JR山手線・大塚駅南口に位置する「大塚駅南口地区」で、市街地再開発に向けた本格的な検討が進められています。地区内では、戦災復興区画整理により形成された築40年以上の連棟式共同建物が集積しており、権利関係の複雑化や建物の老朽化、安全性・防災性の面で課題を抱えてきました。一方で、駅前商店街として高い集客力とにぎわいを有しており、都市機能の更新と環境改善の両立が求められています。
こうした背景のもと、地権者による勉強会や協議会の設立を経て、現在は「大塚駅南口地区再開発準備組合」が組織され、基本計画案の検討が進められています。施行区域は約0.5ha、地区計画の検討区域は約0.7haとされており、都市計画決定は2026年度、組合設立認可は2027年度、権利変換計画認可は2028年度を目指すスケジュールが想定されています。再開発ビルの具体的な用途や規模は未定ですが、大塚駅周辺の「顔」となる拠点形成が期待されています。
→令和7年12月24日豊島区都市計画審議会 大塚駅南口地区のまちづくりについて
大塚駅南口地区再開発事業の概要
1.大塚駅南口地区で浮上した市街地再開発構想
JR大塚駅南口至近で進む市街地再開発の本格検討。
駅前の更新と拠点形成を目指す再整備構想。
2.老朽化建物と複雑な権利関係が抱える都市課題
戦災復興区画整理後に建設された築40年以上の連棟式建物の集積。
更新停滞や防災・安全性の低下という構造的課題。
3.にぎわいを維持する駅前商店街と環境改善の必要性
高い集客力を持つ駅前商店街の存在。
オープンスペース不足や歩行環境の改善という課題。
4.地権者主体で進められてきた段階的な合意形成
勉強会、まちづくり協議会を経た継続的な検討プロセス。
準備組合設立による事業化段階への移行。
5.施行区域約0.5ヘクタールの駅前一等地開発計画
南大塚三丁目を中心とする施行区域約0.5ha、地区計画約0.7ha。
商業地域・高容積率を生かした高度利用ポテンシャル。
6.都市計画決定から権利変換までの段階的スケジュール
2026年度の都市計画決定、2027年度の組合設立認可予定。
2028年度の権利変換計画認可を見据えた工程。
7.大塚の顔となる交流拠点形成と都市機能更新への期待
商業・交流・居住機能の集積によるにぎわい創出。
地域資源を生かした持続的な都市価値向上。

大塚駅南口地区のまちづくりは、2019年頃から地権者主体の勉強会を通じて本格的に動き出しました。2020年には複数回の勉強会が開催され、まちづくりの仕組みや進め方について理解が共有され、同年12月にはまちづくり協議会が設立されました。協議会では説明会や総会を重ねながら、地区の将来像や整備の方向性について検討が進められてきました。

2021年には、東京都の「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」および「都市再開発の方針」、豊島区の「都市づくりビジョン」が改定され、大塚駅周辺地区は再開発促進地区に指定されました。これにより、商業・業務・文化・交流・生活支援機能など、多様な都市機能を集積する拠点としての位置づけが明確化され、制度面からも再開発を後押しする環境が整いました。
その後、協議会での検討を経て、2022年には再開発準備組合が設立され、現在は基本計画案の検討段階に移行しています。総会や理事会、説明会を通じて、事業内容の具体化と合意形成が丁寧に進められています。

再開発を推進する主体は「大塚駅南口地区再開発準備組合」です。事業協力者は東京建物と住友不動産が担っており、民間事業者のノウハウを生かした事業推進体制が構築されています。
対象地区は、豊島区南大塚三丁目49番ほかに位置し、大塚駅南口至近という高い立地優位性を有しています。施行区域は約0.5ha、天祖神社などを含む地区計画の検討区域は約0.7haです。都市計画上は、高度利用地区、市街地再開発事業、地区計画の指定が想定されています。用途地域は商業地域で、建ぺい率は80%、容積率は500%および700%が指定されており、駅前立地にふさわしい高度利用が可能なエリアとなっています。


当該地区では、戦災復興区画整理事業により整備された街区が多く、当初建設された連棟式共同建物が現在も数多く残っています。築40年以上が経過した建物が集積していることから、老朽化や耐震性の不足が懸念されており、権利関係が複雑なことも都市機能の更新を困難にしています。

また、駅前商店街としてにぎわいがある一方で、一時避難スペースや広場などのオープンスペースが不足している点も課題です。地区内の道路では歩車分離が十分に確保されておらず、歩行者が安全かつ快適に移動できる環境とは言い切れません。災害時の安全確保や日常の回遊性向上の観点からも、面的な再整備が求められています。
これらの課題を解決するためには、単なる建替えではなく、街区再編や公共空間整備を含めた一体的な再開発が不可欠とされています。


まちづくりの基本的な考え方は、大きく三つの柱で整理されています。第一に、大街区化や広場整備、歩行者ネットワークの強化による都市基盤の再整備です。駅とまちをつなぐ安全で分かりやすい動線を確保し、災害時にも機能する都市構造の形成を目指すものとされています。

第二に、大塚駅周辺の「顔」となる新たなにぎわいと活力の創出です。商業・交流機能の充実に加え、子育て世帯や高齢者世帯にも配慮した都心居住環境の整備を進め、多様な世代が集い、滞在しやすい都市空間の形成を図ります。
第三に、地域資源を生かした個性ある都市空間の形成です。歴史ある神社や都電沿線の風景、商店街文化などを継承・発展させながら、景観形成やエリアマネジメントを通じて、持続的に魅力を高めるまちづくりを進めます。豊島区都市づくりビジョンが掲げる「交流拠点」としての大塚の位置づけとも整合し、池袋・東池袋エリアとの連携強化も期待されています。

想定スケジュールでは、2025年12月に都市計画審議会への報告を行い、2026年度に都市計画決定、2027年度に組合設立認可、2028年度に権利変換計画認可を目指すとされています。その後、設計・建設段階へと進む見通しです。

現時点では、再開発ビルの用途構成や規模、導入機能の詳細は明らかになっていませんが、駅前立地を生かした商業・交流機能の導入、歩行者空間の拡充、防災性の向上などが主要なテーマになると見込まれます。大塚駅周辺では、交通結節機能の強化や歩行者ネットワークの形成など、周辺エリアと連動した都市整備も進められており、本地区の再開発がその流れをさらに加速させる可能性があります。
老朽化した市街地の更新と、にぎわいの継承・発展をいかに両立させるかが今後の焦点となっており、大塚駅南口地区がどのような新しい都市像を描くのか、引き続き注目されます。
最終更新日:2026年1月26日

