2025年7月に開催された第15回エキサイトよこはま22懇談会において、横浜駅周辺のまちづくりを推進する「エキサイトよこはま22」の各取組の最新進捗状況が公表されました。今回の報告では、再開発事業や駅前広場整備をはじめ、防災対策、エリアマネジメント、都心臨海部との連携、さらには2027年に開催される「GREEN×EXPO 2027」に向けた準備まで、多岐にわたる施策が明らかになりました。
横浜駅周辺は、古くから「日本のサグラダ・ファミリア」とも形容されるほど工事が継続されてきた地域ですが、現在でも各プロジェクトが具体的な形となって進行しています。今後も都市の利便性と防災性、そして魅力向上を目指した多角的な取組が続く見通しです。
エキサイトよこはま22 進捗状況の概要
- エキサイトよこはま22の最新進捗報告
2025年7月開催の第15回懇談会で公表された横浜駅周辺の都市整備プロジェクトの進捗状況 - 多岐にわたる整備分野
再開発事業、駅前広場整備、防災対策、エリアマネジメント、都心臨海部連携、国際イベント対応の多方面にわたる取り組み - 「日本のサグラダ・ファミリア」としての背景
複雑な都市構造による整備難航の経緯と横浜駅周辺の通称 - プロジェクトの具体化と進展
近年の再開発や都市基盤整備の着実な進行と目に見える成果 - 都市機能と魅力の向上
利便性・防災性の向上および魅力的な都市空間の創出の重視 - 地域コミュニティやエリアマネジメントの役割
地域交流施設の活用や市民参加型イベントを中心とした地域主体のまちづくり - 今後の展望と国際イベント対応
2027年「GREEN×EXPO 2027」に向けた来訪者対応強化と国際都市ブランド構築の見通し

横浜駅きた西口鶴屋地区では、令和7年度末の事業完了を目指して再開発が進められており、2025年3月には交通広場の一部としてタクシー乗り場が供用開始されました。また、同年6月にオープンした地域交流施設「Vlagyokohama(フラグヨコハマ)」では、「ヨコハマ未来創造会議」のワークショップ開催や、デッキや空地を活用したイベントが積極的に行われており、地域コミュニティの活性化に大きく貢献しています。
一方、旧ダイエー横浜西口店跡地を活用した共同建替事業「CeeUYokohama」では、住宅棟「横浜ヴェールタワー」が2025年6月に竣工し、事業が完了しました。敷地内には公共的駐輪場(124台)が整備され、7月から供用開始。今後は隣接する公開空地と連携したイベントなどにより、駅西口エリアのさらなる賑わい創出が期待されています。


駅前広場整備の計画は、中央西口ときた西口の2か所で進行しています。中央西口では、歩行者空間の拡充や交通動線の見直しにより、2026年度中の完成を目指しています。2025年6月には既に工事に着手しており、歩きやすさを重視した舗装整備のほか、タクシーと一般車の動線分離による安全性の向上を図っています。加えて、駅前広場はイベントスペースや待ち合わせ空間としての機能も期待されており、エリアマネジメントとの連携による多目的利用が進められる予定です。
また、きた西口駅前広場でも同様に2026年度中の整備完了を目指し、2025年6月から高欄工事が始まっています。今後は植栽や舗装整備も行い、河川沿いという立地特性を活かした憩いの空間づくりが進められます。キッチンカーなどの導入も想定されており、イベントなどによる活用が進めば、駅周辺の新たな賑わいの場としての機能が強化されるでしょう。


横浜駅南東側に位置する「ステーションオアシス地区」では、新たな都市基盤整備に向けて開発計画が進行中です。2025年4月からは環境アセスメント手続きが開始されており、地下の「みなみ通路」から地上・デッキレベルを結ぶ「ターミナルコア」の整備が予定されています。これにより歩行者ネットワークが強化され、回遊性の向上が見込まれています。また、空飛ぶクルマの離着陸場整備といった先端的な構想も視野に入れて検討が進められています。

さらに、東口の基盤整備としては第一駅前広場や帷子川・国道1号線の横断デッキ整備などが計画されており、周辺交通や歩行者動線の改善を図るとともに、臨海部との接続性も高まる見通しです。加えて、東口の「出島地区」では、老朽化したビルの建替えを視野に入れた将来ビジョンの策定が始まり、バスターミナルの再編や支線1号線の整備と連動した再開発が期待されています。


西口地区の象徴とも言える相鉄ムービルの建替え計画は、「横浜駅西口大改造構想」の起点として重要な位置づけにあります。演劇場・映画館・ライブハウスといった“社交の場”として長年親しまれてきた施設は、2026年度からの解体着手を予定しています。建替え後も、文化施設としての機能を受け継ぎつつ、地域課題の解決や周辺再開発の誘導を担う計画が検討されています。
この構想のもと、西口エリア全体の都市機能強化が図られ、多様な人々が行き交い、滞在・交流できる空間の創出が目指されています。特に周辺とのつながりを重視し、将来的には駅から周辺商業エリア・公共空間へとスムーズにつながる都市動線が整備される見込みです。

横浜駅周辺では、大雨や高潮などの災害に備えた治水対策が急ピッチで進められています。外水対策として、帷子川河口部の拡幅とそれに伴うJR山の内橋梁の架替えが計画されており、2026年度までに橋梁設計業務が行われる予定です。架替え完了にはおよそ10年を見込んでいますが、水位の低下と浸水リスクの軽減が期待されています。
また、内水対策としては、新たな雨水幹線や補助幹線の整備が進行中で、2025年8月には立坑構築が完了し、9月には神奈川公園から岡野公園に向けてシールドマシンが発進予定です。さらに南幸・鶴屋町地区では排水施設の整備、東高島地区ではポンプ場の建設にも着手され、30年に1度の豪雨にも対応できる都市インフラの整備が本格化しています。

ハード整備と並行して、ソフト面での防災力向上も積極的に推進されています。特に注目されるのは、地下街や鉄道事業者、警察などが参加する震災想定訓練です。2025年6月にはSNSを活用した情報伝達の試行が行われ、災害時の情報連携強化を目指す取組が始まりました。
さらに、地震・津波に備えた防災啓発動画の放映も駅周辺のデジタルサイネージを活用して行われています。これらの施策により、平時から市民の防災意識の向上を図り、有事の際の迅速な避難行動や情報取得につながる環境づくりが進められています。

横浜駅周辺では、地域全体の価値向上を目指したエリアマネジメント活動も活発に行われています。例えば西口中央駅前広場では、2025年5月に横浜西口エリアマネジメントによる滞在空間の整備が行われ、人にやさしい空間づくりが進められました。加えて清掃・防犯などの環境改善活動も継続して行われており、安全で快適な都市空間の実現を支えています。
また、都心臨海部との連携を強化する動きも見られます。横浜駅からみなとみらい21地区や出島地区をつなぐ都市動線や回遊性向上策が検討されており、港町横浜ならではの魅力的な都市景観の創出が期待されます。
そして、2027年に開催される国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」に向けては、横浜駅を起点とした来訪者の受け入れ体制強化や案内サインの整備、エリア全体の機能向上が急務とされています。これらの動きは、今後の横浜の国際競争力強化にも直結する重要な布石といえるでしょう。
最終更新日:2025年9月4日

