三菱地所株式会社は、東京・有楽町駅前に位置する「有楽町ビル」および「新有楽町ビル」の跡地に、日本カルチャーの最先端を体験できる新たな複合空間「YURAKUCHO PARK(ユウラクチョウ パーク)」を2026年度後半に開設すると発表しました。このプロジェクトは、敷地面積約1万800㎡のスケールで展開され、有楽町駅前という都心一等地に、アート・カルチャー・ホスピタリティを融合した新しい都市の姿を提示します。
中心となる企画「JAPA VALLEY TOKYO」は、グローバルな影響力をもつファレル・ウィリアムスとNIGO®が共同で手がけ、現代アート界のトップクリエイターKAWSの作品も取り入れられます。有楽町という歴史あるエリアに新たな価値を創出するこの取り組みは、三菱地所が推進する「丸の内再構築」プロジェクトの一環であり、「まちまるごとバリューアップ」を掲げる都市開発の先導事例としても注目を集めています。
→三菱地所株式会社 日本カルチャーの発信拠点「YURAKUCHO PARK」 有楽町駅前の敷地1ヘクタールに2026年度開設
YURAKUCHO PARKの概要
1. 有楽町駅前に「YURAKUCHO PARK」が誕生
三菱地所による旧有楽町ビル・新有楽町ビル跡地の再活用計画。「YURAKUCHO PARK」として2026年度後半に開業予定の日本カルチャー発信拠点
2. 世界的プロジェクト「JAPA VALLEY TOKYO」を展開
ファレル・ウィリアムスとNIGO®が手がける、アート・商業・ホスピタリティを融合した複合空間「JAPA VALLEY TOKYO」の都市型展開
3. 都市空間を暫定活用し価値を創出
建替えまでの期間を活用し、来街者に文化的な体験を提供する暫定利活用の先進事例
4. 丸の内再構築「NEXTステージ」の一環
常盤橋と並ぶ開発拠点として位置づけられた、有楽町における新たな街区の価値創造施策
5. アートやデザインを通じた新たな都市体験
KAWSによるシンボルアートをはじめ、五感に訴える都市型アートと文化空間の創出
6. ロゴデザインに込められた哲学
人・情報・コンテンツの集積と多様な価値観の交錯を象徴する「楽」の文字をベースとしたロゴ
7. 都市とカルチャーの融合を目指す開発手法
「まちまるごとバリューアップ」を体現する、都市と文化が共鳴するまちづくりモデル

「YURAKUCHO PARK」は、長年この地に存在していた有楽町ビルおよび新有楽町ビルの解体跡地に誕生する、日本カルチャー発信の最前線となる新空間です。三菱地所が提唱してきた“PARK”という概念は、単なる緑地やオープンスペースに留まらず、イベント、文化体験、交流の場として都市の賑わいを創出する「都市体験の場」として位置付けられています。有楽町駅前という立地の特性を活かし、日常の通行者から国内外の観光客まで、多様な人々が立ち寄り、五感で文化を体験できる都市空間が構築されます。
この空間は、来街者にとって単に建物が立ち並ぶ風景ではなく、「都市の進化を体験できる場所」として機能します。建物の建設までの暫定期間を活かし、次の開発へとつなげる準備フェーズを大胆に都市に開き、新たなフェーズへと地域の価値を導く場に変えていく狙いです。

「YURAKUCHO PARK」の中核を成す「JAPA VALLEY TOKYO」は、日本の文化を世界へ発信する複合型の都市空間です。このプロジェクトを主導するのは、グラミー賞受賞アーティストでありデザイナーとしても活躍するファレル・ウィリアムスと、ストリートカルチャーの牽引者であるNIGO®。両者が初めて手がけるアート・商業・ホスピタリティの融合空間として、アートと日本文化を織り交ぜたまったく新しい体験型の都市コンテンツが生まれます。
建築・空間設計には三菱地所設計が参画し、現代アートの第一人者KAWSの作品も新たなシンボルアートとして展示予定です。さらに、ポップアップストアやイベントスペースが設置され、食・ファッション・デザインなど、多様なカルチャーが日常的に発信されます。都市とカルチャー、グローバルとローカルが交錯する空間として、都市開発のあり方そのものに革新をもたらす取り組みとなっています。

