総務省が4月14日に公表した人口推計(2024年10月1日現在)によると、日本の総人口は1億2,380万2,000人で、前年よりも55万人減少しました。これにより人口減少は14年連続となり、深刻な未婚社会化・少子高齢化が浮き彫りとなっています。日本人人口に限れば減少幅は13年連続で拡大し、出生数の減少に加え、社会動態による減少も再び見られるようになっています。一方で外国人の人口は引き続き増加しており、全体の社会増加を支える要因となっています。高齢化の進行はますます顕著となっており、75歳以上の人口割合は過去最高を更新しました。
総務省「人口推計(2024年10月1日現在)」の概要
- 総人口1億2380万人、14年連続の減少
前年から55万人減、日本の人口減少傾向の継続。2008年のピーク以降、減少傾向の常態化。 - 日本人人口、減少幅が過去最大
前年比89万8千人減、13年連続の減少幅拡大。出生数の過去最低水準と自然減の影響。 - 外国人の増加と日本人の社会減
全体では34万人の社会増、日本人は2千人の社会減。外国人34万2千人の増加が全体を下支え。 - 少子高齢化の加速と75歳以上人口の過去最多
75歳以上は2,077万人超で人口の16.8%を占有。15歳未満は11.2%で過去最低。 - 生産年齢人口の微増と構造的課題の深刻化
15~64歳人口はわずかに増加も、労働力不足や社会保障不安の継続。 - 人口増加は東京都と埼玉県のみ
東京都は0.66%の明確な増加。全国45道府県での人口減と地方の顕著な減少。 - 全国すべての都道府県での自然減
出生数が死亡数を下回る自然減の全国的発生。地方を中心とした社会減の深刻化。

2024年10月1日時点の総人口は1億2,380万2,000人で、前年に比べて55万人(-0.44%)の減少となりました。これは2008年をピークに始まった人口減少が14年連続で続いていることを示しています。中でも日本人人口は1億2,029万6,000人で、前年比89万8,000人(-0.74%)減と、減少幅が13年連続で拡大。
自然減少(出生児数から死亡者数を差し引いたもの)は前年から拡大し、18年連続の減少となりました。出生児数は71万7,000人にとどまり、死亡者数160万7,000人を大きく下回っています。男女別では男性が45万3,000人、女性が43万7,000人の自然減となっており、特に男性の減少は20年連続と長期化しています。

年齢構成を見ると、15歳未満人口は1383万人で、前年より34万3,000人減少し、総人口に占める割合は11.2%と過去最低を更新しました。一方、65歳以上人口は3,624万3,000人で、前年より1万7,000人増加、割合は29.3%と過去最高。とりわけ75歳以上人口は2,077万7,000人と、70万人の大幅な増加を記録し、全体の16.8%を占めるまでに拡大しています。このように高齢者の割合が年々増加する一方、若年層の減少が止まらず、人口ピラミッドの逆転構造が深刻さを増しています。生産年齢人口(15~64歳)は7,372万8,000人で、割合は59.6%と微増しましたが、労働市場への影響や社会保障制度の持続性が今後の大きな課題です。


都道府県別に見ると、人口が増加したのは東京都(0.66%増)と埼玉県(0.01%増)の2都県のみでした。東京都は全国の総人口の11.5%を占め、首都圏一極集中の傾向が続いています。埼玉県は前年の減少から微増に転じました。一方、45道府県では人口が減少しており、秋田県(-1.87%)、青森県(-1.66%)、岩手県(-1.57%)など18県では1%以上の大幅減となりました。また、すべての都道府県で自然減が見られ、社会動態においても半数以上の県で人口が流出しています。ただし、福井県・奈良県・宮崎県の3県は前年の社会減少から社会増加に転じるなど、局地的な変化も見られます。なお、15歳未満人口の割合が75歳以上人口の割合を上回ったのは沖縄県(15.8%)のみで、全国の中でも例外的な若年層比率の高さが目立ちました。
人口減少で不動産市場・建設需要はどうなる!?
1. 東京都

東京都は、2024年の人口推計において、0.66%の人口増加が見込まれ、これは前年より0.32ポイントの拡大となります。人口増加の要因は、東京都における社会増加と自然減少が続く一方、外国人の増加が寄与しています。東京都の人口は全国の11.5%を占め、依然として最も多い地域です。
この増加は、東京の不動産市場に対する需要の高まりを示しており、特に都市部の住宅やオフィスに対する需要は、今後も堅調に推移すると予測されています。また、都心5区における新築オフィスビルの供給量は、2023年に約40万坪、2024年に約19万坪となり、大量供給が続いています。この供給の増加は、東京への人口流入が拡大する要因の一つともなっています。高齢化が進む中でも、再開発や高層ビルの建設が活発に行われ、都市の機能強化や居住環境の改善が進むでしょう。
2. 埼玉県・千葉県・神奈川県(東京近郊の県)

荒川を越えた先などに位置する埼玉県は0.01%の微増を見せ、人口減少から人口増加に転じています。これに対し、千葉県や神奈川県では社会増加が続いていますが、人口減少傾向は続いており、特に高齢者層の割合が増加しています。この地域では、都心からの人口流入や都心通勤圏の駅前再開発が進んでおり、郊外における住宅需要が高まることが予想されます。特に神奈川県では、横浜や川崎などの都市が発展し続けており、オフィスビルや商業施設の需要が増加する見込みです。
3. 大阪・名古屋

大阪府と愛知県(名古屋)は、いずれも人口減少が続いていますが、大阪府では社会増加が見られます。社会増加の要因として、外国人の流入が大きく影響しており、特に国際的な商業エリアや観光地の再開発が進むでしょう。名古屋も東京と大阪の中間に位置する経済圏として重要な地域であり、リニア中央新幹線開業などでオフィス需要や物流施設の需要が今後増加する可能性があります。また、高齢化が進む中で、住宅需要がシニア向けにシフトし、高齢者向けの住宅や施設の建設が注目されるでしょう。
4. 地方

地方では、人口減少が顕著で、特に秋田県、青森県、岩手県などで減少率が高くなっています。自然減少が続く中で、地方都市の不動産市場は縮小傾向にあります。特に高齢化が進む中で、居住用不動産の需要が低下し、空き家問題が深刻化するでしょう。社会増加を見込む地域でも、人口増加のスピードが緩やかであり、インフラや公共施設の整備が課題となります。地方の不動産市場では、特に医療・介護関連施設の需要が高まり、高齢者向けの施設の建設が進む可能性があります。
このように、各地域で人口動態が異なることを踏まえ、不動産市場や建築需要には地域ごとの特性を反映させたアプローチが求められます。東京都やその周辺地域では引き続き安定した需要が見込まれる一方、地方では人口減少と高齢化に対応する新たな需要が生まれることが予測されます。
最終更新日:2025年4月14日