東京都は、新宿駅周辺と西新宿エリアを安全かつ快適に結ぶ歩行空間の整備を進めています。その中心的な存在となるのが、都庁第一本庁舎前から新宿西口ハルク前までを結ぶ「新宿歩行者専用道第2号線(タイムズ・アベニュー)」です。全長約1キロにおよぶこの地下歩道は、青梅街道の地下を通り、地上交通と分離された安心・安全な回遊動線を形成しています。
2023年1月には、同線の延伸区間にあたる「Ⅲ期区間(1工区)」が開通し、西新宿の地下歩行ネットワークがさらに拡充しました。さらに今後は、東方向に新宿サブナードへとつながる「第3号線」や、南東方向に新宿西口ハルク付近、A18出口付近まで延伸する「第2号線Ⅲ期区間(2工区)」の整備が計画されています。これらの計画により、新宿副都心と新宿駅エリアの回遊性は一層高まり、街全体の利便性やにぎわいの向上が期待されています。
→新宿区 都市計画変更案について
→東京都 新宿歩行者専用道第2号線
新宿歩行者専用道第2号線Ⅲ期区間(2工区)/3号線新設の概要
1 新宿歩行者専用道第2号線の概要
東京都庁から新宿西口ハルク前までを結ぶ全長約1kmの地下歩道。
安全・快適な回遊空間として整備が進む都市歩行ネットワーク。
2 第2号線デザインコンセプト「時間」
過去・現在・未来をテーマにした空間演出。
光と素材で「人間の営み」と「宇宙的時間」を表現する設計思想。
3 第2号線Ⅲ期区間(1工区)の開通
新宿警察署前交差点から新都心歩道橋下交差点までの延長140m。
令和5年1月開通による西新宿エリアの回遊性向上。
4 地下歩道としての機能と魅力
地上交通と分離された安全な歩行者動線。
明るく優しい照明空間による快適な移動環境の創出。
5 第3号線の計画
新宿ダイガード地下を経由し、新宿サブナードと接続する新ルート。
新宿駅北東部と西新宿地区を直結する新たな動線整備。
6 第2号線Ⅲ期区間(2工区)の延伸構想
新宿警察署前から分岐し、新宿西口ハルク方面へ至る計画区間。
新宿西口駅・地下広場との接続強化による回遊ネットワークの拡充。
7 今後の展望
第2号線と第3号線を軸とした地下歩行ネットワークの完成。
国際都市・新宿にふさわしい安全で持続可能な歩行空間の実現。

新宿歩行者専用道第2号線は、東京都庁第一本庁舎から新宿区道、青梅街道の地下を経て、新宿西口ハルク前へと至る延長約1,040メートル、幅員6〜8メートルの地下歩道です。東京都が整備を進める新宿駅周辺地下歩行者ネットワークの中核的存在であり、地下鉄や地下街と連携し、雨天時でも快適に移動できる歩行空間を提供しています。

この地下歩道のデザインコンセプトは「時間」。既設の「ワンデーストリート(第1号線)」が「一日」、「シーズンロード」が「四季」を表現しているのに対し、第2号線は「人間の営みの時間」と「宇宙的時間」をテーマにしています。通路は「ながれ(リンク)」と「たまり(ノード)」に分けられ、リンク部分では過去・現在・未来を、ノードでは光のスペクトラム7色によって宇宙的時間を表現。
明るく優しい照明や素材を用い、現代的かつ環境に配慮したデザインが特徴です。このうち、Ⅰ期区間(都庁前駅〜西新宿駅間)は1997年12月に、Ⅱ期区間(西新宿駅〜新宿警察署前)は2011年5月にそれぞれ供用を開始しました。さらに2013年4月には、利便性を高めるE8出入口も完成しています。


2023年1月26日には、新宿歩行者専用道第2号線の延伸区間となる「Ⅲ期区間(1工区)」が開通しました。新宿警察署前交差点付近から新都心歩道橋下交差点付近まで、延長140メートル・幅員6メートルの区間が整備され、青梅街道の地下を通る新たな歩行経路として供用を開始しました。

この事業は平成26年度に着手し、令和4年度までの8年間をかけて総事業費約62億円を投じて完成。開通により、丸ノ内線西新宿駅方面から都庁前や新宿西口方面へのアクセスがスムーズになり、地上の横断歩道や混雑を避けて安全に移動できるようになりました。供用時間は午前6時15分から午後10時45分までとされ、既設区間と連続的に利用できます。
なお、この区間の「リンク5(L5)」では“現在”を、「ノード6(N6)」では“藍色”をテーマとし、光と空間構成によって時間の流れを表現。通勤・通学者だけでなく観光客にも印象的な通路空間となっています。

第2号線Ⅲ期区間(1工区)の東端に接続する形で、新たに「新宿歩行者専用道第3号線」の整備計画も進められています。この地下歩道は、新宿ダイガードの地下を通り、東側の地下街「新宿サブナード」と接続する構想で、完成すれば新宿駅北東部の地下通路と西新宿エリアが直接つながることになります。


現状では、西武新宿駅〜新宿駅間の地下移動はサブナードやメトロプロムナードを経由する必要があり、迂回が生じていました。第3号線の整備によって、これらのルートがより短絡化され、地下歩行ネットワークの利便性が飛躍的に向上することが見込まれます。今後は都市計画決定を経て、関係機関との調整や設計検討が進められる予定です。

さらに、第2号線Ⅲ期区間の南東方向には「2工区」と呼ばれる延伸計画もあります。新宿警察署前から分岐し、新宿西口ハルク付近へと至るルートで、整備が完了すれば、地下鉄大江戸線新宿西口駅や新宿西口広場などとの接続が可能となり、西口エリア全体の回遊性が一層高まります。

この区間は令和5年度以降に整備が予定されており、第3号線と合わせて新宿駅周辺の地下歩行ネットワークの「最後のピース」となる重要なプロジェクトです。新宿副都心と新宿駅、さらに東西の商業ゾーンを有機的につなぐことで、にぎわい創出・防災機能の強化・歩行者安全の確保といった多面的な効果が期待されています。
東京都は今後も、地下空間を活用した歩行者中心の都市構造を目指し、新宿を国際都市としてふさわしい快適で持続可能な歩行環境へと進化させていく方針です。
最終更新日:2025年10月26日