「YURAKUCHO PARK」は、三菱地所が1998年から段階的に進めてきた「丸の内再構築」の中でも、最も先進的な取り組みの一つといえます。現在は「NEXTステージ」として、有楽町と常盤橋の両エリアにおける再開発を柱に、多様性・共創・文化発信といった新たな価値創出に注力しています。有楽町エリアは丸の内の玄関口であり、その象徴的な場所におけるプロジェクトとして、「YURAKUCHO PARK」は都市の未来を見据えた重要な施策と位置づけられています。
常盤橋では2028年5月に「Torch Tower」の竣工が予定されており、有楽町と常盤橋の両翼が、丸の内エリアにおける新たな都市成長の軸として機能する構想が描かれています。今回の取り組みは一時的な開発ではなく、将来を見据えた長期的視点に立った都市戦略といえます。

「YURAKUCHO PARK」のロゴは、有楽町の「楽」の字をモチーフにしながら、人や情報、コンテンツが中心に集まり、そこからまた世界へと拡がっていくダイナミズムを表現しています。中央に向かう4つのパーツは、それぞれが独立しつつも調和を保ち、多様な価値観やカルチャーが交錯する場所であることを象徴しています。
このビジュアルアイデンティティは単なるロゴにとどまらず、「都市と人」「人とカルチャー」が交わる場としてのYURAKUCHO PARKの本質を体現したものです。国際都市・東京の中心地で展開されるからこそ、そのビジョンは都市における多様性や変化を受け止め、未来を先取りする姿勢として強く発信されています。


「YURAKUCHO PARK」は、建物をただ建てるだけではなく、その暫定期間も都市価値を創造するフェーズと捉える点に大きな特徴があります。これは、三菱地所が推進する「まちまるごとワークプレイス」構想、そして「まちまるごとバリューアップ」という理念と一致し、単独の企業では実現しにくい価値創出をエリア全体で支える取り組みです。
「JAPA VALLEY TOKYO」をはじめとする文化的コンテンツの導入は、来街者に驚きや発見を提供するとともに、都市空間の可能性を広げ、未来の都市像に対して新たなヒントを提示しています。有楽町という歴史と機能が交差する場所で、世界に向けて日本のカルチャーを発信し続けるこのプロジェクトは、単なる施設開発を超えた“まちの変革”そのものといえるでしょう。
有楽町ビルヂング


有楽町ビルヂングは、東京都千代田区有楽町一丁目に所在する商業・業務複合ビルで、1966年に竣工しました。もともとこの地にはアメリカ映画を上映していた「スバル座」などの映画館がありましたが、火災や閉館を経て、三菱地所が土地を取得し再開発を進めました。当初は地上9階の計画でしたが、建築基準法改正に伴う容積率制度を採用し、地上11階建の構造となりました。
完成当初は空室が多かったものの、その後の入居促進により利用率は向上しました。建物は低層部に白い大理石とアルミを用い、上層階はワインレッドのカーテンウォールが特徴です。地下から地上3階までは商業施設や映画館「有楽町スバル座」(2019年閉館)が入り、夏季には屋上にビアガーデンも開設されていました。2021年には、新有楽町ビルヂングとともに建て替えが発表され、オフィスや飲食店を中心とした複合ビルへの再開発が進められています。
新有楽町ビルヂング


新有楽町ビルヂングは、東京都千代田区有楽町一丁目に位置するオフィスビルで、1967年に第1期部分が完成、1969年に全体竣工を迎えました。建設前の敷地には、毎日新聞東京本社や農協会館、丸ノ内日活劇場などがあり、三菱地所が段階的に用地を取得し開発を進めました。
外観は青いタイルと独特な窓のデザインが特徴で、地下では東京メトロ有楽町線と直結しています。開業当初から外資系金融機関や高級ブランド店が多く入居し、国際色豊かなテナント構成を持ちました。2021年には有楽町エリア再構築の一環として、有楽町ビルヂングとともに建て替えが発表され、今後はファッション・メディア関連テナントや実証実験の場としての活用が検討されています。
「有楽町ビルヂング」と「新有楽町ビルヂング」の詳細はこちら→歴史的建造物と高層ビルが融合! 都市開発マニアが案内する「丸の内建築ツアー」 第10回 異世界感満載! 有楽町で解体工事を待つ独特な意匠の2つのビル
最終更新日:2025年7月28日

