リニア岐阜県駅周辺土地区画整理事業は、JR中央本線「美乃坂本」駅に隣接して整備されるリニア中央新幹線「岐阜県」駅を核に、中津川市が進める約21.6haの土地区画整理事業です。2017年に事業認可を受け、中津川市で初となる土地区画整理事業として、駅前広場、幹線道路、区画道路、公園、河川などの都市基盤を一体的に整備し、宅地の利用増進を図ります。総事業費は約91.5億円、施行期間は2017年度から2029年3月31日まで。リニア岐阜県駅を「岐阜県の東の玄関口」と位置付け、濃飛横断自動車道や東濃東部都市間連絡道路などの広域道路網と接続する交通結節点の形成を目指しています。
2026年8月時点では、区域内で造成工事、道路工事、排水路工事などが進められており、広範囲で造成が進む一方、リニア中央新幹線岐阜県駅や濃飛横断自動車道の高架橋も姿を現し始めています。都市計画道路「中洗井線」では舗装整備が進み、一部区間が供用開始されているほか、坂本郵便局も供用を開始しています。駅を中心に交通、商業、観光、交流、自然環境が一体となった新たな都市拠点の形成が進められています。
リニア岐阜県駅周辺土地区画整理事業の概要
1.約21.6haを対象とする大規模な土地区画整理事業
中津川市が施行する約21.63haの土地区画整理事業で、総事業費約91.5億円の大規模事業
2017年の事業認可を経て、2029年3月末までを施行期間とする計画的な都市基盤整備
2.リニア岐阜県駅を核とした新たな都市拠点の形成
リニア岐阜県駅を中心に、交通・商業・観光・交流機能を集積させる「岐阜県の東の玄関口」づくり
JR中央本線美乃坂本駅との連携や広域交通網の整備による東濃地域の新たな交通結節点の形成
3.駅周辺の土地利用と用途地域の計画
駅周辺を近隣商業地域(高度利用)とし、中高層商業施設や宿泊施設などを誘導する土地利用計画
周辺には近隣商業地域や第二種住居地域を配置し、商業・観光・住宅が調和した市街地の形成
4.中央駅前広場・北口駅前広場の整備
駅南側に公共交通を中心とする中央駅前広場、北側に自家用車を中心とする北口駅前広場を整備
バス・タクシーなどの乗り換え機能に加え、イベントや災害時にも活用できる多機能な駅前空間
5.美乃坂本駅との接続と歩行者ネットワークの形成
リニア岐阜県駅とJR美乃坂本駅を自由通路などで結び、鉄道間の乗り換え利便性を高める歩行者動線
「みち広場」などを介して駅前広場や千旦林川をつなぎ、駅周辺を回遊できる歩行者空間の形成
6.濃飛横断自動車道・東濃東部都市間連絡道路の整備
濃飛横断自動車道や東濃東部都市間連絡道路を整備し、リニア駅と中津川市街地・周辺地域を結ぶ広域道路網
中央自動車道や国道19号、恵那・下呂・高山方面などへのアクセスを強化する広域交通ネットワーク
7.千旦林川を生かした親水空間と駅周辺のまちづくり
千旦林川沿いに親水公園や千旦林川テラスなどを整備し、「清流の国ぎふ」を表現する水辺空間
造成・道路・河川・駅関連工事が進むなか、交通と自然、観光・交流を一体化した新たな都市景観の形成

リニア岐阜県駅周辺土地区画整理事業は、中津川市千旦林字坂本、字福田、茄子川字東通、字中通の各一部を対象とする、施行面積約21.63haの土地区画整理事業です。施行者は中津川市で、2017年4月1日に都市計画決定、同年10月17日に事業認可公告が行われました。事業施行期間は2017年10月17日から2029年3月31日までとされ、総事業費は約91.5億円に上ります。


本地区は中津川市西部の坂本地区の中心部に位置し、南側にはJR中央本線美乃坂本駅、周辺には坂本小学校や坂本中学校などが立地しています。事業開始前は農地が約63%を占めるなど、都市的な土地利用が限定的な地域でした。そこにリニア岐阜県駅や幹線道路、駅前広場、区画道路、公園などを計画的に配置することで、駅を中心とした新たな市街地形成を進めているものになります。

土地区画整理では、道路や公園などの公共施設を整備するとともに、地権者の土地を道路に面した利用しやすい形へ再配置する「換地」が行われます。本地区では、リニア駅整備によって生じる生活環境の変化やコミュニティの分断、不整形な残地などの課題にも対応しながら、駅と周辺地域が一体となった都市基盤の整備が進められています。


