つくばエクスプレスの整備と一体となって推進された「伊奈・谷和原丘陵部一体型特定土地区画整理事業」は、首都圏北東部における代表的な大規模ニュータウン開発の一つです。茨城県施行により約274.9haの広大な丘陵地を対象として実施され、計画人口約16,000人規模の都市形成を目指して行われました。鉄道整備と宅地開発を同時に進める「宅鉄法」に基づく先進的な手法を採用し、道路・公園・住宅・商業施設などを計画的に配置することで、バランスの取れた都市環境を構築しています。
2005年のみらい平駅開業を契機に人口流入が加速し、短期間で優良な住宅地としての基盤が確立されました。さらに近年は、大型商業施設の進出やマンション開発、教育施設の整備が進み、単なるベッドタウンから「生活利便性と居住環境を兼ね備えた成熟都市」へと進化しています。首都圏へのアクセス性と自然環境の豊かさを両立した点が評価され、現在も継続的な人口増加が見られる成長エリアとなっています。
みらい平駅地区(伊奈・谷和原丘陵部一体型特定土地区画整理事業)の概要
1.事業の概要
茨城県施行による約274.9haの大規模土地区画整理事業、計画人口約16,000人の新都市形成。
旧伊奈町・旧谷和原村にまたがる広域開発により整備された計画的住宅都市。
2.鉄道と一体となった開発
つくばエクスプレスと連動した宅地供給により都心アクセスを強化。
みらい平駅開業を契機とした急速な市街化と人口流入。
3.宅鉄法による都市形成
鉄道整備と宅地開発を同時に進める宅鉄法に基づく先進的まちづくり。
住宅・商業・公共施設を一体的に配置した計画的都市構造の形成。
4.土地利用と都市構造
公共用地約36%、宅地約63%によるバランスの取れた土地利用構成。
住宅を中心に商業・業務機能を備えた複合型都市の形成。
5.生活利便性の向上
ピアシティ富士見ヶ丘をはじめとする商業施設の集積。
ロピア みらい平店開業による買物環境の充実。
6.住宅供給と人口増加
メイツつくばみらいやリナージュつくばみらいなど新築マンションの供給拡大。
一都三県からの移住者増加によるファミリー層中心の人口成長。
7.教育環境と今後の展望
みらい平中学校整備による教育機能の強化。
成熟期へ移行しつつある沿線中核都市としての持続的発展への期待。

伊奈・谷和原丘陵部一体型特定土地区画整理事業は、茨城県が施行主体となって進めた大規模土地区画整理事業で、施行面積は約274.9ha、総事業費は約718億円に及びます。旧伊奈町(約104ha)と旧谷和原村(約170ha)にまたがる広域プロジェクトであり、2,000人を超える地権者が関係する大規模な土地再編が行われました。

平均減歩率は約40%と高水準であり、公共用地の確保と宅地の高度利用を両立しています。こうした大胆な土地利用転換により、計画的で整然とした街区構成が実現され、現在の良好な都市景観の基盤となっています。


みらい平地区の発展は、つくばエクスプレスの整備と切り離すことはできません。秋葉原〜つくば間を最短45分で結ぶ高速通勤鉄道の開業により、都心への通勤・通学圏としての価値が大きく向上しました。
従来の郊外開発では鉄道整備と宅地開発が分離されることが多く、交通利便性の不足が課題となるケースもありましたが、本事業では両者を同時に整備。これにより、開業直後から一定の居住需要を確保し、持続的な人口増加につなげることに成功しています。


伊奈・谷和原丘陵部一体型特定土地区画整理事業は、「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法(宅鉄法)」に基づく代表的な事例です。この制度により、鉄道用地・住宅用地・公共施設を一体的に整備することが可能となりました。
その結果、道路や公園、教育施設、商業施設などがバランスよく配置され、住みやすさと利便性を兼ね備えた都市環境が形成されています。無秩序な開発を防ぎつつ、長期的に持続可能な都市構造を実現した点が大きな特徴です。


