東京都と東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は、JR南武線の谷保駅から立川駅までの約3.7km区間を対象とする連続立体交差事業について、2025年9月19日に環境影響評価書案を提出しました。本事業は、19か所の踏切を除却または廃止することで交通渋滞や事故を解消し、地域分断を解消してまちづくりを推進する大規模プロジェクトです。環境への影響については騒音や振動、日影、景観など7項目を評価し、今後は住民説明会や環境影響評価手続きを経て、都市計画手続と並行して早期事業化を目指します。
→東京都 東日本旅客鉃道南武線(谷保駅~立川駅間)連続立体交差事業の環境影響評価書案を提出しました
→東京都 JR南武線(谷保駅~立川駅間)
東日本旅客鉃道南武線(谷保駅~立川駅間)連続立体交差事業の概要
- 事業の位置と規模
JR南武線・谷保駅~立川駅間(約3.7km)の連続立体交差事業、高架化による道路と鉄道の立体交差化 - 踏切の解消
19か所の踏切除却・廃止による交通渋滞緩和、事故防止、道路交通の安全性向上 - 事業の実施体制
東京都とJR東日本による事業実施、環境影響評価の主体は東京都、事業期間は約13年間 - 環境影響評価
騒音・振動、日影、電波障害、景観、史跡・文化財、自然との触れ合い、廃棄物の7項目による予測・評価 - 投資効果と便益
費用便益比1.4、総便益約790億円、総費用約557億円、移動時間短縮や交通事故減少、走行経費削減の効果 - 生活・防災面での効果
高架下空間の有効活用、緊急車両のアクセス改善、通学路の安全確保、防災機能の向上 - まちづくりへの波及効果
市街地の一体化、歩行者・自転車の回遊性向上、矢川駅・西国立駅の駅前広場整備、地域活性化と都市拠点形成

本事業は、国立市富士見台一丁目を起点とし、立川市錦町一丁目までの約3.7km区間を対象に鉄道を高架化するものです。谷保駅・矢川駅・西国立駅を含む区間で、連続的に道路と鉄道を立体交差化する計画となっており、19か所の踏切が解消されます。構造形式は高架橋、擁壁、地平を組み合わせ、駅ホームの延長や幅員拡張、また幅員6~16mの側道整備も進められます。事業期間は約13年間を見込み、道路交通の円滑化と鉄道・道路の安全性向上を図る狙いがあります。


環境影響評価書案では、騒音・振動、日影、電波障害、景観、史跡・文化財、自然との触れ合い活動の場、廃棄物の7項目を選定して検討が行われました。鉄道の高架化による環境負荷を最小化するため、事業に伴う影響を予測・評価し、その結果を住民に公開する形で進められています。今後は説明会の開催や見解書の作成を経て、最終的な環境影響評価書が取りまとめられる予定です。

踏切除却による交通渋滞の解消や事故防止に加え、地域の一体化による生活利便性の向上が期待されます。費用便益分析では、便益の総額が約790億円、費用が約557億円とされ、費用便益比(B/C)は1.4と算定されました。効果としては、自動車や歩行者の移動時間短縮、走行経費の減少、交通事故の減少などが見込まれます。加えて、緊急車両の通行性改善や通学路の安全確保、防災機能の向上、高架下空間を活用した都市機能整備など、多方面にわたる利点が示されています。

鉄道の高架化により、従来鉄道によって分断されていた南北市街地の一体化が進み、歩行者や自転車の移動が円滑になります。また、矢川駅や西国立駅の立体化に併せて駅前広場や周辺基盤整備が計画されており、地域拠点としての機能強化が図られます。高架下空間には保育施設や駐輪場など都市生活を支える施設の導入が想定されており、快適で安全な都市空間の創出が期待されています。本事業は単なる交通改善にとどまらず、広域的な都市活性化に資するプロジェクトと位置付けられます。
最終更新日:2025年10月13日

