東京直結鉄道は、東京メトロ有楽町線(都市計画上の「東京8号線」)を東京都心から埼玉県東部、千葉県北西部、さらに茨城県西南部へと延伸する壮大な構想です。現在建設が進む豊洲〜住吉間と、既存の住吉〜押上間を経由し、押上から四ツ木、亀有、八潮、越谷レイクタウン、吉川市、松伏町、野田市へと至るルートが想定されています。
沿線自治体では「東京へ直結する鉄道」として長年にわたり実現を求めており、地域の悲願ともいえるプロジェクトです。2025年3月に公表された「高速鉄道東京8号線(八潮〜野田市間)整備検討調査」では、建設費約3,200億円、費用便益比(B/C)1.03と試算され、一定条件の下で事業成立の可能性が示されました。さらに、茨城県坂東市や下妻市方面への延伸構想も検討されており、首都圏北東部の交通体系を大きく変える可能性を秘めています。
東京直結鉄道の概要
1.東京直結鉄道の概要
東京メトロ有楽町線(東京8号線)を豊洲・押上経由で埼玉県東部、千葉県野田市へ延伸する構想。
首都圏北東部と東京都心を直結し、広域的な交通利便性向上を目指す大規模鉄道プロジェクト。
2.豊洲〜住吉間の建設進展
豊洲〜住吉間約5.2kmは2024年11月に着工し、2030年代半ばの開業を予定。
東京8号線延伸構想の第一段階として、計画全体の実現性を高める先行整備区間。
3.押上〜野田市間の延伸計画
押上から四ツ木、亀有、八潮、越谷レイクタウンを経て野田市へ至る延伸構想。
埼玉県東部と千葉県北西部の鉄道空白地域を結ぶ都心直結ルート。
4.八潮〜野田市間の事業性評価
2025年3月の整備検討調査で、概算事業費約3,200億円、費用便益比1.03を確認。
一定条件のもとで収支採算性と社会的効果の成立可能性を示した最新調査結果。
5.沿線まちづくりとの連携
各新駅周辺で住宅、商業、業務、医療、研究機能を導入する一体的な都市開発。
人口増加と雇用創出を通じた持続可能な地域形成と都市再編の推進。
6.茨城県西南部への延伸構想
野田市から坂東市、下妻市方面へ延伸し、県西地域の鉄道不便地域を解消する構想。
東京都心とのアクセス改善による広域交流促進と地域活性化への期待。
7.実現に向けた今後の課題
第三セクター方式の導入、沿線開発の具体化、需要創出による採算性向上。
関係自治体と国、鉄道事業者が連携して進める次段階の事業計画策定。

東京直結鉄道とは、東京メトロ有楽町線の延伸構想のうち、押上駅から埼玉県東部・千葉県野田市方面へ向かう区間を指す通称です。正式な路線名ではありませんが、東京へのアクセス改善を切望する沿線自治体が広く用いています。

構想の全体像は、豊洲〜住吉間(建設中)、住吉〜押上間(既存の半蔵門線)、押上〜野田市間(構想区間)という形で構成されます。これにより、東京都心、豊洲、銀座、有楽町、池袋方面へ乗り換えなしでアクセスできる可能性があります。
特に埼玉県東部や千葉県野田市周辺は、都心へのアクセスに時間を要する地域であり、東京直結鉄道の実現によって通勤・通学の利便性が飛躍的に向上すると期待されています。

東京8号線のうち最も具体化しているのが、豊洲〜住吉間約5.2kmです。この区間は2022年に鉄道事業許可を取得し、2024年11月5日に着工しました。開業は2030年代半ばを予定しています。
途中には枝川、東陽町、千石(いずれも仮称)の3駅が設置される予定で、江東区内の南北交通を大きく改善します。この区間の整備により、東京8号線延伸計画全体の実現性が高まり、押上以東への延伸にも追い風となっています。
豊洲駅では開業当初から将来延伸用のスペースが確保されており、住吉駅にも接続準備構造が存在しています。長年構想にとどまっていた計画が、いよいよ実際の建設段階に入ったことで、沿線自治体の期待は一層高まっています。

2021年度から2024年度にかけて、地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会が「高速鉄道東京8号線(八潮〜野田市間)整備検討調査」を実施しました。
この調査では、八潮駅を起点に越谷レイクタウン、吉川市、松伏町を経て野田市駅に至る約17.5kmの路線を想定。新設駅は八潮駅を含む9駅で、地下区間と高架区間を組み合わせて整備する計画です。

概算事業費は約3,200億円とされ、ピーク時8本/時(うち快速2本/時)の運転を想定。八潮〜野田市間の所要時間は各駅停車で21分、快速で12.5分と試算されています。
費用便益比(B/C)は1.03となり、社会的効果が事業費を上回る結果となりました。また、累積資金収支は開業後35年目に黒字化する見通しであり、第三セクター方式を前提にすれば、事業成立の可能性が十分あることが示されました。

東京直結鉄道は単なる鉄道整備ではなく、沿線の大規模なまちづくりと一体で進めることが特徴です。各駅周辺では住宅、商業、業務、医療・福祉、教育、研究施設などを誘導し、新たな都市拠点を形成する構想となっています。
調査では、駅周辺300m圏内における開発によって、夜間人口11,900人、従業人口27,700人の増加を見込んでいます。これにより人口減少に悩む地域に新たな居住需要と雇用を創出し、持続可能な地域づくりを進める狙いがあります。


越谷レイクタウンでは既存の商業集積を活かし、松伏町では新しい住宅地と商業施設の整備、野田市では江戸川周辺の歴史・文化資源を活かしたまちづくりが想定されています。鉄道整備が地域の将来像そのものを変える起爆剤として位置づけられています。

東京直結鉄道は、野田市を終点とするだけでなく、さらに利根川を越えて茨城県坂東市、下妻市方面へ延伸する構想もあります。坂東市では旧岩井市時代から誘致活動が続けられ、現在も地下鉄8号線の県内延伸を重要施策として位置づけています。

茨城県西南部は鉄道空白地域が多く、都心へのアクセス向上が地域振興の鍵とされています。大宝駅(下妻市)から秋葉原までの所要時間は、現在の約95分から約60分へ短縮されるとの試算もあり、通勤・通学だけでなく企業立地や観光促進にも大きな効果が期待されています。
2024年11月には坂東市で第38回総決起大会が開催され、埼玉県東部から千葉県野田市までの建設促進と、茨城県への延伸実現を目指す決議が採択されました。沿線自治体や住民の熱意は非常に高く、東京直結鉄道は首都圏北東部の未来を担う重要プロジェクトとして注目されています。
出典
・野田市 東京直結鉄道について
・茨城県 地下鉄8号線(東京8号線)の延伸について
最終更新日:2026年5月13日