地区全体の土地利用は、公共用地約36.5%、宅地約63.5%という構成となっています。公共用地には道路や公園、河川などが含まれ、特に道路整備の比率が高いことから、車社会にも対応したゆとりある都市設計となっています。

一方で、住宅系用地が約42%を占めるほか、商業・業務系用地も約13%確保されており、単なる住宅地ではなく、生活機能を内包した複合都市としての性格を持っています。公益施設や公共的施設も適切に配置され、都市としての自立性が高い点が特徴です。


まちづくりの基本理念は「緑の中に浮かぶ島で展開される多様な逍遙 ※空間の創造」であり、自然と都市機能の調和が重視されています。賑わいを創出する「動のセンター」と、落ち着いた環境を提供する「静のセンター」という2つの拠点を核に据え、メリハリのある都市空間を形成しています。
さらに、公園や緑地、コミュニティ道路をネットワーク化した「逍遙回廊」により、歩いて楽しめる街づくりを実現。ランニングやサイクリングなどの健康活動を支える空間としても機能し、居住者の生活の質向上に寄与しています。

開発は段階的に進められ、まず駅周辺の第一期整備エリアから着手されました。その後、幹線道路沿線や住宅地が順次整備され、最終的に地区全体が完成へと向かいました。
2005年のTX開業時には人口約660人程度でしたが、その後急速に増加し、短期間で数千人規模へと成長しました。現在も一都三県からの流入が多く、特に子育て世帯の流入が顕著であり、若い世代を中心とした活気ある地域社会が形成されています。

生活利便性向上のため、商業施設の誘致が積極的に行われてきました。代表例である「ピアシティ富士見ヶ丘」は、スーパーマーケットを核にドラッグストアや生活サービス店舗が集積する複合施設で、地域住民の日常生活を支える重要な拠点となっています。


さらに2025年11月27日には、食品スーパー「ロピア みらい平店」が開業しました。食のテーマパークをコンセプトに掲げる同店は、鮮度・品揃え・価格競争力を強みとし、周辺地域からも来客を集める広域型商業施設として機能しています。これにより、地域の商業環境は一段と充実しました。


みらい平駅周辺では、近年マンション開発が活発化しています。名鉄都市開発によって分譲された駅徒歩圏に立地する地上12階の「メイツつくばみらい」は、全138戸の大規模レジデンスとして街のランドマーク的存在となっています。一方、アイディホームにより分譲された、駅徒歩2分という好立地に位置する地上14階、総戸数55戸の「リナージュつくばみらい」は、利便性と居住性を兼ね備えた都市型マンションとして人気を集めています。

新築されたマンションの特徴は、メイツつくばみらいにはWi-Fi完備でPCでの作業ができるワークスペースやキッズスペース、ライブラリーとして活用可能なコミュニティライブラリーがあるほか、リナージュつくばみらいの1階住戸にはEV車対応で約6.0m×3.5mの広々とした専用駐車場があります。これらの供給により、ファミリー層や共働き世帯を中心とした人口流入が進み、都市としての密度と活力がさらに高まっています。


人口増加に対応するため、みらい平中学校の整備が進められています。2027年4月の開校を予定しており、約3万㎡の広大な敷地に最新の教育施設が整備されます。
同校では、STEAM教育やラーニングコモンズを取り入れた先進的な教育環境が整備される予定であり、地域の教育水準向上に寄与することが期待されています。こうした教育施設の充実は、子育て世帯にとって大きな魅力となっています。


みらい平地区は、TX開業以降の急成長期を経て、現在は都市機能の充実が進む成熟段階にあります。住宅供給に加え、商業・教育・コミュニティ機能がバランスよく整備され、生活利便性の高い都市へと発展しています。
今後は企業誘致や地域コミュニティの深化、さらなる都市機能の高度化が進むことで、つくばエクスプレス沿線における中核的な住宅都市としての地位が一層強化されると見込まれます。自然環境と都市機能を両立した持続可能なまちとして、引き続き注目されるエリアといえるでしょう。
過去の記事→2020年6月2日投稿 伊奈・谷和原丘陵部一体型特定土地区画整理事業 (みらい平地区)
最終更新日:2026年4月26日