株式会社ヤマタネは、本社や倉庫施設が立地する東京都江東区越中島一丁目地区において、「越中島開発グランドビジョン」を公表し、約9,900坪(約3.3ha)に及ぶ大規模再開発構想を推進しています。対象地は門前仲町駅と越中島駅の双方が利用できる都心近接地でありながら、隅田川や大横川に囲まれた水辺環境を有する希少な立地です。現在はヤマタネビル、ヤマタネビル新館、深川営業所(倉庫・オフィス)などが立地していますが、今後は倉庫機能の移転を進めながら、住宅・商業・観光・交流機能を備えた複合市街地への転換を目指しています。
ヤマタネは1956年に計画地内の倉庫会社との合併以降、約70年にわたり越中島を事業の中心拠点として活用してきました。今回の再開発は単なる不動産開発ではなく、「次の100年を支える事業」と位置付けられています。都市開発制度の活用による容積率緩和や水辺空間の整備、地域との協働によるまちづくりを進め、地域貢献と企業価値向上の両立を図る計画です。2025年には計画策定パートナーとして清水建設が選定され、行政協議や都市計画協議の本格化に向けた体制が整いました。2030年代前半から段階的な施設整備が進められ、一部供用開始は2034年度以降を予定しています。
越中島開発グランドビジョンの概要
1.都心近接の約1万坪の大規模開発用地
門前仲町駅・越中島駅を利用できる交通利便性の高い立地。
隅田川や大横川に囲まれた都心では希少な大規模水辺空間。
2.ヤマタネの歴史を継承する再開発事業
1956年から事業の中心拠点として活用されてきた越中島地区。
企業の成長基盤を次世代へ引き継ぐ100年先を見据えた再開発。
3.地域貢献と企業価値向上の両立
敷地のポテンシャルを最大限に活かした土地利用を推進。
地域への貢献と株主価値の最大化を目指す都市開発構想。
4.水辺と緑を活かした魅力的なまちづくり
豊かな景観資源を活用し、人々が集い交流する空間を創出。
親水性と回遊性を高める新たなウォーターフロント形成。
5.住宅・商業・交流機能を備えた複合開発
住環境や観光・商業機能、防災機能などを導入する計画。
多様な都市機能が集積する新たな複合市街地の形成。
6.都市開発制度活用による高度利用の推進
容積率300%から500%超への緩和を視野に検討を進行。
公共施設整備と一体となった大規模土地利用転換の実現。
7.2034年度以降の供用開始を目指す長期計画
清水建設を計画策定パートナーに選定し事業化を推進。
地域協議や都市計画手続きを経て進められる段階的な再開発。

開発対象地は江東区越中島一丁目に位置し、門前仲町駅から徒歩圏、JR京葉線越中島駅にも近接する交通利便性の高いエリアです。東京駅や大手町駅などの都心アクセスに加え、首都高速道路を通じて羽田空港や成田空港へのアクセスも良好です。
さらに、隅田川や大横川に囲まれた開放的な水辺景観を有し、越中島公園や深川スポーツセンター、越中島プールなどの公共施設にも隣接しています。東京都心部では極めて希少な約9,900坪(約32,727平方メートル)のまとまった敷地であり、再開発による都市機能更新のポテンシャルは非常に高いといえます。
江東区都市計画マスタープランでは、門前仲町・越中島エリアを「都市核」と位置付けており、水辺空間を活かした交流機能や観光機能の充実が求められています。今回の開発は、こうした行政のまちづくり方針とも整合するプロジェクトとなっています。


越中島地区は江戸時代初期に埋め立てられた土地であり、明治期には軍施設として利用されていました。その後、1956年にヤマタネが当地の倉庫会社と合併して以降、倉庫業や米穀事業を支える中核拠点として発展してきました。
ヤマタネは1924年創業の老舗企業で、米穀卸売と倉庫事業を主力としています。現在も深川営業所は大規模物流施設として機能していますが、建物の老朽化や都市環境の変化を踏まえ、将来を見据えた土地利用転換を決断しました。
今回の再開発は単なる建替えではなく、「次世代のヤマタネを支える100年先の事業」として位置付けられています。企業の歴史を継承しながら、新たな都市機能を導入することで、地域と企業双方の持続的な発展を目指しています。

グランドビジョンでは、「まち」「食文化と農業」「人」の3つのテーマを掲げています。まず「まち」では、人やモノが交流する新たな拠点形成を目指します。門前仲町や豊洲、日本橋など周辺エリアとの連携を強化し、水辺を活かした回遊性の高い都市空間の創出を構想しています。
次に「食文化と農業」では、ヤマタネのルーツである米穀事業を活かし、食文化や農業の未来を発信する施設導入を検討しています。食育や地域交流につながる新たな機能が期待されています。
さらに「人」では、水辺と緑に囲まれた良好な住環境の整備に加え、防災拠点機能の強化も重視しています。江東区都市計画マスタープランでも防災性向上や水辺ネットワーク形成が重要課題として挙げられており、本開発はこうした課題解決にも寄与する計画となっています。

現在の対象地は準工業地域に指定され、容積率は300%となっています。しかしヤマタネは再開発促進区や特定街区、高度利用地区、総合設計制度などの都市開発制度活用を検討しており、500%を超える容積率緩和を目指しています。
これにより、住宅・ホテル・商業施設・交流施設・公園などを組み合わせた大規模複合開発が可能になります。併せて道路や公共空間の整備も進められ、地域全体の価値向上が期待されています。
また、周辺地権者との共同開発の可能性も探るとしており、単独開発にとどまらない広域的なまちづくりへ発展する可能性があります。門前仲町・越中島エリアの新たなランドマーク形成も十分期待できるでしょう。

事業スケジュールによると、2024~2028年度にかけて事業パートナー選定や事業計画策定、地域との協議が進められます。その後、都市計画協議や環境影響評価、各種許認可手続きを経て、本格的な開発段階へ移行します。
当初は2026年3月までにデベロッパーを中心とした事業パートナーを選定する予定でしたが、近年の建設費高騰を受けて方針を見直しています。2025年には清水建設を「計画策定パートナー」として選定し、行政協議や都市計画協議の深化を優先する体制へ移行しています。
今後はまちづくり準備協議会を通じて地域住民との対話を重ねながら計画を具体化し、2028年度には事業計画を公表する予定です。2030年度前後には倉庫機能の移転や既存施設の解体が始まり、2031年度以降に新築施設の建設工事が本格化します。2034年度以降には一部施設の供用開始が予定されており、越中島エリアは大きな転換期を迎えることになります。都心近接の水辺空間という稀少な立地を活かした本プロジェクトは、江東区のみならず東京東部を代表する大規模再開発の一つとして今後の動向が注目されます。
出典
・株式会社ヤマタネ 越中島開発グランドビジョン
・株式会社ヤマタネ 越中島開発プロジェクトの計画策定パートナーを決定
最終更新日:2026年6月14日