愛媛県松山市の玄関口である松山駅周辺では、鉄道高架化と一体となった「松山駅周辺土地区画整理事業」と、国のバスタプロジェクトを活用した交通結節点整備が進められています。約16.7ヘクタールを対象とする土地区画整理事業では、東西に分断されていた市街地の一体化と都市基盤の再構築を図り、駅前広場や幹線道路、公園などを整備するものとされています。
これに加え、2025年4月にはバスタプロジェクトが「事業計画の検討」段階へ格上げされ、駅前に新たなバスターミナルを整備する構想が本格化しました。交通・交流・防災の機能を兼ね備えた次世代型の交通拠点として、四国の玄関口にふさわしい駅まち空間の形成が目指されています。
松山駅周辺土地区画整理事業・松山駅周辺交通結節点整備の概要
1.松山駅周辺整備の全体像
松山駅周辺で進む鉄道高架化と土地区画整理事業、バスタプロジェクトを一体化した都市再編
四国の玄関口にふさわしい次世代型交通結節点の形成
2.土地区画整理事業の規模と内容
約16.7ヘクタール・総事業費約289億円に及ぶ都市基盤再構築事業
幹線道路や特殊街路、公園整備による骨格的都市インフラの整備
3.東西分断の解消と都心再生
JR予讃線により分断されてきた市街地構造の再編
交通円滑化と都心居住環境向上を図る中心市街地活性化施策
4.駅前広場と道路ネットワークの再構築
東西両駅前広場の再編と交通施設集約による利便性向上
生活道路整備と公園配置による歩いて暮らせる都市構造の形成
5.バスターミナル整備構想の本格化
国のバスタプロジェクト格上げによる新バスターミナル計画の推進
鉄道・路面電車・高速バスを結ぶ高機能交通結節空間の整備構想
6.広域交通拠点としての役割強化
松山市駅との役割分担を踏まえた広域交通拠点機能の高度化
公共交通優先型都市構造への転換と乗換動線の最適化
7.賑わい創出と防災機能の強化
観光都市の玄関口にふさわしい滞在・交流空間の創出
防災拠点機能と官民連携による持続可能な駅まちモデルの構築

松山駅周辺土地区画整理事業は、JR予讃線の高架化と連動して進められている都市基盤整備事業です。施行予定面積は約16.7ヘクタール、概算事業費は約289億円にのぼります。事業期間は平成20年度から令和13年度まで(清算期間を含む)とされ、地区平均減歩率は約18.42%です。

対象区域では、建物275棟、権利者167人、約340世帯が関係し、約700人が暮らしています。幹線道路として松山駅北東西線、松山駅西南北線、三番町線(延伸)、松山駅西口南江戸線などが計画され、いずれも幅員30~34メートルの4車線道路として整備されます。さらに、歩行者や自転車、路面電車が通行する特殊街路「松山駅広東西連絡線」も設けられ、駅を中心とした東西の回遊性向上が図られます。


これまで松山駅周辺は、JR予讃線によって市街地が東西に分断されてきました。東側には商業・業務機能が集積する一方、西側では都市基盤が十分に整っておらず、無秩序な市街地が広がる状況が課題となっていました。
そこで、鉄道の連続立体交差事業と土地区画整理事業を一体的に進めることで、道路・広場・公園などの都市基盤施設を再編し、交通結節機能の強化と東西交通の円滑化を実現する計画とされています。単なる道路整備にとどまらず、魅力ある都心居住環境の創出を図り、松山市の中心市街地活性化につなげることが大きな目的です。


駅前広場は東口・西口の双方に整備され、バス・タクシー乗降場、一般車の送迎スペース、短時間駐車場、環境広場など多機能な空間として計画されています。これにより、分散していた交通施設を再編し、利用者のわかりやすさと安全性を高めます。


区画道路は標準幅員6メートルで整備され、地区内の生活道路としての機能を確保します。また、公園も2か所設置され、居住環境の向上や防災空間の確保が図られます。これらの整備は、単なる交通改善ではなく、歩いて暮らせるまちづくりを支える都市構造の再編でもあります。


松山駅では、国土交通省が進める「バスタプロジェクト」に選定され、2025年4月1日には「事業計画の検討」段階へと格上げされました。これにより、国・愛媛県・松山市・交通事業者が連携し、具体的な事業計画の策定に向けた検討が本格化しています。

現在、駅東西に分散しているバス乗降場を集約し、鉄道や路面電車との乗換えを徒歩数分以内で完結できる動線へ再編することが目標となっています。特定車両停留施設として整備される新たなバスターミナルでは、路線バス、都市間高速バス、リムジンバス、不定期バスなどに対応し、待合空間の充実やデジタル案内の高度化も検討されています。


松山駅は広域交通を担う拠点であり、一方で松山市駅は都市圏内交通を支える地域拠点として機能しています。両駅は約2キロ圏内に位置し、それぞれ異なる役割を担っています。
整備方針では、松山駅を四国の玄関口となる広域交通拠点として強化しつつ、松山市駅とのアクセス向上を図ります。路面電車の電停を駅前広場内へ引き込むことで、バリアフリーかつ直感的な乗換え動線を実現します。また、一般車やタクシーの動線を西口側に整理することで、中心市街地への過度な自家用車流入を抑制し、公共交通優先の都市構造への転換を目指します。


駅前広場や大手町通りでは、単なる交通処理空間ではなく、賑わいと憩いを生む公共空間の創出が重視されています。イベントスペースの確保や歩行者空間の拡充により、来訪者や市民が滞在できる空間づくりが進められます。
観光都市・松山の玄関口として、道後温泉や松山城といった観光資源へのアクセス性向上も重要です。多言語案内表示や快適な待合空間の整備により、訪日外国人を含む観光客にも利用しやすい交通拠点を形成します。地域素材を活用した景観形成により、県都にふさわしい統一感ある駅まち空間が目指されています。


近年の激甚化する自然災害を踏まえ、駅前広場には帰宅困難者の一時滞在スペースや物資備蓄機能を確保する方針です。鉄道被災時には都市間バスの代替拠点として機能し、人や物資の輸送を支える役割も担います。


また、施設整備や運営にあたっては民間事業者の知見を活用し、効率的で魅力ある拠点づくりを進めます。エリアマネジメントや先進技術の導入を通じて、カーボンニュートラルを視野に入れた持続可能な都市モデルの実現が目標です。

鉄道高架化が完了し、新たに生まれ変わった松山駅を中心に、土地区画整理事業とバスターミナル整備が一体となって進むことで、松山市は「交通拠点」から「都市価値を高めるハブ」へと進化しようとしています。四国の玄関口にふさわしい、未来志向の駅まちづくりがいよいよ本格段階に入っています。
出典・引用元:松山市 松山駅周辺の整備
最終更新日:2026年2月23日

