東京都は2026年7月22日、東急電鉄東急多摩川線および新空港線(蒲蒲線)の都市計画素案を公表しました。計画では、東急多摩川線矢口渡駅付近から同線を地下化し、JR・東急蒲田駅地下、京急蒲田駅地下を経由する延長約2.0kmの区間について、新たに都市高速鉄道として都市計画決定を行う方針です。
新空港線は、約800m離れて立地する蒲田駅と京急蒲田駅を鉄道で結ぶ「ミッシングリンク」を解消するとともに、羽田空港と渋谷・新宿・池袋方面を結ぶ広域鉄道ネットワークを形成する重要なプロジェクトです。また、鉄道整備に合わせて蒲田駅周辺の再編や沿線まちづくりも進められることから、大田区の都市構造を大きく変える事業として期待されています。今後は都市計画決定や環境影響評価などの手続きを経て、2038~2042年頃の開業を目指すものとしています。
東急多摩川線・新空港線の概要
1.都市計画素案を公表し計画が新たな段階へ
東京都が東急多摩川線・新空港線の都市計画素案を公表。
都市計画決定や環境影響評価に向けた本格的な手続きの開始。
2.蒲田駅と京急蒲田駅を地下鉄道で直結
約800m離れた両駅を地下鉄道で結び、ミッシングリンクを解消。
東西交通の利便性向上とバリアフリー化の実現。
3.羽田空港と都心を結ぶ広域鉄道ネットワーク形成
東急東横線方面との相互直通運転を見据えた新路線を整備。
羽田空港アクセス強化と東京圏の国際競争力向上への寄与。
4.約2.0km区間で地下化と新駅を整備
東急多摩川線の地下化と蒲田駅・蒲田新駅(仮称)を新設。
連絡線や留置施設を含めた大規模な鉄道インフラ整備。
5.蒲田駅周辺と沿線地域のまちづくりを推進
鉄道整備を契機に駅前再編や市街地更新を一体的に推進。
商業・業務・交流機能の充実による地域価値の向上。
6.交通ネットワークの強靱化と防災性向上
輸送障害時の代替ルート確保により交通の信頼性が向上。
災害対応力や都市交通ネットワークの強化。
7.2038~2042年頃の開業を目指す長期プロジェクト
2025年10月から2042年3月までの事業期間。
首都圏の交通体系と蒲田の都市構造を刷新する大型プロジェクト。

東京都は、東急多摩川線および新空港線を都市高速鉄道として位置付ける都市計画素案を公表しました。今回の対象区間は、矢口渡駅付近から京急蒲田駅付近までの約2.0kmで、このうち実際に工事が行われる事業区間は約1.7kmとなります。
これまで構想や事業計画の段階で進められてきた新空港線ですが、都市計画素案の公表によって事業は新たな段階へ移行しました。今後は住民説明会や意見募集、都市計画案の作成、環境影響評価、都市計画審議会などを経て都市計画決定が行われ、その後、用地取得や工事説明会などを経て着工へ進む予定となっています。


新空港線最大の役割は、徒歩やバスによる移動が中心となっているJR・東急蒲田駅と京急蒲田駅の約800mの「ミッシングリンク」を解消することです。現在は両駅間の乗り換えに時間を要することが、羽田空港利用者や地域住民にとって大きな課題となっています。
新空港線の整備によって地下鉄道で両駅が直接結ばれ、天候に左右されないバリアフリーかつシームレスな移動環境が実現します。また、大田区内の東西方向の移動利便性も飛躍的に向上し、地域交通の利便性改善に大きく貢献することが期待されています。


新空港線は東急東横線や東京メトロ副都心線方面との相互直通運転を見据えた計画となっており、羽田空港と首都圏北西部を結ぶ新たな広域鉄道ネットワークの形成が期待されています。
東急東横線の列車が蒲田方面へ乗り入れることで、渋谷・新宿・池袋方面から蒲田や羽田空港方面へのアクセスが大幅に向上します。また、多摩川線沿線から都心部への移動も乗り換え回数が減少し、利便性が向上します。国際空港である羽田空港と都心・副都心を直結することで、東京圏全体の国際競争力向上や都市機能強化にも大きく寄与する路線として位置付けられています。


計画では、矢口渡駅付近から東急多摩川線を地下化し、地下に蒲田駅および蒲田新駅(仮称)の2駅を整備します。都市計画区間は約2.0kmで、東急多摩川線区間約1,210m、新空港線区間約760mから構成されます。
地下化により踏切の解消や道路機能の改善も図られるほか、東急多摩川線と池上線を結ぶ連絡線や車両留置施設などもあわせて整備される予定です。さらに、開削工法とシールド工法を組み合わせることで、市街地への影響を抑えながら地下鉄道を建設する計画となっており、都市部ならではの高度な鉄道整備が進められます。

新空港線は交通インフラ整備だけでなく、蒲田駅周辺や沿線地域の再編・再開発を促進する重要な役割も担います。鉄道整備を契機として老朽化した駅前市街地の更新や駅前空間の再整備が進み、新たな利用者や来街者の増加による地域価値向上が期待されています。また、商業施設や業務施設、交流拠点などの整備が進むことで、沿線地域全体の活性化にもつながります。鉄道整備と都市再編を一体的に進めることで、蒲田はより魅力的でにぎわいのある都市拠点へと進化していくことが期待されています。


新空港線の整備により、京急線や東京モノレールなどで輸送障害が発生した際にも代替経路として利用できるようになり、羽田空港へのアクセスの信頼性が大きく向上します。複数の鉄道路線が相互に接続されることで、災害時や事故発生時でも移動ルートを確保しやすくなり、都市交通ネットワーク全体の強靱化につながります。また、日常的な混雑緩和や輸送力向上にも寄与し、首都圏の重要な交通インフラとしての役割がさらに高まることが期待されています。


新空港線構想は1980年代の大田区基本構想までさかのぼる長年の計画であり、交通政策審議会答申第198号でも国際競争力を強化する重要路線として位置付けられてきました。
2022年には整備主体となる羽田エアポートライン株式会社が設立され、2025年には速達性向上計画が国から認定されるなど、事業化に向けた環境が整備されています。今回の都市計画素案公表は、構想段階から都市計画決定へ向かう大きな節目となるものであり、今後は都市計画決定や環境影響評価、用地取得などを経て、2038~2042年頃の開業を目標に事業が本格的に進められる予定です。
出典
・大田区 都市高速鉄道東急電鉄東急多摩川線及び新空港線 都市計画素案説明会
・東京都 現在手続き中の主な都市施設(道路、鉄道等)のパンフレット等の紹介について
過去の記事
→2025年12月16日投稿 遂に事業化が決定した東急多摩川線矢口渡駅・蒲田駅間~京急蒲田駅付近を結ぶ「新空港線(蒲蒲線)」!!蒲田駅周辺では自由通路や広場整備などの「蒲田駅周辺再編プロジェクト」も!!
→2025年8月4日投稿 羽田エアポートラインと東急電鉄が「新空港線整備」に向けた速達性向上計画の認定を申請!!令和20年代前半に京急蒲田と蒲田を結び、東急多摩川線に直通運転へ!!
最終更新日:2026年7月22日