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名古屋圏・中京大都市圏で鉄道延伸や新線計画が浮上か!?「中京大都市圏及び中部圏における鉄道ネットワークの充実・強化に向けた基礎調査」の委託先が募集開始!!

愛知県は2025年10月8日、「中京大都市圏及び中部圏における鉄道ネットワークの充実・強化に向けた基礎調査」の委託先募集を開始しました。本調査は、名古屋を中心とする広域的な都市圏において、鉄道ネットワークの現状、課題、そして将来の方向性を多角的に検証するものです。

1992年の運輸政策審議会第12号答申で示された名古屋圏の鉄道整備計画から30年以上が経過し、都市構造や人々の移動実態は大きく変化しました。近年は自動車依存が一層強まる一方、鉄道利用は頭打ち傾向にあり、駅へのアクセスや乗り継ぎの不便さが利用促進の妨げとなっています。また、関東圏及び関西圏、福岡圏などでは、鉄道事業者間の相互直通運転や新規路線整備、延伸等が進められ、移動時間短縮や利便性向上などが図られています。

さらに、令和4年度に実施された第6回中京都市圏パーソントリップ調査では、公共交通の利用割合が依然として低く、特に駅前の環境整備や鉄道とバス・自転車などとの接続性が十分でない現状が浮き彫りになりました。こうした課題を踏まえ、愛知県は中京圏・中部圏全体の鉄道の在り方を再定義し、今後の整備の方向を探るための調査に着手されます。

→愛知県 「中京大都市圏及び中部圏における鉄道ネットワークの充実・強化に向けた基礎調査」の委託先を募集します
→中京都市圏総合都市交通計画協議会 第6回中京都市圏パーソントリップ調査結果

中京大都市圏・中部圏における鉄道ネットワーク強化に関する概要

1.調査実施の目的
中京大都市圏および中部圏の鉄道ネットワークの現状整理と将来整備方針の検討。
持続可能で効率的な交通体系の再構築を目指す基礎調査。

2.広域連携と交通基盤の重要性
愛知・岐阜・三重を中心とした経済圏の結節強化。
鉄道を軸とした中部圏の一体的発展の推進。

3.鉄道整備の遅れとネットワーク再構築
運輸政策審議会第12号答申から30年以上を経た整備停滞。
既存路線の活用と新たな広域交通の形成。

4.自家用車依存と公共交通利用の低迷
パーソントリップ調査にみる自動車中心の移動構造。
鉄道利用率の伸び悩みとアクセスロスの顕在化。

5.名古屋圏の移動特性
短距離通勤・郊外居住・時間帯偏在が特徴の都市交通。
駅まち連携による都心回帰型の移動需要の高まり。

6.駅まち一体型まちづくり
鉄道ネットワークと都市再開発を連動させた拠点整備の必要性。
交通利便性と都市機能集約を両立する都市構造の形成。

7.調査委託概要と今後の展望
中京圏での鉄道ネットワーク拡充。
中京圏の新たな交通ビジョン策定への第一歩。


*中京大都市圏の各方面から鉄道網が集まってくる名古屋駅周辺

愛知県が今回の調査を実施する背景には、都市圏の構造変化と交通体系の再構築という大きな課題があります。名古屋市を中心とした「中京大都市圏」は、概ね80〜100km圏の範囲にわたり、人口約1,000万人、製造業を中心とする経済活動が活発な地域です。

しかし、都市の拡大や人流の変化に対して鉄道ネットワークの整備が追いついておらず、交通渋滞や環境負荷の増大、さらには地域間のアクセス格差が拡大しています。愛知県は、持続可能で効率的な移動を実現するために、鉄道の果たす役割を改めて見直す必要があるとしています。

*2004年に開業したあおなみ線は貨物線を旅客線化している

本調査では、既存の鉄道路線網を踏まえつつ、新たな需要に対応するための整備方策を検討し、将来的な交通政策の基礎資料とすることが目的です。単に新線構想を検討するだけでなく、既存路線の活用、他交通機関との連携など、総合的な視点でアプローチするのが特徴です。

