リニア中央新幹線は、東京都と大阪市を結ぶ全長約438kmの新幹線計画(品川駅〜名古屋駅間2035年以降先行開業予定)で、時速500kmの超電導リニア方式を採用し、東京〜大阪間を約67分で結ぶ未来型高速交通インフラです。神奈川県内には相模原市緑区の橋本駅南側に「神奈川県駅(仮称)」が設置予定で、周辺地域ではまちづくりも進行中です。リニアは、交通の利便性向上だけでなく、災害時のバックアップ、環境への配慮、大都市圏の経済連携強化など多面的な価値をもたらします。
2025年6月5日、名古屋方面へと延びる「第2首都圏トンネル」の掘削に向け、シールドマシンの搬入および組み立て作業が開始されました。これにより、深さ約30メートルまで掘り進められた神奈川県駅(仮称)の姿が徐々に明らかになってきています。また、2025年6月7日(土) 13時00分~16時00分にかけて、「シールド機組立に先立った現場見学会」が開催され、掘削が進められて建設工事が進む神奈川県駅(仮称)の様子が明らかになりました。
→神奈川県 リニア中央新幹線の概要
→東海旅客鉄道株式会社 中央新幹線神奈川県駅(仮称)新設工事における環境保全について
→東海旅客鉄道株式会社 中央新幹線品川・名古屋間事業説明会
リニア中央新幹線 神奈川県駅(仮称)の概要
1. 路線と駅の位置
リニア中央新幹線は、東京〜大阪間を約67分で結ぶ時速500kmの超電導リニア。
神奈川県駅(仮称)は、相模原市緑区橋本駅南側に建設中である。
2. 駅施設の概要
神奈川県内は約40kmの地下・山岳トンネル区間で構成される。
駅は横浜線・相模線・京王線と接続する橋本駅南側に位置する。
3. 工事の進捗と工程
延長約1km、深さ約30mの地下駅でホーム2面4線を備える。
副本線や回送線を持ち、相模原市鳥屋に車両基地が併設される。
4. 広域都市圏としての役割
2019年に着工し、2027年3月の完成を目指している。
仮土留め壁を用いた開削工法により段階的に施工されている。
5. 環境・安全への配慮
東京〜大阪の「大交流リニア都市圏」を形成し、経済・文化圏を統合。
人・モノ・情報の交流を促進し、日本の活力を高める役割を果たす。
6. 周辺地域のまちづくり
CO₂排出量は航空機の約1/3と、環境負荷の少ない次世代交通機関。
東海道新幹線の代替路線として災害・テロ時の安全性を補完する。
7. 市民との関わりと広報
「さがみはらリニアひろば」などで工事を公開し理解促進を図る。
リニアイベントやガイドライン策定により地域との協働を進める。

リニア中央新幹線は、国の整備計画に基づき東京都〜大阪市間を高速で結ぶ新幹線構想です。使用される超電導リニア方式により、東京〜名古屋は約40分、東京〜大阪は約67分で移動可能となります。山梨実験線を基礎に、南アルプスの山岳地帯を通過するルートが採用され、輸送力強化や災害リスクへの備え、環境負荷の軽減などの役割を担います。


神奈川県駅は相模原市緑区の橋本駅南側、旧神奈川県立相原高校跡地に建設中の地下駅です。島式ホーム2面と副本線の2面4線構造で、延長約1km、最大幅約50m、深さ約30mの大規模な地下駅で、車両基地は鳥屋地区に設置予定。工事は開削工法を採用し、2027年3月の完成を目指しています。


工事は2019年6月から始まり、2029年3月までの長期にわたる計画です。主に仮設土留め壁を構築後に掘削を進め、駅構造物を構築します。現場では作業ヤード約12万㎡が確保され、昼夜2交代制で作業が進められています。また、「さがみはらリニアひろば」では一般向けの工事見学イベントも実施され、地域との交流も図られています。


神奈川県駅はJR横浜線・相模線、京王相模原線と接続し、橋本駅との乗換拠点として機能します。リニアの開業により、首都圏と中部・関西圏との広域アクセスが劇的に向上し、7千万人規模の大交流都市圏の形成が期待されています。また、既存の東海道新幹線のバイパスとしての役割も担い、災害時の交通確保にも貢献します。


相模原市は「リニアでつながる 一歩先の未来を叶えるまち橋本」を将来像とし、橋本駅南口を中心とした周辺地区の再開発を進行中です。テクノロジーの拠点形成やスマートシティ構想、グリーンライフ推進を柱に、交通・景観・防災・環境に配慮したまちづくりを進めています。民間との連携や市民参加による持続可能なエリアマネジメントも視野に入れています。


リニア中央新幹線は、航空機の約1/3のCO2排出量という環境性能を持ち、地球環境にやさしい交通機関として注目されています。また、非常口の設置やトンネル構造の最適化により、安全性や災害対策も強化。神奈川県駅でも施工中から環境保全措置・モニタリングが行われ、持続可能で安全なインフラ整備が実施されています。


リニア中央新幹線の都市部区間では、住宅地やインフラが密集する地表への影響を最小限に抑えるため、地下深部にシールドトンネル工法が採用されています。この工法では、「シールドマシン」と呼ばれる大型の掘削機械を用い、地中を円筒状に掘り進めながら、トンネルの内壁を同時に構築していきます。
シールドマシンは、直径約14mの巨大な円筒形をしており、先端部には「カッターヘッド」と呼ばれる回転盤が搭載されています。このカッターヘッドには鋭い刃(カッタービット)が放射状に配置されており、日進10m程度のスピードで地盤を掘削します。掘削された土砂はマシン後部へと搬出され、その直後にプレキャストセグメントによってトンネルの壁が組み立てられていきます。
この一連の作業は連続的かつ自動的に行われ、トンネル周囲の地盤を崩すことなく安全に掘進が可能です。また、シールドマシンの外殻は、掘削中の地圧や地下水圧に耐える役割を果たし、トンネル内の安全確保にも貢献しています。

都市部では、約5km間隔で「立坑(非常口)」が設けられており、シールドマシンの組み立てや発進・到達の拠点として使用されます。これらの立坑は営業開始後も、非常時の避難経路、換気設備、保守作業用出入口として機能します。
立坑内部には階段やエレベーターが設置されており、換気用のファンや多孔板などの消音・気圧調整設備も備えられています。これにより、地下トンネル内の快適性・安全性が確保されます。
首都圏の第一首都圏トンネル(全長約37km)では、町田市・世田谷区・大田区・品川駅にかけて、複数の非常口からシールドマシンが矢印の方向に掘削を行っています。各非常口にはシールドマシンの発進・到達が計画されており、都市機能や交通への影響を最小限に抑える慎重な施工が求められています。
最終更新日:2025年6月8日