神奈川県川崎市幸区の「新川崎・創造のもり」において、量子・AI・半導体・Beyond5Gなどの最先端コンピューティングやDX分野の研究開発・社会実装を促進する「新川崎・創造のもりイノベーション拠点整備事業」が進められています。本事業は、次世代技術の実証・産業化を加速させる国家的・都市的プロジェクトとして、研究機関・企業・大学・スタートアップが連携するイノベーションエコシステムの形成を目指すものとされています。
2026年2月には三菱地所を代表企業とするグループが優先交渉権者に決定し、3月31日には川崎市と基本協定を締結しました。提案では、都市型PoCや社会実装の拠点として「(仮称)Quantum Business Incubation Center(QBIC)」を整備し、量子分野を中心に研究開発、実証実験、事業化支援、人材育成を一体的に推進する構想が示されています。2026年8月時点では既存の「K²(ケイスクエア)タウンキャンパス」が活用されており、段階的な移行を経て2027年度以降に建設工事へ着手し、2029年度の開業を目指すものとされています。
新川崎・創造のもりイノベーション拠点整備事業の概要
1.量子・AI・半導体などの最先端技術拠点を形成
量子・AI・半導体・Beyond5Gなどの最先端技術やDX分野の「知」と「人材」を集積するイノベーション拠点の形成
研究開発から実証、社会実装までを一体的に推進する次世代技術の研究開発拠点
2.三菱地所を代表企業とする企業グループが参画
三菱地所を代表企業、東急不動産・プライムライフテクノロジーズを構成員とする企業グループの選定
2026年3月31日の基本協定締結による事業推進体制の確立
3.「QBIC」を中心とした量子イノベーションの推進
「(仮称)Quantum Business Incubation Center(QBIC)」を核とした都市型PoC・社会実装拠点の整備
研究機関・企業・スタートアップなどを結び、研究開発から事業化までを支援する量子共創基盤の構築
4.約5万㎡規模の大規模イノベーション拠点
敷地面積約16,407.60㎡、延床面積約49,999㎡を計画する大規模な施設整備
設計を2026~2027年度、建設工事を2027~2029年度、2029年度の開業を目指す事業スケジュール
5.コワーキングやカフェなど街に開かれた機能
1階へのコワーキングスペース、カフェラウンジ、ジムなどの配置による研究者・企業・市民の交流空間
「さいわいふるさと公園」と連続する広場や展示PRスペースによる開放的なランドスケープ形成
6.研究成果と市民をつなぐ交流・学習機能
研究者との対話や実験体験を通じて、子どもや学生などが科学技術に触れられる体験型学習プログラム
青空マルシェや季節のフェス、アート&ミュージックイベントなどによる地域交流と賑わいの創出
7.国際的な量子イノベーションエコシステムへ
市内の研究開発機関・企業との連携に加え、国内外の量子関連企業や研究機関とのネットワーク形成
新川崎・創造のもりを起点に川崎市全域へ活動を広げ、国際的な量子イノベーション拠点へ発展させる構想

新川崎・創造のもりイノベーション拠点整備事業は、川崎市が2025年3月に策定した「新川崎・創造のもりの機能更新に向けたイノベーション拠点整備基本計画」に基づく大規模な都市機能更新プロジェクトとして位置付けられています。
量子コンピューティング、人工知能(AI)、半導体技術、Beyond5G通信といった最先端コンピューティング分野に加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域における「知」と「人材」を広域的に集積し、研究開発から実証、さらには社会実装に至るまでを一気通貫で推進するイノベーション拠点の形成を目指しています。これにより、国内外の研究者や企業が集う国際的な技術ハブとしての機能強化が期待されています。


