東京建物株式会社は、渋谷駅東側の渋谷三丁目エリアに位置する「三基商事ビル」など計6棟の既存建築物を対象とした「渋谷三丁目9番地上解体工事」を進めています。対象建物には、ミキプルーンで知られる三基商事の東京支店が入居し、まるで古代遺跡のような独特な外観で親しまれてきた「三基商事ビル」をはじめ、明治通り沿いの商業・オフィスビル群が含まれています。
今回の計画は、渋谷区が推進する「渋谷三丁目地区地区計画」に基づくもので、老朽化した建築物の更新や防災機能の向上、歩行者ネットワークの強化、渋谷川や金王八幡宮など地域資源を活かしたまちづくりの実現を目的としています。総延床面積13,554.32㎡に及ぶ6棟の解体工事は2024年6月に着工、2026年5月末の完了を予定しており、既に更地となっています。解体後の具体的な再開発計画は今後明らかになる見込みですが、渋谷駅周辺の再開発が進展するなかで、新たな都市機能の整備に期待が高まっています。
渋谷三丁目9番地上解体工事の概要
1.計画の概要
東京建物株式会社が渋谷三丁目の6棟を対象に進める「渋谷三丁目9番地上解体工事」。
渋谷駅東側の街区再編と都市機能更新を目的とした大規模な建て替え計画。
2.三基商事ビルの解体
ミキプルーンで知られる三基商事の東京支店が入居していた特徴的な建築物。
建築家・永田祐三氏が設計した古代遺跡を思わせる独創的なランドマーク。
3.解体対象となる6棟の建物
渋谷ロイヤルビル、IBS渋谷ビル、三基商事ビル、KDC渋谷ビルなど計6棟。
総延床面積13,554.32㎡を有する1970~80年代築の中規模ビル群。
4.明治通り沿いの商業機能の更新
はなまるうどんやかつ吉、キンコーズなどが営業していた沿道建築群。
再開発に伴う閉店と街区一体での建物更新による都市環境の再編。
5.渋谷三丁目地区地区計画との連携
老朽建築物の更新や防災性向上を目的とする地区計画に基づく事業。
多様な都市機能の集積とウォーカブルな都市空間の形成を目指すまちづくり。
6.地域主体で進められた街並み再生
2020年から地元関係者による協議会や勉強会を通じて進められた検討。
金王八幡宮周辺の環境整備や回遊性向上を見据えた街並み再生構想。
7.解体後の再開発と将来像
工事は2024年6月着工、2026年5月30日完了予定のスケジュール。
渋谷川や金王八幡宮など地域資源を活かした新たな都市拠点形成への期待。

今回解体されるのは、渋谷駅から南東へ徒歩約5分の場所に立地する6棟の中規模ビルです。対象となるのは、渋谷ロイヤルビル、IBS渋谷ビル、三基商事東京支店ビル、KDC渋谷ビル、渋谷アサヒビル、東京建物渋谷ビルの6棟で、いずれも1970年代から1980年代にかけて建設された建築物となっています。建物の構造は鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、地上6階から8階建ての規模を有しています。
なかでも三基商事東京支店ビルは、ミキプルーンで知られる三基商事の東京拠点として長年使用されてきた建物です。建築家・永田祐三氏による設計で、石積みの遺跡を思わせる重厚かつ独創的な外観を特徴としており、渋谷の街の中でもひときわ強い存在感を放っていました。一般的なオフィスビルとは一線を画すデザインから、渋谷を象徴する個性的な建築物のひとつとして知られていました。

対象地のうち明治通り沿いには、渋谷アサヒビル、KDC渋谷ビル、東京建物渋谷ビルの3棟が並んでいます。渋谷アサヒビルの1階には「はなまるうどん」が営業していましたが、2024年3月に閉店しました。また、KDC渋谷ビルの地下には老舗とんかつ店「かつ吉」が入居していましたが、こちらも2024年6月に営業を終了しています。さらに東京建物渋谷ビルにはコピー・印刷サービスの「キンコーズ」が入居していましたが、2025年6月20日をもって閉店しました。
これらの店舗は長年にわたり地域住民や周辺オフィスワーカーに利用されてきましたが、再開発に伴い営業を終了することとなりました。一方で、明治通りから一本奥へ入った場所には三基商事ビル、渋谷ロイヤルビル、IBS渋谷ビルが立地しており、今回の計画ではこれらを含めた街区全体が一体的に更新されます。単なる個別建て替えではなく、まとまった街区単位で再編されることで、より大きなまちづくり効果が期待されています。

今回の解体地は、「渋谷三丁目地区地区計画」のうち金王八幡宮周辺を中心としたエリアに位置しています。同地区は渋谷区まちづくりマスタープランにおいて「中心拠点ゾーン」と位置付けられ、高度な国際競争力と地域性を兼ね備えた都市空間の形成が目指されています。また、「住む・働く・遊ぶ・学ぶ」といった多様な都市機能が集積し、さまざまな規模の建築物が共存する渋谷らしい街並みを形成することも重要な方針となっています。
一方で、地区内には老朽化した建物が多く残されており、防災面や都市機能の更新が課題となっていました。そこで地区計画では、建物の建て替えを促進しながら、安全性の向上や都市機能の高度化を図ることが掲げられています。さらに、歩行者中心のウォーカブルなまちづくりや、ダイバーシティ、インクルージョン、サステナビリティの視点を取り入れた都市整備も重要なテーマとなっています。


渋谷三丁目地区の街並み再生は、行政主導だけではなく地域関係者による長年の議論を経て進められてきました。2020年には地域住民や地権者、事業者らで構成される「渋谷三丁目地区まちづくり推進協議会」が勉強会を開始し、地域の将来像について検討を重ねてきました。そして2021年には街並み再生方針に関する提案書が渋谷区へ提出され、これを受けて東京都は2022年に街並み再生地区および街並み再生方針を指定しました。
さらに2023年7月には地区計画の変更が行われ、地区の将来像が具体的な都市計画として位置付けられています。計画では老朽建築物の更新だけでなく、金王八幡宮周辺の参道空間の整備や回遊性の向上、歩行者ネットワークの強化、さらにはIT企業の集積を活かしたイノベーション拠点の形成なども目標として掲げられています。地域の歴史や文化を継承しながら、新たな都市機能を導入することが目指されています。

工事名称は「渋谷三丁目9番地上解体工事」で、施工は株式会社ゼクオスが担当しています。工事は2024年6月27日に着工しており、2026年5月30日の完了を予定しています。発注者は東京建物株式会社であり、対象地の大部分を保有しながら街区全体の再編を進めています。
現時点では、解体後の具体的な建築計画や施設構成は公表されていません。しかし、地区計画では渋谷川沿いの水辺空間の活用や歩行者ネットワークの整備、低層部のにぎわい創出などが重視されており、将来的には商業・業務機能を中心とした複合施設が整備される可能性も考えられます。また、これまで渋谷川に背を向けるように建っていた既存建物に代わり、水辺空間と連携した新しい都市景観の創出も期待されています。
渋谷三丁目エリアは、渋谷駅に近接しながらも、金王八幡宮や渋谷川といった歴史・自然資源が残る特色ある地域です。今回の解体事業は、単なる建て替えにとどまらず、渋谷の新たな都市像を形づくる重要なプロジェクトの第一歩として注目を集めています。
過去の記事→2025年7月8日投稿 ミキプルーンで有名な古代遺跡のような見た目の「三基商事ビル」など計6棟を解体し、建て替えへ!!「渋谷三丁目地区地区計画」に基づき新たなまちづくりへ!!
最終更新日:2026年6月17日