福岡市地下鉄七隈線では、2023年3月の天神南駅~博多駅間延伸開業を契機に利用者が大幅に増加しており、朝ラッシュ時を中心とした混雑が課題となっています。こうした状況を受け、福岡市は現在の4両編成から6両編成へ車両を増強し、2030年度からの順次運行開始を目指す方針を明らかにしました。
2027年度から車両仕様の検討や駅施設の拡張に向けた設計・工事などに着手する見込みで、事業費は約360億円とされています。さらに、橋本駅~姪浜駅間や博多駅~福岡空港国際線ターミナル間への延伸も検討されており、輸送力の強化とネットワーク拡充を通じて、福岡市西南部から都心、空港方面までを結ぶ交通基盤のさらなる強化が期待されます。
福岡市地下鉄七隈線6両編成化の概要
1.七隈線が4両編成から6両編成へ
現在の4両編成から6両編成へ増強し、2030年度からの順次運行開始を目指す計画
2027年度から車両仕様の検討や駅施設の設計・工事に着手し、事業費約360億円を投入
2.博多駅延伸で大幅に増加した利用者数
2023年3月の天神南駅~博多駅間延伸開業を契機に、七隈線の利用者数が急増
2022年度の約8.0万人から2024年度には約14.5万人へ増加し、約1.8倍となった輸送実績
3.混雑率130%となった朝ラッシュ時の七隈線
2025年度には薬院駅→渡辺通駅間で混雑率130%を記録し、朝ラッシュ時の混雑が顕在化
増便に加えて6両編成化を進め、列車1編成あたりの輸送力を約1.5倍にする輸送力強化
4.1編成あたり約570人へ増加する輸送力
6両編成化により、現在約380人の1編成あたり定員を約570人へ増加させる計画
車両本数の増加だけに頼らず、車両大型化によって混雑緩和を図る抜本的な対策
5.橋本駅~姪浜駅間への延伸構想
橋本駅から姪浜駅方面への延伸により、七隈線と空港線を接続する新たな鉄道ネットワーク構想
福岡市西南部から西区方面へのアクセス向上や沿線のさらなる発展につながる可能性
6.博多駅~福岡空港国際線ターミナル間への延伸構想
博多駅から筑紫通り・きよみ通り方面を経由し、福岡空港国際線ターミナルを結ぶ延伸構想
中間駅の設置なども想定され、博多駅と国際線ターミナルを直接結ぶ新たなアクセス軸
7.6両化・延伸・駅周辺まちづくりが進展
駅周辺ではバス、自転車、自動車との連携強化や土地区画整理など、交通結節機能の向上
「車両の6両化」「路線延伸」「駅周辺のまちづくり」が一体となった都市交通ネットワークの強化

福岡市地下鉄七隈線は、橋本駅~博多駅間13.6kmを結ぶ全18駅の地下鉄路線です。2005年2月3日に橋本駅~天神南駅間が開業し、2023年3月27日には天神南駅~博多駅間が延伸開業しました。
現在は4両編成で運行されていますが、福岡市は混雑緩和策として6両編成化を進め、2030年度からの順次運行開始を目指しています。2027年度にも2両を追加するための車両仕様の検討や、6両編成に対応するための駅施設の設計・工事などに着手する見込みです。
6両編成化に伴い、1編成あたりの定員は現在の約380人から約570人へ増加する見込みで、単純比較では約1.5倍の輸送力となります。事業費は約360億円が見込まれています。

七隈線では、2023年3月の天神南駅~博多駅間延伸によって利用者が大幅に増加しました。輸送実績を見ると、2022年度の輸送実績は80,095人だったのに対し、延伸開業後の2023年度は126,202人、2024年度は145,487人まで増加しています。2024年度は2022年度と比較して約1.8倍となっており、博多駅までの延伸が七隈線の利用動向を大きく変えたことが分かります。
さらに、2025年度9月末時点では1日あたりの平均利用者数が約15万8,000人に達しているともされており、利用者の増加が続いています。福岡市交通局ではこれまで増便などの対策を実施してきましたが、今後も利用者が増加することを見据え、車両そのものの大型化による輸送力強化が必要となっています。

七隈線の平日朝の通勤通学ラッシュ時間帯の混雑状況も、6両編成化を進める大きな要因となっています。国土交通省が公表した混雑率によると、2025年度の七隈線は薬院駅→渡辺通駅間で8時00分~8時59分に混雑率130%を記録しています。4両編成18本による輸送力6,876人に対し、輸送人員は8,949人となっています。
過去と比較すると、2017年度には桜坂駅→薬院大通駅間で混雑率115%、2020年度には102%、2022年度には113.3%となっており、博多駅延伸後に混雑が再び深刻化している状況です。
現在は朝ラッシュ時に増便するなどの対策が行われていますが、6両編成化によって1編成あたりの輸送力を約380人から約570人へ増やすことで、列車本数の増加だけに頼らない抜本的な輸送力強化が図られることになります。

福岡市では、七隈線の輸送力増強だけでなく、さらなるネットワーク拡充についても検討を進めています。一つが橋本駅~姪浜駅間への延伸です。現在、橋本駅から姪浜駅方面へは地下鉄による直接的な接続がなく、この区間が整備されれば、七隈線と空港線が姪浜駅で接続することになります。福岡市西南部から西区方面への新たな鉄道ネットワーク形成につながる可能性があります。
もう一つが博多駅~福岡空港国際線ターミナル間への延伸です。筑紫通りやきよみ通りを経由し、中間駅を設置するルートなどが想定されており、実現すれば博多駅と福岡空港国際線ターミナルを直接結ぶ新たな鉄道アクセスが形成されます。いずれも現時点では延伸を決定したものではなく、今後の検討が注目される構想となっています。

七隈線の機能強化に合わせて、沿線では駅を中心としたまちづくりも進められています。駅周辺では、バス停との連携や自転車駐車場、パークアンドライドなどの整備を進め、地下鉄とバス、自転車、自動車をつなぐ交通結節機能の強化が図られています。また、橋本駅周辺では土地区画整理事業などによる面的なまちづくりも進められています。
今後、6両編成化による輸送力の増強に加え、橋本駅~姪浜駅間や博多駅~福岡空港国際線ターミナル間への延伸が実現すれば、七隈線は現在以上に福岡市の都市交通を支える重要な路線となります。「車両の6両化」「路線延伸」「駅周辺のまちづくり」が一体的に進むことで、沿線の人流や都市機能も大きく変化していくことになりそうです。
最終更新日:2026年9月2日