンドンの都市景観に貢献することを目指しています。
→三菱地所株式会社 旧ITV本社・スタジオビルの再開発「72 Upper Ground」/ 既存建物躯体を再活用する大規模改修「1 Victoria Street」
「72 Upper Ground」と「1 Victoria Street」の概要
- 立地と周辺環境
ロンドンの主要エリアに位置する「72 Upper Ground」と「1 Victoria Street」。それぞれウォータールーエリア、ウェストミンスター地区に所在。歴史的建築物や政府機関の近隣で、優れたアクセス性を有する。 - プロジェクト概要
「72 Upper Ground」は地上25階の南棟・地上14階の北棟、延床面積約9万1,200平方メートルの新規オフィスビル。「1 Victoria Street」は既存物件の大規模改修計画、地上10階、延床面積約6万5,700平方メートル。 - 目的と利用用途
両施設は主にオフィスビルとして開発。「72 Upper Ground」は企業向けオフィス空間、「1 Victoria Street」はオフィス、商業施設、アフォーダブルオフィスを含む。 - 環境への配慮
両プロジェクトの環境への配慮。「72 Upper Ground」は再生可能エネルギーと持続可能な建材を活用。「1 Victoria Street」は既存躯体や資材の再利用、CO2削減に注力。BREEAM、WELL、EPCなどの認証取得を目指す。 - デザインとアメニティ
従業員のWell-beingを考慮した施設設計。「72 Upper Ground」には屋上庭園、レストランなどを提供。「1 Victoria Street」にはジム、タウンホール、テナント専用テラスを設置。 - 地域貢献と街の活性化
「1 Victoria Street」は歴史的景観と調和するデザインで街に開放的な空間を提供。「72 Upper Ground」は都市再生計画に基づき地域活性化に貢献。 - 開発スケジュールと運用
「72 Upper Ground」の着工は2025年4月、竣工予定は2029年。「1 Victoria Street」は2025年4月着工、2028年竣工予定。

「72 Upper Ground」は、ロンドン・サウスバンクに位置する旧ITV本社・スタジオビルの再開発プロジェクトです。総事業費は約1,600億円で、2025年1月より解体工事が着手され、2029年の竣工が予定されています。サウスバンクエリアは、鉄道や地下鉄の便が良く、Waterloo駅から徒歩8分とアクセスも優れています。周辺には観光スポットや文化施設も多く、オフィス需要の高いエリアとなっています。このプロジェクトでは、約900~6,000㎡の多様なフロアプレートを提供し、テムズ川沿いの優れた眺望と充実したアメニティで高い需要が見込まれています。また、北棟と南棟を繋ぐ部分には、クリエイター支援を目的とした「London Studios」というアフォーダブルオフィスも設け、地域の発展にも寄与します。


「72 Upper Ground」では、テムズ川沿いの景観保全地区内に位置するため、リバービューを最大限活用した設計が行われています。敷地の40%は公開空地として開放され、川沿いの遊歩道と連携したオープンスペースが創出されます。さらに、低層部には飲食店舗が設置され、エリア全体の賑わいを促進します。オフィス空間には、外部空間の重要性が高まる中で、7階の共用テラスやフロアごとにテラス・バルコニーを配置し、屋外の快適な環境を提供します。加えて、環境性能にも配慮されており、再生可能エネルギーの利用や高性能外装の採用により、BREEAM OutstandingやWELL Platinumなど、複数の環境認証で最高評価を目指しています。

「1 Victoria Street」は、ロンドンの歴史的エリアであるウェストミンスターに位置し、三菱地所ロンドン社が2013年に取得した自社保有物件です。国会議事堂やウェストミンスター寺院などの著名な建築物に隣接し、これまで政府系テナントに一棟貸ししていましたが、2024年1月にテナントが退去し、2025年1月より改修工事が開始されます。周辺はオフィスや住宅の再開発が進み、職住近接エリアとして注目されています。交通アクセスも良好で、最寄り駅のVictoria駅まで徒歩圏内、地下鉄2駅3路線も利用可能です。


本プロジェクトは、環境に配慮した設計を重視しています。既存建物の躯体や資材の約52%を再活用することで、CO2排出の削減を実現。また、解体された資材はリサイクルし、建物内では再生可能エネルギーの使用や省エネ設備が導入されます。これにより、「BREEAM」(Excellent以上)、「EPC A rating」、「WELL」(Gold以上)の認証を取得予定です。また、オフィスにおける従業員のWell-beingを向上させるため、ジムやシャワー・ロッカースペースなどのアメニティも完備されています。
最終更新日:2025年4月27日