東京都中野区に位置する中野駅では、西側エリアにおいて南北自由通路と橋上駅舎を新設し、駅ビルを併設する「中野駅西側南北通路及び新駅舎整備・駅ビル開発」が進められています。事業主体は東日本旅客鉄道で、中野区および東京地下鉄と連携しながら推進されています。駅西側の線路上空に幅員約19メートルの南北自由通路を整備し、新たな橋上駅舎を建設することで、北口改札の混雑緩和やバリアフリー機能の向上を図るものとされています。
あわせて、商業施設を併設した駅ビルを整備し、地域の日常利用に応えるとともに、新たな賑わいを創出します。さらに、中野区が進める新北口駅前広場の整備や周辺再開発と一体となり、回遊性の高い都市空間を形成し、「新しい中野の玄関口」の実現を目指しています。南北自由通路および橋上駅舎は2026年の開業予定、商業施設は2026年12月の開業予定で、駅ビルの完成はその後を予定しています。
中野駅西側南北通路及び新駅舎整備・駅ビル開発の概要
1.事業の背景と目的
1889年開業の中野駅における改札混雑や南北分断、バリアフリー不足への対応
西側への橋上駅舎新設と南北自由通路整備による利便性向上と回遊性強化
2.計画概要と建築規模
敷地約7,700㎡、地上5階、高さ31.824m、延床約18,354㎡の駅舎・駅ビル一体整備計画
S造(一部CFT造)採用、立体道路制度活用、環境配慮と景観調和を図る建築計画
3.南北自由通路と橋上駅舎の整備内容
幅員約19mの線路上空横断通路と2階橋上駅舎の直結整備
新改札設置、エレベーター4基新設、災害時一時滞在機能を備えた機能強化
4.駅ビル開発と商業機能
商業施設併設による日常利用対応型駅ビル整備
物販・飲食導入による地域利便性向上と広域集客拠点形成
5.新北口駅前広場の整備計画
交通広場・歩行者広場・都市ゲート広場の三位一体整備
ペデストリアンデッキ整備による立体的歩行ネットワーク形成
6.工事進捗とスケジュール
令和2年度着工、夜間中心施工による安全配慮型工事推進
2026年末南北通路・橋上駅舎開業予定、駅ビル順次完成計画
7.まちづくりへの波及効果
周辺再開発と連動した都市再編と高度利用推進
南北分断解消と回遊性向上による「新しい中野の玄関口」形成

中野駅は1889年に開業して以来、中央線・総武線の主要駅として発展し、現在は東京メトロ東西線の始発駅としても機能する交通結節点です。JRと東京メトロ合わせて1日約40万人の乗降客数がある拠点でありながら、改札やコンコースの混雑、南北の分断、バリアフリー動線の不足などが課題となっていました。


こうした課題を解決するため、中野駅西側南北通路及び新駅舎整備・駅ビル開発では西側に新たな橋上駅舎と南北自由通路を整備します。これにより、既存の北口・南口に加えて「西口」ともいえる新たな動線が生まれ、南北市街地の分断を解消します。交通利便性の向上だけでなく、防災性の強化やまちの回遊性向上も大きな目的となっています。


計画地は中野区中野五丁目および四丁目にまたがる7,693.42㎡の敷地で、建物は地上5階・塔屋1階、高さ31.824メートルの規模となります。延床面積は18,354.51㎡で、このうち新駅舎部分が約2,700㎡、商業施設部分が約16,900㎡です。また、駐車場棟は地上3階、地下1階、高さ18.427メートル、延床面積1,457.48㎡の規模となります。


構造はS造(一部CFT造)を採用し、立体道路制度を活用して南北自由通路・橋上駅舎・駅ビルを一体的に整備します。壁面や屋上の緑化、木材の活用など環境配慮も図られ、白を基調とした外観デザインにより周辺景観との調和を目指します。圧迫感を抑えた分節的なデザインにより、「中野の顔」として親しみのある駅舎となる計画です。


中野駅西側南北通路及び新駅舎整備・駅ビル開発の核となる南北自由通路は、線路上空を横断する歩行者専用通路として整備されます。幅員約19メートルを確保し、ゆとりある歩行空間を実現します。新たな改札口が設けられ、2階レベルの橋上駅舎と直結します。
エレベーターは15人乗りを4基新設し、バリアフリートイレを含む旅客トイレも整備されます。ユニバーサルデザインに配慮した設計により、高齢者や子育て世代、車いす利用者など、誰もが利用しやすい駅へと進化します。災害時にはコンコースを一時滞在場所として開放する計画もあり、防災拠点としての役割も担います。

新駅舎には商業施設が併設されます。駅ビルの運営はアトレが担い、エキナカ商業施設はJR東日本クロスステーションが運営します。日常利用を意識した物販・飲食店舗が導入される予定で、地域住民の利便性向上と駅周辺の賑わい創出を図ります。
地元商店街との役割分担を意識しながら、駅ビルは広域からの来訪者にも対応する都市型商業拠点として整備されます。駅利用者の動線と自然につながる配置計画により、通過型から滞在型へと駅の性格を転換させることが期待されています。

駅と一体的に整備されるのが新北口駅前広場です。ここでは交通広場、歩行者広場、そして「中野四季の都市ゲート広場」の3つの広場が計画されています。路線バス16路線19系統が発着し、タクシー待機場や一般車乗降スペースも整備されます。


歩行者と車両動線を立体的に分離するため、ペデストリアンデッキが整備されます。「エントランスデッキ」は延長約28メートルを確保し、延長約175メートルの「四季の都市方面デッキ」や延長約170メートルの「囲町方面デッキ」と連続します。これにより、駅から区役所や再開発地区へ安全かつ快適にアクセスできる立体歩行ネットワークが形成されます。

実施設計は令和元年度に完了し、令和2年度から建物本体工事に着手しました。工事は駅営業や列車運行への影響を最小限に抑えるため、主に終電後から始発までの夜間に実施されています。人工地盤杭の打設や鉄骨架設、外装工事など段階的に進められてきました。
南北通路および橋上駅舎は2026年末頃の開業予定で、工期は当初想定より約3か月短縮される見込みです。その後、駅ビルの完成・開業が予定されています。新北口駅前広場の全面完成は令和12年頃を目指しており、段階的に供用開始されます。

中野駅西側南北通路及び新駅舎整備・駅ビル開発は単なる駅改良にとどまらず、中野駅周辺まちづくりの中核を担うプロジェクトです。中野四丁目地区の高度利用、中野三丁目地区の文化的賑わい創出、中野五丁目地区の商業集積強化、中野二丁目地区の再開発と連動し、広域的な都市再編が進められています。

南北自由通路の整備により中央線による物理的分断が解消され、回遊性の高い都市構造が実現します。駅前広場とデッキがつながることで、人の流れが立体的に広がり、新たな都市空間が創出されます。「かわる・つながる・ひろがる」をキーワードに、中野の玄関口は次の時代へと進化しようとしています。
今後、駅ビルのテナント構成やデザインの詳細が明らかになることで、さらに具体的な姿が見えてくるでしょう。中野駅西側の整備は、地域の暮らしや経済活動に大きな変化をもたらすプロジェクトとして注目されています。
出典・引用元
・東日本旅客鉄道株式会社 中野駅西側南北通路及び新駅舎整備・駅ビル開発の概要について
・中野区 中野駅西側南北通路・橋上駅舎等事業について
・中野区 中野駅新北口駅前広場の整備について
最終更新日:2026年3月2日