大阪市は一時休止していた「JR片町線・東西線連続立体交差事業」を、別線地下化方式により再開する方針を固めました。2025年5月14日に開催された「大阪市建設事業評価有識者会議」で、費用対効果や必要性などを審議し、事業継続の妥当性が確認されました。総事業費は約1,031億円、事業区間は城東区新喜多2丁目から都島区片町2丁目までの約1.3kmで、京橋駅の地下化と3か所の踏切除却が計画されています。再開により交通の円滑化、まちの一体化、駅機能の強化が図られる見通しです。
→大阪市 令和7年度 第1回(早期実施分) 大阪市建設事業評価有識者会議 JR片町線・東西線連続立体交差事業
JR片町線・東西線連続立体交差事業の概要
1. 事業再開の背景と方針決定
大阪市は、2014年度に休止していた「JR片町線・東西線連続立体交差事業」について、別線地下化方式により事業を再開する方針を決定。2025年5月14日に開かれた「大阪市建設事業評価有識者会議」で、費用対効果や実施の妥当性が評価され、「事業継続は妥当」と判断された。
2. 事業区間と概要
事業対象は都島区片町2丁目~城東区新喜多2丁目の約1.3km。JR京橋駅を含む区間を別線で地下化し、同駅には地下2層構造・2面2線の新ホームを整備。現在線の北側に新たな線路を通すことで、現行線を運行しながら工事を進める。
3. 踏切除却と交通改善
新喜多・馬の口・鯰江の3カ所の踏切を撤去し、交通渋滞の緩和や安全性の向上を図る。特に鯰江踏切は「開かずの踏切」として知られ、ピーク時遮断時間は45分/時に及んでいた。
4. まちづくりと土地活用
線路地下化後は跡地や低未利用地を活用し、駅前広場整備や新たな交通結節点の形成により、京橋駅周辺のまちづくりや土地利用価値の向上が期待される。駅の移設により乗換距離の短縮なども図られる。
5. 防災・都市基盤の強化
連続立体交差により災害時の避難経路の確保や地区内道路ネットワークの充実が可能になり、地域の防災力と利便性向上にも資する重要な都市基盤整備事業と位置付けられている。
6. 事業スケジュールと費用
事業費は約1,031億円で、前回評価時より381億円増加(人件費・資材高騰等が影響)。今後は都市計画決定を経て、2030年度の事業認可・2031年度の用地取得、2033年度着工・2053年度完了を目指す。
7. 費用対効果(B/C)と評価
費用便益比(B/C)は1.30、その他便益を加えると1.45とされ、経済合理性が確認された。大阪城公園周辺の国際拠点化に必要な基盤整備としても重要視されている。

本事業は、大阪市が主体となって実施する連続立体交差事業で、JR片町線・東西線のうち、都島区片町2丁目から城東区新喜多2丁目までの約1.3kmを地下化します。対象区間内にある新喜多・馬の口・鯰江の3踏切を除却し、京橋駅を地下2階構造で整備。南北に交差するJR大阪環状線の支障を避けるため、現在線の北側に別線を掘削し、運行を継続しながら工事を進める方式が採用されました。費用便益比(B/C)は1.30、その他便益を含めると1.45と見積もられています。

本事業の目的は、鉄道と踏切の平面交差を解消し、交通渋滞や事故リスクを減らすとともに、広域交通ネットワークの形成を支援することです。また、駅周辺の再整備による交通結節機能の強化、現在線跡地の有効活用による土地利用価値の向上、さらには騒音低減や地域分断の解消など、快適な住環境の実現も図られています。特に、ピーク時に1時間あたり45分閉鎖される「開かずの踏切」として知られる鯰江踏切の除却は、歩行者や車両の円滑な移動に大きく貢献する見込みです。

当初、2000年度に着工準備採択を受けて始動した本事業は、2014年度に財政上の都合により休止されていました。しかし近年、大阪城公園周辺のまちづくり方針の中で、京橋駅の国際拠点化や防災力強化のためのインフラ整備が求められるようになり、再び事業再開の必要性が浮上。2025年度中に方針を成案化し、2026年度からの本格再開を目指します。

今後は都市計画決定を経て、2030年度に事業認可、2031年度に用地取得を開始、2033年度に着工し、最終的には2053年度の事業完了を見込んでいます。市は関係機関と連携しながら、早期の都市計画決定と段階的な整備推進を図るとしています。
最終更新日:2025年5月21日