大分駅東側に位置する22街区・54街区について、大分市は民間アイデアの再募集を実施し、その提案概要を公表しました。令和元年に一度募集が行われていましたが、その後の新型コロナウイルス感染症の拡大や物価高騰など社会経済情勢の変化、さらに駅周辺の開発進展を踏まえ、改めて利活用の方向性を検討する必要が生じたことが背景にあります。今回の募集では12団体から提案が寄せられ、交通結節機能の強化や複合的な都市機能の導入、さらには中心市街地全体の回遊性向上を目指す多様なアイデアが示されました。本募集は事業者決定を目的としたものではありませんが、今後のまちづくりの方向性を占う重要な材料として注目されます。
大分駅東大規模公有地(22街区・54街区)の概要
1.再募集の背景
新型コロナや物価高騰など社会経済情勢の変化を踏まえた再検討の必要性。
駅周辺開発の進展に対応し、まちづくりの方向性を見直すための再募集。
2.対象地の位置と特性
大分駅東側に位置する22街区・54街区という大規模公有地の高い開発ポテンシャル。
両街区を一体的に活用し、面的な都市機能の再編を担う重要拠点としての位置づけ。
3.募集プロセスの概要
公募要項公表から対話実施まで段階的に進められた民間アイデア募集のプロセス。
19団体参加・12団体提案による多様な視点の集積と検討材料の蓄積。
4.中心市街地への波及効果
来訪目的施設の導入によるにぎわい創出と周辺エリアへの波及を目指す提案群。
既存機能の再編や都市軸強化を通じた中心市街地全体の活性化。
5.空間構成と都市デザイン
デッキ接続や広場整備による歩行者中心の回遊性向上と都市軸の強化。
商業・交流・居住など多機能を重層的に配置した複合都市空間の形成。
6.交通結節機能の強化
バスターミナルを核とした交通結節機能の高度化と利便性向上。
人流を生み出し滞留を促す拠点としての都市ハブ機能の構築。
7.事業手法と今後の方向性
土地売却や定期借地、PFIなど多様な手法による民間活力の活用。
提案を踏まえた利活用方針の整理と今後の事業化検討への展開。

今回の民間アイデア募集は、社会情勢の大きな変化を受けて実施されたものです。前回の令和元年の募集以降、新型コロナウイルスの影響による都市活動の変容や建設コストの上昇など、都市開発を取り巻く環境は大きく変化しました。また、大分駅周辺では民間施設の整備が進み、都市の重心や人の流れも変わりつつあります。こうした状況を踏まえ、22街区・54街区の役割を改めて整理し、中心市街地全体の回遊性や滞留性をさらに高めるための新たな視点が求められました。本募集は、単なる土地活用ではなく、面的なまちづくりの中核として両街区を位置づけることを目的としています。


対象となる22街区(7,527.92㎡)と54街区(10,968.59㎡)は、大分駅東側に広がる大規模な公有地であり、駅前に近接する希少な開発用地です。両街区は一体的な活用が前提とされており、単独の敷地としてではなく、中心市街地全体を見渡した中での役割が重視されています。提案においても、点的な開発ではなく、周辺施設や公共空間との連携を前提とした面的な視点が求められました。この立地特性から、交通・商業・居住・文化など多様な機能を融合させた都市拠点としての高いポテンシャルが期待されています。

募集は令和7年7月に公募要項が公表され、その後説明会や質疑を経て進められました。参加表明は19団体、最終的に提案書は12団体から提出されています。令和8年1月には対話も実施され、各提案の具体性や実現可能性について意見交換が行われました。そして令和8年3月26日、これら提案の概要が公表され、民間ならではの多様な発想が明らかとなりました。今回のプロセスは、単なる書類審査ではなく対話を重視した点も特徴であり、今後の方針検討に向けた基礎的な知見が蓄積されています。

提案の多くは、22街区・54街区単体ではなく、中心市街地全体への波及効果を重視している点が特徴です。例えば、両街区に来訪目的となる施設を整備し、そのにぎわいを周辺エリアへ広げるという考え方や、既存の公共施設機能を移転・再編することで都市機能の更新を図る提案が見られました。また、都市軸の強化や回遊ネットワークの形成を意識した構想も多く、駅周辺と既存市街地をつなぐ結節点としての役割が強調されています。これにより、単なる駅前開発にとどまらず、都市全体の構造再編につながる可能性が示唆されています。

両街区の一体活用に向けては、2階レベルのデッキによる接続や広場・テラスの整備など、歩行者中心の空間形成が多くの提案で共通しています。これにより東西方向の都市軸を強化し、安全で快適な回遊環境を実現することが意図されています。また、用途構成においても、商業機能だけでなく、体験・交流・居住・文化などを組み合わせた複合的な機能導入が提案されました。交通結節機能を核としつつ、その上層や周辺に多様な都市機能を重層的に配置することで、日常利用と来訪目的の双方に対応する都市空間の形成が目指されています。

事業手法については、土地売却や定期借地、PFI方式など多様なスキームが提案されており、民間活力の最大限の活用が意識されています。特に、54街区の売却による財源確保や、公共施設部分のみを市が保有する区分所有方式など、財政負担を抑えつつ整備を進める工夫が見られました。一方で、本募集はあくまでアイデア収集を目的としたものであり、提案の事業化や事業者決定を行うものではありません。今後はこれらの提案を踏まえ、大分市が利活用方針を整理し、具体的な事業化に向けた検討が進められる見込みです。中心市街地の将来像を左右する重要なプロジェクトとして、今後の動向が注目されます。

大分市では、中心市街地の分断や交通混雑といった課題を解決するため、「大分駅周辺総合整備事業」を核とした大規模な面的整備が進められてきました。中でも鉄道の高架化を図る連続立体交差事業は、複数の踏切を除去し、南北に分断されていた市街地の一体化を実現する重要な基盤整備です。これにより交通の円滑化と安全性向上が図られ、都市活動の効率性が大きく高まりました。
また、駅南側では土地区画整理事業により道路、公園、駅前広場などの都市基盤が再編され、低未利用地の解消と高度利用が進められています。さらに、幅員100m規模のシンボルロード整備や幹線道路網の強化により、歩行者空間の充実と回遊性向上が図られました。こうした面的整備は、都市機能の再配置と交通ネットワークの再構築を一体的に進めることで、県都にふさわしい都市構造への転換を支えています。

都市基盤整備と並行して、中心市街地では商業・文化機能の集積によるにぎわい創出が進められています。駅直結の大規模複合施設である「アミュプラザおおいた」は、商業・宿泊・温浴など多様な機能を備えた新たな都市の顔として高い集客力を発揮しています。さらに、大分県立美術館の整備により、芸術文化を軸とした交流と滞在の促進が図られ、都市の魅力向上に寄与しています。
加えて、末広町一丁目地区では「OITA GATE CITY」として再開発が進み、プレミストタワー大分などの住宅・商業複合施設が整備されることで、居住機能の都心回帰と新たな人口流入が期待されています。これらの開発は、既存ストックの更新と新規投資を組み合わせ、エリアマネジメントやイベント活動と連動することで、持続的なにぎわいと都市価値の向上を実現する戦略的なまちづくりを形成しています。
出典:大分市 22街区・54街区の利活用に向けた民間アイデアを新たに募集します!
各団体による提案→大分市 22街区・54街区 利活用に関する民間アイデア募集の提案概要について
最終更新日:2026年4月7日

