北九州市は2026年7月22日、「北九州2043 次世代まちづくり・投資に向けた戦略(たたき台)」を公表しました。戦略では、AI革命やDX・GXの進展、世界的な産業構造の変化に加え、半導体やロボット関連産業への投資拡大、オフィス・マンションの建て替え需要の増加など、北九州市を取り巻く追い風を「暮らしと街の飛躍」の歴史的な好機と位置付けています。
その中核施策として、小倉都心を世界で最も早くアイデアが実装される都市へ進化させる「小倉ブースト」と、黒崎副都心を20年先の暮らしを10年早く実現する都市へ再生する「黒崎リバイバル」を掲げ、小倉駅・黒崎駅周辺を重点エリアとして約1兆円規模の民間投資を呼び込む構想を打ち出しました。目標年次は市制80周年となる2043年で、規制緩和や公共投資、AI実証フィールドの整備などを組み合わせながら、北九州市全域へ波及する新たな都市成長モデルの構築を目指しています。
小倉ブースト&黒崎リバイバルの概要
1.「北九州2043」戦略を公表
AI・DX・GXの進展や建て替え需要を追い風に、都市の飛躍を目指す長期戦略の策定。
小倉・黒崎への重点投資による新たな都市成長ビジョンの提示。
2.小倉・黒崎を成長の起点に設定
北九州市の都市価値向上に向け、小倉都心と黒崎副都心を重点エリアとして位置付け。
市全体へ投資効果と経済波及を広げる成長戦略の展開。
3.「小倉ブースト」による都心機能強化
エンターテインメントやAI、ウォーターフロントを融合した世界水準の都心形成。
駅前再編やホテル誘致、小倉城・旦過周辺の魅力向上による都市再生。
4.「黒崎リバイバル」で副都心を再生
AIやスマートモビリティを活用し、未来の暮らしを先取りする都市モデルを構築。
職住近接や生活利便性を活かした副都心機能の強化。
5.クロサキメイト跡地の再生推進
駅前の未利用地を再開発し、研究開発・商業・交流機能を備えた複合拠点を形成。
黒崎駅前全体の活性化をけん引するシンボルプロジェクト。
6.民間投資を後押しする支援制度
規制緩和や特区制度、公有地活用などを組み合わせた投資促進パッケージを創設。
道路再編やウォーカブル化を含む官民連携による開発促進。
7.2043年に向けた1兆円投資構想
市制80周年となる2043年を目標に、約1兆円の民間投資を誘導する方針。
北九州市全体の価値向上と持続的な成長を目指す都市戦略。

北九州市は、AI革命やDX・GXの加速、国際環境の変化、産業投資の拡大など世界的な潮流を背景に、市の投資価値が大きく高まっていると分析しています。これらの変化に加え、老朽化した建築物の更新需要や先端産業の集積といった地域特性を生かし、「暮らしと街を次のステージへ」をテーマに新たな都市戦略を策定しました。
戦略では、これまで分散していた都市投資を重点的に集約し、小倉・黒崎の2拠点を起点として都市再生を推進する方針を打ち出しています。目標年次は2043年、市制80周年を迎える節目とし、民間主導で約1兆円規模の投資を誘発することで、都市機能や居住環境、産業競争力を一体的に高めることを目指しています。

戦略では、「フィジカルAI」「エンタメ・カルチャー」「アーバンネイチャー」の3つを都市変革の推進力として位置付けています。世界有数のロボット・ものづくり産業やDX技術を生かしたフィジカルAI、音楽・アート・歴史・食文化などの都市文化、さらに都市近郊に広がる自然環境を融合させることで、北九州ならではの新しい都市価値を創出するとしています。
この3つの価値を組み合わせることで、「技術が暮らしを便利に」「感動と共感が暮らしを楽しく」「身近な自然が暮らしに癒やしを与える」都市を目指すとし、都市そのものを実証フィールドとして活用する考えも示されています。行政だけでなく民間企業や大学、市民との連携により、新しい技術やサービスを実装する「グローバル挑戦都市・北九州市」の実現を掲げています。

重点施策の一つである「小倉ブースト」は、小倉駅周辺を世界で最も早く新しいアイデアや技術が実装される都市へ発展させる構想です。小倉駅周辺は九州有数の交通結節点であり、小倉城や勝山公園、紫川、旦過市場、リバーウォーク北九州など、歴史・文化・商業・自然がコンパクトに集積する高いポテンシャルを有しています。こうした既存資源を最大限に生かしながら、新たな都市投資を集中的に誘導する考えです。
都市計画マスタープランでも、小倉北区は北九州市の都心として商業・業務・行政・文化機能が集積する広域拠点と位置付けられています。さらに、街なか居住やウォーターフロント活用、都市機能の高度化を進める方針が示されており、「小倉ブースト」はこうした既存計画をさらに発展させる次世代戦略として位置付けられます。