この事業の大きな目的は、リニア岐阜県駅を中心として、岐阜県東部を代表する新たな交通・交流拠点を形成することです。リニア駅の開業に加えて、濃飛横断自動車道や東濃東部都市間連絡道路、千旦林川の改修などが計画されていることから、これらを個別に整備するのではなく、駅周辺の市街地整備と一体的に進めることで、安全性・利便性の高いまちづくりが目指されています。

リニア岐阜県駅は、中津川市だけでなく、恵那市や東濃地域、さらに飛騨・下呂・木曽方面など広域からの利用が想定される交通結節点です。計画では、リニアとJR中央本線との乗り継ぎに加え、路線バス、高速バス、タクシー、レンタカー、観光バスなどの交通機能を充実させ、産業・観光などの面でも広域的な交流を生み出す拠点とする考えが示されています。
また、駅周辺では単なる「乗り換えのための駅前」ではなく、恵那山を望む景観や千旦林川の自然環境、中山道など周辺地域の観光資源とのつながりも重視されています。交通機能、商業・サービス、観光、交流、居住など複数の機能を組み合わせることで、リニア開業を契機とした新たな地域の拠点形成が期待されます。


リニア岐阜県駅周辺では、駅を中心とした土地利用の高度化と、周辺の住宅地との調和を図る用途地域計画が示されています。用途地域計画図では、駅周辺の中心部に「近隣商業地域(高度利用)」、その周辺に「近隣商業地域」、さらに外側の住宅地などに「第二種住居地域」が配置されています。
駅に近い「近隣商業地域(高度利用)」では、土地の高度利用を許容し、中高層の商業施設や宿泊施設などを立地させることで、コンパクトで賑わいのある街並みを形成することが想定されています。一方、近隣商業地域では、自動車交通に対応した商業・サービス施設に加え、駅から恵那山を望む眺望を生かした観光・交流機能の導入が想定されています。

さらに第二種住居地域では、戸建て住宅を基本としながら、周辺住民の日常生活に必要な小規模店舗や事務所なども立地できる、多様性のある生活環境の形成が目指されています。つまり、駅前に都市機能を集約しつつ、その外側では既存の住宅地や地域住民の生活環境にも配慮する、段階的な土地利用が計画されているといえます。なお、用途地域や施設配置については、計画時から変更される可能性があります。


リニア岐阜県駅の駅前空間では、リニア中央新幹線岐阜県駅の南側、美乃坂本駅との間に「中央駅前広場」、リニア中央新幹線岐阜県駅北側に「北口駅前広場」を配置し、それぞれ異なる交通機能を担わせる計画となっています。中央駅前広場はバスやタクシーなど公共交通を中心とした乗り換え拠点、北口駅前広場は自家用車を中心とした交通空間として整備する方針です。

中央駅前広場については、景観や周辺の自然環境に配慮してコンパクトな駅前広場としながら、必要な交通機能を確保する考えが示されています。バス・タクシーへの乗り換えをスムーズにするためのバリアフリー化や、観光バスの利用にも配慮した配置が検討されており、広域交通拠点としての役割が重視されています。
また、駅前広場は交通だけのための空間ではなく、イベント開催や災害時の一時避難場所としても活用できる多機能な広場が想定されています。さらに、恵那山への眺望を生かした空間づくりも計画されており、駅を降りた瞬間から岐阜・東濃らしい自然景観を感じられる玄関口の形成を目指しているものとされています。


リニア岐阜県駅周辺整備では、新設されるリニア駅だけでなく、既存のJR中央本線美乃坂本駅との連携も重要なテーマとなっています。リニア岐阜県駅と美乃坂本駅を徒歩動線でつなぐことで、リニアと在来線を円滑に乗り換えられる交通結節点を形成するとともに、駅周辺を歩いて回遊できる都市空間をつくる計画です。
駅周辺のデザインでは、「自由通路」や「みち広場」といった歩行者空間が計画されており、リニア中央新幹線、JR中央本線、千旦林川、南北方向の道路などを相互につなぐ役割を担います。特に、複数の「道」が交わる場所を「辻」と捉え、そこに人々が滞在したり交流したりできる広場を配置する考え方が示されています。
このように、駅と駅を単純に結ぶだけではなく、商業施設や観光施設、広場、河川空間などを歩行者ネットワークでつなぐことで、駅前を目的地として楽しめるエリアへと発展させることが期待されています。駅周辺を訪れた人が公共交通から徒歩へ自然に移行し、周辺施設や千旦林川沿いを回遊できる構成が特徴です。