*ここ十数年で中京大都市圏は急激に発展した

中京大都市圏は、愛知・岐阜・三重の3県を中心に、静岡西部や長野南部にも波及する経済圏であり、国内でも有数の産業集積を誇ります。特に自動車産業をはじめとする製造業が集中しており、ヒトとモノの移動の効率化は地域の生産性を左右する重要な要素です。

さらに、中部圏知事会などを通じて、北陸から近畿までを含む9県(富山・石川・福井・長野・岐阜・静岡・愛知・三重・滋賀)が連携する枠組みも形成されています。こうした広域圏の中で、鉄道は域内を結び付ける「骨格」としての役割を担います。

*名鉄小牧線から直通する地下鉄上飯田線は平安通止まりとなっており、都心の名駅や栄までアクセスするには乗り換えを要する状況

近年では、北陸新幹線やリニア中央新幹線など、国家プロジェクト級の路線が進む一方、名古屋圏の都市内・都市間ネットワークは更新が遅れています。鉄道は単なる移動手段にとどまらず、地域間連携や環境負荷低減、都市の再生を促す基幹インフラとしての再評価が求められています。

*1972年の答申での中京大都市圏の鉄道網構想図
*1992年の答申での中京大都市圏の鉄道網構想図

1992年の運輸政策審議会第12号答申(いわゆる「12号答申」)では、名古屋圏における多数の新線・延伸構想が示されました。名城線の環状化や愛知環状鉄道の一部複線化など一部は実現したものの、多くの計画は未着手のまま30年以上が経過しています。

代表的なものとしては、名古屋市営地下鉄東部線及び金山線の新設や桜通線の豊田方面延伸、上飯田線の南進、東海交通事業・城北線の延伸や直通化などがありますが、採算性や事業主体の問題から進展は見られません。また、地方都市圏ではLRT(次世代型路面電車)導入が進むなか、名古屋都市圏では既存の地下鉄・私鉄網に依存する構造が続いています。

*2005年の愛知万博を契機に開業したリニモは沿線開発により着実に利用者数を増やしている

人口減少と郊外化が進行する中、利用者の変動やコスト増など、従来の延長線上では対応しきれない課題も増えています。
このような背景から、愛知県は「鉄道整備そのもの」よりも「広域移動全体の最適化」という視点で現状を捉え、鉄道を軸にした交通体系の再編を目指そうとしています。

*JRや名鉄、地下鉄、ゆとりーとラインなどの乗り換えに時間を要する大曽根駅
*非常に激しい混雑でホームにも電車にも入り切らず、行列に並んでから乗車を強いられるラッシュ時の地下鉄東山線名古屋駅〜栄駅間

令和4年に実施された第6回中京都市圏パーソントリップ調査では、岐阜県南部・愛知県・三重県北勢地域を対象に、約22万人が調査に回答しました。この調査により、通勤・通学・買い物など多目的の移動実態が可視化され、都市交通の現状を把握する貴重なデータとなりました。

*1979年に開業した名鉄豊田線沿線も開業から約40年以上経ち、ようやく高密度な都市開発が進んできた

結果によると、公共交通の利用率は依然として低く、自家用車による移動が全体の約7割を占めています。特に、鉄道を利用する際の「アクセス時間」が長いことが問題であり、出発地から最寄駅まで、また駅から目的地までの二次交通の不便さが利用率の低迷に直結していると分析されています。

郊外型商業施設の拡大や職住分離の進行により、駅周辺に人が集まりにくい構造が定着していることも課題の一つです。こうした課題を解消するには、単に鉄道路線を増やすだけでなく、駅前の再整備やバス・自転車・歩行者空間などを含めた「総合交通体系」の再構築が求められています。

*愛知環状鉄道は一部区間が複線化されたが、依然として単線区間が残る

第6回中京都市圏パーソントリップ調査によると、通勤・通学・買い物などすべての目的を含めた移動手段構成において、自動車利用が約7割を占め、全国主要都市圏の中でも高い水準にあります。特に、名古屋市外や尾張・三河地域など郊外部では、公共交通が十分に整備されていないことから、自動車が生活の中心的な移動手段となっている現状が浮かび上がりました。