2025年9月には公募型プロポーザル方式による事業実施者の募集が行われ、複数の企業グループから提案が提出されました。その結果、厳正な審査を経て、三菱地所を代表企業とし、東急不動産およびプライムライフテクノロジーズを構成員とする企業グループが優先交渉権者として選定されました。
総合評価点は1,000点満点中779.57点と高い評価を獲得しています。その後、2026年3月31日には川崎市と事業実施予定者との間で基本協定が正式に締結され、事業の具体的な推進体制が確立されました。提案された事業スケジュールでは、設計期間を2026~2027年度、建設工事期間を2027~2029年度とし、2029年度中の開業を目標とする段階的な整備計画が示されています。


施設の中核機能として「(仮称)Quantum Business Incubation Center(QBIC)」が整備され、量子技術を中心とした都市型PoCおよび社会実装のための共創拠点としての役割を担います。本拠点では、研究者、企業、スタートアップ、大学関係者など多様なプレイヤーが日常的に交流・協働できる環境を整備し、オープンイノベーションを促進します。

また、PoC段階から事業化に至るまでを一貫して支援するためのアクセラレーション機能や人材育成プログラム、企業間連携の仕組みも構築される予定です。さらに、理化学研究所や産業技術総合研究所などの国内有力研究機関に加え、市内の研究開発拠点や企業との連携を強化し、基礎研究と産業応用をつなぐ中間拠点としての役割を担います。これにより、川崎市全域における産業競争力の向上のみならず、国際的な量子イノベーションエコシステムの形成にも寄与することが期待されています。

本施設は研究開発拠点であると同時に、地域に開かれた交流拠点としての機能も重視されています。1階部分にはコワーキングスペース、カフェラウンジ、フィットネスジムなどの多様な機能が配置され、エントランスホールから直接アクセスできる開放的な構成が計画されています。これにより、研究者や企業関係者だけでなく、地域住民や学生も日常的に利用できる空間が創出されます。

また、建物西側には広場空間が整備され、隣接する「さいわいふるさと公園」との連続性を意識したランドスケープデザインが採用されることで、自然と都市空間が融合した魅力的な環境が形成されます。さらに、研究成果やスタートアップ企業のプロトタイプを展示・発信するPRスペースも設けられ、最先端技術を身近に体感できる「開かれたイノベーション拠点」としての役割が強化されます。

本施設では、研究者との対話や実験体験を通じて科学技術への理解を深める教育プログラムが積極的に展開される予定です。これにより、子どもや学生のみならず、保護者、教員、地域ボランティアなど幅広い層が参加できる学びの機会が創出されます。さらに、広場やカフェラウンジを活用した青空マルシェ、季節ごとのフェスティバル、アート&ミュージックイベントなど、多様な文化・交流イベントの開催も検討されています。
加えて、年1回の大規模イベントとして「オープンラボ・創造のもりフェスティバル」の実施も計画されており、研究機関、大学、企業、スタートアップが一堂に会する場として機能します。これにより、新川崎・創造のもりは単なる研究拠点にとどまらず、市民に開かれた共創・交流のプラットフォームとしてさらなる発展を遂げることが期待されています。


「新川崎・創造のもり」は、川崎市幸区新川崎において、産学官の連携による科学技術・産業の創出を目指して整備されてきた研究開発拠点です。1999年に「新川崎・創造のもり計画」が策定され、2000年の慶應義塾大学「K²(ケイスクエア)タウンキャンパス」を皮切りに、「KBIC本館」「NANOBIC」「AIRBIC」などの研究・産業支援施設が段階的に整備されてきました。

かつては「新鶴見操車場」があった場所で、最盛期には1日約5,000両の貨物列車を扱う物流拠点でしたが、現在は大学・研究機関・企業などが集積する先端技術拠点へと転換しています。2023年には川崎市と慶應義塾が連携・協力協定を締結し、「量子イノベーションパーク」の形成に向けた取組を推進しており、今回のイノベーション拠点整備事業では、これまでの研究開発基盤を生かした次世代技術の研究・実証・社会実装のさらなる強化が期待されています。
出典:川崎市 【報道発表資料】 新川崎・創造のもりイノベーション拠点整備事業の整備・運営事業者の公募・選定結果 -優先交渉権者等を決定しました-
最終更新日:2026年8月18日