リニア岐阜県駅の整備効果を中津川市内だけにとどめず、東濃地域全体へ波及させるため、周辺では広域道路網の整備も進められています。特に重要となるのが「濃飛横断自動車道」と「東濃東部都市間連絡道路」です。これらの道路によって、リニア駅と中津川市街地、中央自動車道、国道19号、さらに恵那・下呂・高山方面などとの広域的なアクセス向上が期待されています。


東濃東部都市間連絡道路は、中津川市中心部と恵那市中心部を結び、濃飛横断自動車道にも接続する新たな幹線道路として整備が進められています。リニア岐阜県駅周辺の土地区画整理区域内にも工区が設定されており、駅を中心とした道路ネットワークの強化に大きく関係する事業となっています。
さらに濃飛横断自動車道の中津川工区では、リニア岐阜県駅周辺から中央自動車道方面、国道19号方面などへのアクセスを強化する道路整備が計画されています。これにより、自動車による広域アクセスと鉄道による高速移動を組み合わせた交通拠点として、リニア駅周辺のポテンシャルを高めることが期待されています。


リニア駅周辺のまちづくりでは、交通インフラだけでなく、地区を流れる千旦林川の自然環境を生かした「かわまちづくり」も大きな特徴となっています。「かわまちづくり」は、河川空間とまち空間を融合させ、地域活性化や観光振興、賑わいの創出につなげる取り組みです。

計画では、千旦林川沿いに親水公園や「千旦林川テラス」などを整備し、水辺を身近に感じられる空間を形成する考えが示されています。さらに、恵那山を望む景観と河川の自然環境を組み合わせ、「清流の国ぎふ」を象徴する駅周辺の景観づくりを目指しています。駅前広場と千旦林川沿いの親水空間を歩行者動線でつなぐことで、交通拠点と自然環境を一体化させる構成です。


また、河川沿いの空間は単なる公園として整備するのではなく、イベントなどの活動を受け止める場所としての活用も想定されています。リニア駅から人が訪れ、駅前広場を経由して千旦林川沿いへ歩き、自然や景観を楽しめるような回遊ルートを形成することで、駅前の賑わいを周辺地域へ広げることが期待されています。

2026年現在、リニア岐阜県駅周辺では、将来の駅開業と市街地形成に向けた基盤整備が具体的な工事段階へと進んでいます。土地区画整理区域では造成工事をはじめ、道路や排水施設などの整備が進められており、これまで農地が広がっていた場所で大規模な土地造成が進行しています。
また、周辺では濃飛横断自動車道や東濃東部都市間連絡道路などの道路整備も進み、リニア駅周辺の交通インフラが徐々に姿を現しています。リニア駅本体についても高架構造の整備が進むことで、駅周辺のまちづくりと鉄道施設の工事が並行して進む段階に入っています。
中津川市のデザインブックでは、今回の整備を「街道と清流の行き交う場所―人と暮らしと豊かな自然を結ぶ―」という考え方のもとで整理しており、駅前広場、自由通路、みち広場、千旦林川親水公園、リニア高架下などを組み合わせた将来像が描かれています。今後は、造成された土地への道路・公園などの整備が進むとともに、駅周辺の商業・サービス、観光・交流、宿泊などの都市機能がどのように導入されていくかが注目されます。


「リニア岐阜県駅周辺土地区画整理事業」は、約21.6haという広大なエリアを舞台に、リニア岐阜県駅を中心とした新たな都市拠点を形成する中津川市の大規模なまちづくり事業です。中央駅前広場や北口駅前広場、自由通路、みち広場、千旦林川親水公園などの整備に加え、濃飛横断自動車道や東濃東部都市間連絡道路といった広域道路網も整備され、鉄道・道路・河川・市街地が一体となった新たな交通・交流拠点の形成が進められています。
特に、駅前の商業・交流機能だけでなく、恵那山の眺望や千旦林川の自然を生かした景観形成、既存の美乃坂本駅との連携など、「交通のための駅」から「地域の新たな玄関口」へと発展させる点が大きな特徴です。今後、造成工事から道路・駅前広場・公園などの整備へと工事が進展することで、リニア岐阜県駅を中心とした新しい中津川の都市景観が徐々に姿を現していくことになります。
過去の記事
→2022年7月19日投稿 リニア岐阜県駅周辺土地区画整理事業
出典
・中津川市 リニア岐阜県駅周辺土地区画整理事業の概要
・中津川市 東濃東部都市間連絡道路
・中津川市 リニアのまちづくりビジョン
・中津川市 かわまちづくり計画
・中津川市 美乃坂本駅周辺バリアフリー基本構想
・中津川市 リニア岐阜県駅周辺エリアデザイン指針(デザインブック)案の意見募集(第1回)の結果
最終更新日:2026年9月7日