*激甚化する災害時のバックアップとしても複数路線、複数経路が選択可能な鉄道ネットワークにしていく必要がある

一方で、名古屋市中心部では地下鉄・名鉄・JR・あおなみ線など複数の鉄道路線が集中し、公共交通の利便性が比較的高いことから、中心市街地での鉄道利用率は高い傾向がみられます。ただし、鉄道駅から最終目的地までの「ラストワンマイル」区間におけるアクセスの不便さが指摘されており、バス・自転車・徒歩などとの接続性・駅との直結性が利用促進のカギを握っていると考えられています。

また、名古屋圏の特徴として、通勤・通学の移動距離が比較的短い点も挙げられます。平均通勤距離は関東・関西圏に比べて短く、郊外に居住しつつも比較的近距離で職場・学校へ通う「中距離通勤型」のライフスタイルが定着しています。これにより、鉄道ネットワークの長距離直通運転よりも、短区間での利便性や駅周辺の環境整備が重要視される傾向にあります。

*鉄道ネットワーク整備は停滞していたが、高架化等の立体交差事業は各地で進捗している

さらに、調査では時間帯別の混雑偏在も確認されました。名古屋駅や金山駅など主要ターミナルでは朝夕の通勤ピークに集中して利用が高まる一方、日中時間帯の利用は低く、都市鉄道の稼働効率に課題が残ります。こうした「時間的偏り」を平準化し、オフピーク利用を促す施策も、今後の鉄道政策の一環として検討すべきテーマといえます。

人口減少が進むなかで、郊外の住宅地では交通需要が低下しつつあり、地域別発生集中量は一部を除き都市圏全域で減少しているという特徴があります。なお、逆に中心部では再開発やオフィス回帰が進んでおり、「都心回帰型の移動構造」が徐々に強まっています。駅前の再開発や複合施設の整備により、駅を核とした生活圏の再構築が進めば、公共交通の利用増につながる可能性も高いとみられています。

*地下鉄桜通線延伸に伴い、駅前に都市拠点施設が整備された徳重駅周辺の様子
*中京大都市圏でも駅からアクセスしやすい駅直結型の再開発も増えてきている

調査の特徴は、鉄道ネットワークを単独で捉えるのではなく、「人流の動向」や「まち」など、都市構造の視点を重視している点にあります。近年、駅前再開発を伴う再都市化が各地で進められており、名古屋市内でも金山総合駅や名駅地区を中心に再編が進行中です。

*ここ十数年で「ささしまライブ」などの新たな“まち”が出現したが、新たな人流に対応した鉄道網や新駅の整備は停滞している

こうした動きと連動し、鉄道ネットワークを「点から線」「線から面」へと広げる計画づくりが求められています。駅周辺の再開発や複合施設整備により、鉄道の利便性を高めるとともに、都市の回遊性を向上させることで、交通とまちづくりの両立を図ることができます。
鉄道ネットワークの充実は、CO₂削減や都市機能の集約化といった環境面での効果も大きく、人口減少社会における持続可能なまちづくりの基盤となるものです。

*人口1,000万人規模の大都市圏である中京大都市圏でも新たな鉄道路線や延伸計画が出てくるかもしれない

調査の成果は、愛知県および中部地方各県との連携のもとでまとめられ、今後の鉄道整備計画や交通政策の方向性を示す基礎資料として活用されます。また、調査結果をもとに、地域住民や企業、行政機関などが参加する形で議論を深め、将来的な鉄道網の姿を共有していくことも期待されています。

この基礎調査は、単なる現状分析にとどまらず、「中京圏の新たな交通ビジョン」の第一歩と位置づけられています。鉄道を軸にした持続可能な交通ネットワークと、都市の魅力を高めるまちづくりが、次の世代に向けた中部圏の成長エンジンとなることが期待されています。

最終更新日:2025年10月10日

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