小倉ブーストでは、小倉都心を「Bay」「City」「River」の3エリアに区分し、それぞれ異なる役割を持たせながら一体的に再整備する構想が描かれています。Bayエリアではウォーターフロントを生かした大規模開発や国際ホテル、ベイ&リバークルーズなどを想定し、Cityエリアではオフィスや商業、AI実装など都市機能の高度化を推進します。Riverエリアでは紫川や勝山公園、小倉城などの自然・歴史資源を活用し、水辺空間を生かした新たな都市景観の形成を目指しています。
構想イメージには、没入型エンターテインメント施設や国際級ホテル、小倉城を望む宿泊施設、水辺イベント、AI自律型モビリティ、AI信号制御、DX商店街、ガストロノミー地区、IPミュージアム、eスポーツ施設など、多彩な都市機能が盛り込まれています。これらを組み合わせることで、国内外から人材や企業を呼び込む都市ブランドの確立を目指しています。


小倉ブーストでは、将来構想だけではなく、具体的な起点プロジェクトも提示されています。Bay・Riverエリアでは民設民営による大型ベニューやワールドクラスホテルの誘致、BayエリアではフィジカルAI実証推進エリアの設定などを検討。また、小倉駅前では駅前広場の再編や平和通りの車線削減などを含む「小倉ウォーカブルフィールド」の整備を進め、歩いて楽しめる都市空間への転換を図る方針です。
さらに、平和通り沿いを中心とした次世代オフィス建替えプロジェクト、新たな北九州市役所庁舎の整備、小倉城から旦過市場までを結ぶガストロノミープロジェクト、シンボルストリート形成、水上プレミアムクルーズの導入なども掲げられています。既存の歴史・文化資源と最先端技術を融合し、北九州の都心を次世代都市へ進化させるための具体的なプロジェクトが数多く盛り込まれた点が今回の戦略の大きな特徴となっています。


小倉と並ぶ重点エリアである黒崎では、「黒崎リバイバル」を掲げ、20年先の暮らしを10年早く実現する副都心づくりを目指します。安川電機や北九州学術研究都市などの産業集積を活かし、AI・DXと都市機能を融合した新たな都市モデルを構想しています。
黒崎駅周辺では、自動運転モビリティやオンデマンド交通、地域医療・介護DX、AIによる見守り、コムシティを核とした交流機能の強化、路地裏ガストロノミーなどを展開し、便利で快適な暮らしを実現する構想です。都市計画マスタープランが掲げる副都心機能の強化をさらに発展させる戦略となっています。



黒崎リバイバルの象徴的プロジェクトとなるのが、長年未利用状態が続くクロサキメイト跡地の再生です。戦略では、この駅前一等地を「未来の生活モデル中核拠点」と位置付け、「クロサキメイト跡投資促進プロジェクトチーム」を立ち上げ、課題整理や安全対策、投資促進策の具体化を進める方針が示されました。
再生イメージとしては、フィジカルAI関連の研究・開発・教育施設、国内外企業のコラボレーションハブ、次世代スマートオフィス、高品質スーパーやブックラウンジを備えた商業施設、国内外の人材を受け入れる滞在・交流拠点など、多様な都市機能を集約した複合施設が例示されています。
また、黒崎リバイバルではクロサキメイト跡地再生だけでなく、コムシティの機能再編、ふれあい通りのフルモール化、高質な住宅と公園の一体整備、空きビル再生、ウェルビーイングストリート、スマートモビリティ、AIと介護・子育てを組み合わせた「クロサキリビングラボ」などもプロジェクト候補として掲げられています。これらを連携させることで、駅前全体の魅力向上と民間投資を呼び込み、黒崎副都心の再生を加速させる考えです。

戦略では、小倉駅・黒崎駅周辺約1kmを対象に「民間投資促進パッケージ」を創設し、規制緩和や特区活用、税制・財政支援、公有地活用、行政の伴走支援などを実施する方針です。
さらに、大街区化に向けた道路再編やウォーカブル整備、フィジカルAIの実証環境整備なども検討。近年は企業投資やIT企業誘致、地価上昇など好転の兆しが見られており、この流れを民間開発へつなげる狙いがあります。


戦略では、市制80周年となる2043年までに、小倉・黒崎を中心として約1兆円の民間投資を呼び込み、市全体へ経済効果を波及させることを目標に掲げています。今後は有識者や民間事業者、市民などの意見を反映しながら戦略を取りまとめる予定です。
「小倉ブースト」と「黒崎リバイバル」は、AI・DXやエンターテインメント、自然環境を都市づくりに取り入れる新たな成長戦略です。今後、具体的な事業化が進めば、北九州市の都市構造や投資環境を大きく変えるプロジェクトとして注目を集めそうです。
出典:北九州市 北九州2043 次世代まちづくり・投資に向けた戦略(たたき台)を発表しました
最終更新日:2026年7月23日