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肥後大津駅と阿蘇くまもと空港を結ぶ「阿蘇くまもと空港アクセス鉄道」整備の鉄道ルートの絞り込み結果を公表!!

熊本県が検討を進めている「阿蘇くまもと空港アクセス鉄道」整備について、2025年6月、整備予定ルートのさらなる詳細が明らかになりました。県は、肥後大津駅から空港に向かうルートの幅を、これまでの約1.5kmから約500mにまで絞り込み、将来的な鉄道整備に向けて大きく前進しています。

阿蘇くまもと空港(熊本空港)へのアクセスは、現在もバスやタクシーといった自動車交通に依存しており、朝夕のラッシュ時には渋滞によって定時性が確保されない問題が指摘されています。空港コンセッションによる新ターミナル整備やインバウンドの回復、さらに半導体大手TSMCの進出などを背景に、今後利用者数の急増が予想されており、効率的で信頼性の高いアクセス手段の確保が急務となっています。

肥後大津ルートは、空港と豊肥本線を直結できる唯一のルートであり、費用対効果や直通運行のしやすさ、沿線の産業・観光資源との連携可能性などから、最も有効な選択肢として評価されています。今回の絞り込み結果を受け、熊本県は今後、概算事業費や収支採算性などの精緻な再分析を行い、2034年度末の開業を目指します。

→熊本県 阿蘇くまもと空港アクセス鉄道整備調査における鉄道ルートの絞り込み結果について

阿蘇くまもと空港アクセス鉄道の概要
  1. 事業の目的と背景
    熊本空港への交通手段の課題(渋滞・定時性欠如)を解決し、TSMC進出やインバウンド増加に対応するため、定時・速達・大量輸送を兼ね備えた空港アクセス鉄道が必要とされています。
  2. 整備ルートの絞り込み
    肥後大津駅から阿蘇くまもと空港までのルートを、従来の1.5km幅から約500mにまで絞り込み、環境負荷とコストの軽減を実現。全長約6.8kmの路線として計画されています。
  3. 構造形式とルート設計
    地上・盛土・高架橋・トンネルを組み合わせた構造で、国道や高台地形を回避しながら効率的に空港まで接続するルート設計が採用されています。
  4. 中間駅の検討と地域活性化
    沿線中間部に駅を新設する案があり、周辺における宅地・商業開発と連動した「まちづくり」計画も進行。行き違い設備を整え、利便性と将来拡張性を確保します。
  5. 空港駅の位置と利便性確保
    空港ターミナル直結ではなく南側地上に駅を設置予定。徒歩デッキやバス連絡などでスムーズな接続を図り、将来的な周辺開発と両立できる構成です。
  6. 今後のスケジュールと課題
    概算事業費・B/C分析(費用便益比)・JR九州や国との連携調整を経て、2034年度末の開業を目指す方針です。
  7. 地域・国家的意義
    この鉄道は熊本県だけでなく、九州全体の産業振興やインフラ整備に寄与する重要プロジェクトであり、「新生シリコンアイランド九州」構想の支援基盤ともなります。

出典:熊本県

阿蘇くまもと空港アクセス鉄道の調査は、空港への定時性・速達性に優れた交通手段の確保を目的としています。これまで空港アクセスはほぼすべてが道路交通に依存しており、特に朝夕の混雑時間帯には大幅な遅延リスクが常態化していました。これにより、利用者の不安や利便性の低下が問題視されてきました。

一方、今後は国際線の路線増加やTSMCを中心とした半導体関連産業の集積が進むことで、ビジネス・観光双方において空港利用者の大幅な増加が見込まれます。こうした状況を受け、空港アクセス鉄道は、「定時性」「大量輸送性」「速達性」を同時に実現し、熊本市内と空港を安定的に結ぶ交通インフラとして、その必要性がますます高まっているのです。

また、空港アクセス鉄道は、九州全体の半導体サプライチェーン強化にも貢献し、国家プロジェクトとして位置付けられる「新生シリコンアイランド九州」構想の成功にも寄与すると位置づけられています。

出典:熊本県

今回絞り込まれた整備ルートは、肥後大津駅から阿蘇くまもと空港までの全長約6.8km。線形の見直しにより、これまで想定されていたルート幅約1.5kmを大幅に圧縮し、約500mにまで縮小しました。これにより、用地取得や沿線環境への影響が最小限に抑えられるとともに、事業費の圧縮にもつながります。

構造形式は地上、盛土、高架橋、トンネルを組み合わせた方式となっており、肥後大津駅を出た列車は、地上から緩やかに上昇しながらカーブを描き、盛土、高架橋へと移行。国道57号線を越えた後は、高遊原台地を高架で進み、空港手前でトンネルに入り、空港南側の地上部へと至る設計です。設計にあたっては、大型商業施設やインフラなどを極力回避し、コストと工期への影響を抑えながら、周辺施設への影響を最小限にとどめるよう工夫が施されています。

熊本県および大津町では、ルートの途中に「中間駅」を設ける案を検討しています。これは、将来的な沿線地域の利便性向上と、新たなまちづくりの起点としての機能を狙ったものであり、駅周辺には商業施設や宅地開発の構想も進行中です。

中間部では、高架橋で高遊原台地に到達したのち、トンネル構造に移行。将来的な列車のすれ違いを可能にするための行き違い設備も整備予定です。これにより、単線でありながらも速達性の確保が可能となり、ダイヤ設定の柔軟性が高まります。

さらに、この中間駅が整備されることで、周辺地域に新たな雇用や居住機会が創出され、地域活性化の起爆剤となることが期待されています。また、大津町では、中間駅周辺において、民間事業者による宅地や商業施設の開発を誘導するとともに、道路などのインフラ整備を進める計画も検討されています。

空港駅は、旅客利便性の最大化を重視し、空港ターミナル直結ではなく、あえて空港南側の地上に整備する方針です。これにより、駅を中心とした地域全体の開発ポテンシャルを広げ、将来的な拡張にも柔軟に対応できる設計となっています。

駅ホームと空港ターミナルの連携については、バス連絡や歩行者デッキなどを活用したスムーズなアクセスが計画されており、空港管理者との調整を経て今後具体化されていきます。

この駅の整備により、熊本市中心部から空港へのアクセス時間が約20〜40分短縮され、熊本駅からの移動が格段に便利になります。また、南阿蘇鉄道の肥後大津駅への乗り入れ構想とも連携が可能で、阿蘇地域への広域観光アクセス向上にも寄与します。熊本県は今後、鉄道整備の詳細な費用試算、採算性分析(B/C)、国やJR九州との役割分担に関する協議などを進め、2034年度末の開業に向けて、着実に準備を進めていく方針です。

*熊本の発展を喜ぶ、くまモン

最終更新日:2025年6月20日

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