2026年、名古屋市のパロマ瑞穂スポーツパークが大規模な再整備を経て、新たな公園・競技場として生まれ変わります。アジア競技大会やアジアパラ競技大会の舞台として注目を集める本プロジェクトは、「LifeSports – Our Own Park」をコンセプトに、年齢や障がいの有無を問わず、すべての人が自由にスポーツとふれあえる、誰にでも開かれた施設を目指しています。
観戦や競技といった従来のスタイルだけでなく、「遊ぶ」「リフレッシュする」といった日常的な利用も視野に入れ、スポーツと暮らしが自然につながる公園として再構築されます。公園内では心と体に活力や癒しをもたらす多彩な場が広がり、地域の人々の日常に寄り添いながら、まち全体に元気をもたらす拠点としての役割を果たします。
→株式会社瑞穂LOOP-PFI パロマ瑞穂スポーツパーク 公式サイト
→名古屋市 瑞穂公園陸上競技場整備等事業の概要説明について
パロマ瑞穂スポーツパーク 再整備計画の概要
- 新陸上競技場の整備
地域景観と調和したデザインが特徴。約30,000席の観客席を設置し、競技場の規模を拡大。
新たなスポーツの拠点として、地域活性化に貢献。 - 市民参加型の公園整備
多世代が楽しめるスポーツ施設を整備。市民の意見を反映させた設計で、地域に密着した施設に。誰もが使いやすく、親しみやすい公園の実現。 - アクセスの便利さと日常利用の確保
駅から徒歩圏内での便利なアクセス。周辺道路や交通導線を改善し、移動のスムーズさを確保。
スポーツだけでなく日常利用もしやすい施設設計。 - LifeSportsコンセプト
誰もが自由にスポーツを楽しめる施設の提供。年齢やスキルに関係なく、誰でも利用可能。
スポーツを通じて健康で活力のある生活を支援。 - 地域のランドマークとしての役割
名古屋市の象徴となる新しい競技場。地域の活性化を図り、観光やイベントの誘致にも貢献。
市民と観光客が一体となって楽しめるスポットに。 - バリアフリー設計と多世代対応
すべての人が利用しやすい設計が特徴。高齢者や障がい者にも配慮したアクセスの確保。
多世代に対応した施設で、誰もが安心して楽しめる環境。 - 環境への配慮と持続可能な設計
自然環境と調和した施設デザイン。エネルギー効率や資源の利用に配慮した設計。
持続可能な開発目標を意識した設計方針を採用。

新しく建て替えられる陸上競技場は、都市景観と自然環境に配慮したデザインが特徴です。「空」「森」「大地」をモチーフにした外観は、周囲の住宅地や公園の風景と溶け合い、地域の新たなランドマークとなります。「雲」を想起させる大屋根、「木立」に溶け込む森のような外装、そして公園とつながる段丘状の「大地」のデッキが一体となり、機能性と美しさを兼ね備えた空間を創出します。観客席は約3万人を収容可能で、大会開催時の熱狂を支えるとともに、平常時は市民に開放された憩いと運動の場となります。


施設の概要としては、鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造で、観客席は約30,000席の収容が可能です。建築面積は31,493.64㎡*、延床面積は61,690.86㎡*、高さは30.694m*の設計となり、地上6階*の建物が構築されます。設計期間は2021年11月から2023年3月、建設期間は2023年4月から2026年3月の予定です。 *現地標識より

スポーツパーク全体を貫く「8の字ループ」は、競技場3階のコンコースとレクリエーション広場の外周デッキをなだらかにつなぐ回遊動線です。このループ構造により、公園内の各エリアがシームレスにつながり、訪れる人々の動きがスムーズになります。整備されるのは、地域の声を反映して再構成される3つの児童園、日常的な運動に使えるレクリエーション広場、にぎわいの丘、アーバンスポーツエリア、そして多目的に活用可能な宿泊研修棟です。設計から運営に至るまで市民参加を重視し、利用者が「主役」として公園づくりに関われる点が特徴です。
この整備には広場、園路、植栽、休憩施設、遊戯施設、道路の整備(特に陸上競技場東側)の計画が含まれ、2021年11月から2023年3月までの設計を経て、2023年4月から2025年9月までの建設が予定されています。

来園者の快適な動線確保にも重点が置かれています。複数の最寄駅からのアクセスが丁寧に計画され、大規模イベント時にも混雑を回避できる仕組みが取り入れられています。瑞穂運動場西駅からは山崎川沿いを通って8の字ループに入り、瑞穂運動場東駅からは東小公園を経由した南東デッキの緩やかなスロープが設けられています。また、新瑞橋駅からは南連絡橋を経由して会場入りが可能です。すべてのゲートには案内インフォメーションが配置され、来場者のスムーズな移動をサポートします。


本プロジェクトの中心にあるのが、「スポーツをもっと自由に、楽しく、みんなのものに」という思いです。観戦や競技だけでなく、誰もが自分のスタイルで身体を動かせる場を提供しようという理念のもと、スポーツを日常に取り戻すための空間設計がなされています。公園と暮らし、スポーツとリフレッシュが自然に循環する——そんな「ライフスポーツ」の新しい形がここから始まります。

新競技場は名古屋市の新たな象徴として、地域の風景に溶け込むと同時に、新たな文化・交流の拠点となることが期待されています。外観デザインは周辺環境と一体となりつつも独自性を持ち、地域住民にとって誇りとなる存在へと育っていくでしょう。

誰もが利用しやすい施設を目指し、バリアフリー設計が徹底されています。高齢者や障がい者、子育て世代にとっても安心して過ごせるよう、スロープや多目的トイレ、休憩スペースが整備されます。また、子どもたちの創造力を育む遊具スペースも備えられ、世代を超えた交流が自然に生まれるような空間づくりが進められています。

「空」「森」「大地」のコンセプトは、単なるデザインにとどまらず、環境配慮の思想も内包しています。緑豊かな空間構成や通風・採光への配慮により、都市の中で自然と調和したサステナブルな公園が実現されます。四季の移ろいを感じながら過ごせる緑陰広場や、自然と一体になれるデッキ構造は、人と自然の共生を象徴する存在となるでしょう。
この公園は一方的に「完成」されるものではなく、地域の人々とともに「育てていく」ものとして構想されています。設計段階から地域の声を取り入れ、運営開始後も利用者の意見を随時反映していく仕組みを構築。地域イベントの開催、学校や団体との連携、ボランティア活動の場としても活用され、市民とともに成長する場としての価値が追求されています。


パロマ瑞穂スポーツパークは、2026年に開催されるアジア競技大会およびアジアパラ競技大会のメイン会場として、重要な役割を果たします。大会期間中、陸上競技場やその他の施設は国際的なトップアスリートの舞台となり、競技、開閉会式を含むさまざまなイベントが行われます。特に、陸上競技やバスケットボール、サッカーなどが行われ、観客や選手にとって最高の競技環境が提供されます。
また、パロマ瑞穂スポーツパークは、バリアフリー設計が徹底されており、アジアパラ競技大会でも障がい者アスリートたちに最適な競技環境を提供します。大会後も、施設は地域のスポーツ活動や市民イベントに活用され、名古屋市のスポーツ文化の発展に寄与することとなるでしょう。
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最終更新日:2025年5月21日